転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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「ふぅっ…皆、1度休憩するか」

ああー、やっと休憩か。リエルが魔王になってから毎日忙しいのだ。父上がやっていた執務が俺にも回ってくるからな。

「では、俺がお茶を用意しよう」

コイツら、執務とかに関しては凄く優秀なのに、お茶を入れることに関しては全く才能がない。

「いいえ、そんなことは僕がやりますよ」

ロイは優しいから、俺がお茶を入れようとすると、やるっていう。他の3人は、誰が入れるのが1番マシかを知っているから何も言わない。

「気にするな。お茶を入れるのが好きだから大丈夫だ」

これは、いつもの断り文句。全然お茶を入れるの好きじゃないけど、こうでも言わないとロイは大人しく待っていてくれない。


とりあえず茶葉を取りに行こうと、立ち上がり歩き出した瞬間、急に身体から力が抜けた。床に無抵抗で倒れる前に気づいたリエルが、俺の身体を受け止めてくれる。

「カイト兄上、大丈夫ですか?」

「カ、カイト様…お身体の調子が悪いのですか?」

うーん、多分大丈夫だろうけどな。というか、双子!お前ら全然俺のこと心配してないね?!

「やっときた…待ちくたびれちゃったよ」

「ふむ、思っていたより早かったですね。意外と周期はバラバラなのでしょうか…」

なんか知ってるふうだよな。俺、この前ワコール様に病気にかからないって言われたばっかなんだけどな。

「とりあえず、カイト様を寝室に運ぼー!そのあとにちゃんと説明するからね…バランが」

いや、お前じゃないんかーい!とは思うけども、よくよく考えてみるとベルンよりバランの説明の方が信頼できる。

「説明は助かるが、この部屋でいいのでは?」

ここには、休憩用か分からないがふっかふかのソファーがある。そこで休めばいいと思うのだが。

「んー、だけどあっちの方がカイト様的にも助かると思う…あっ、もしもどうしてもこっちがいいなら大丈夫だよ?」

なんだろう、これは大人しく自分の寝室に行った方がいい気がする。

「…是非運んでくれ」


➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖






俺の寝室のベッドまで、リエルのお姫様抱っこによって運ばれた。

「それでは、説明させてもらいますね。まず……」

そこから、俺の身に何が起きているのかを教えてもらった。そこで言いたくなったのは、『ワコール様、そういうことは早く教えてよ!』だった。

「うーんと、ここからは僕が説明するね。魔力をいち早く回復させるには、誰かと性交しないといけないんだ。だけど、カイト様は王族でしょ?だから、無闇にいろんな人と性交しちゃダメなんだ」

せ、せせ、性交?そんなの俺やったことないから無理なのだが。

「ということで、この4人の中から選んでください」

何がということでだ。この4人の中から性交をする奴を選べってことだろ?普通にいやなのだが。しかし、仕方がない。それをしないとこの身体は動いてくれないんだろ?なら…

「…リエル以外で頼む!」

「「「はっ?」」」

いや、だって好きな人とヤるなんて恥ずかしいから俺には無理だ。ということで、巻き込んで申し訳ないが、リエル以外と頼んだ。

「…人払いを」

リエルから放出される魔力に圧倒される。ここまで魔力を感じるとただの毒だ。

「「「はいっ!」」」

えっ…ちょっと待って。みんな何で部屋から出て行くの?
ロイくん?ファイティンポーズなんて可愛いことするなら、俺のために一緒に残ってよ。

むりむりむり、こわいよ。
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