私はゴミ箱の中に住んでいる

アメ

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努力しても

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「ありがとうございます!」
男の子は、笑顔でそう言った。
道行く人々に上手に声をかけて、ティッシュを渡していく。
だけど、そんな男の子に私は、ため息を漏らした。
「はぁ」
でもそれは、なんでそんなに上手なのかという、ヤキモチと感心が混ざっていた。
私より遅く入ったのは、ミナトの方なのだが、
なぜかティッシュ配りが上手だった。そして、私はというと
「こらっ!話を聞かんか!」
社長に怒られていた・・・。
(なんで、私は出来ないんだろう・・・。)
努力しているのに、精一杯笑顔になって接しているのに。どうして?

¥¥¥

「はぁ」
「ただいま~」
私がため息を吐いた時、丁度ミナトが帰って来た。
私よりミナトが帰って来るのが遅いのは、
「ごめん。今日、店に連れていかれちゃって・・・」
ミナトのおかげで売り上げが伸びて、お礼に店に連れていかれるからなのだが、
よくミナトは、
「ごめん。断れなくて」
と謝っている。
(もしかして、ミナトが謝るのは、私がいるから?私がいなくなれば?)
ミナトは、こんな人生を送らず、仕事にもすぐについて・・・。
私の頭は、ミナトのことしか入ってこなかった。
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