転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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同意なしの行為を仄めかす描写があります。





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うぅっ、眩しいな。誰かカーテン閉めてくれないかなー。さっきまで真っ暗な世界にいたから、やっぱり急に明るい部屋に来ると…って、バッと頭が覚醒した。

(俺、生きてる!!!)

…ごめん、言ってみたかっただけ。誰に謝ってるんだろうか、恥ずかしい。

「カイト兄上っ!!」

うんぉっ、唐突な大声は心臓に悪いぞ。
声の方を見てみるとリエルが俺の手を握っていた。見間違いでもなく目が泣きすぎてか、赤く腫れていた。心配かけさせたみたいだな…ごめんな、リエル。

「おはよう、リエル。ずっと側にいてくれたのか?」

本当にいい弟を持ったな、俺。

「丸一日も寝るなんてお寝坊さんだね…おはよう、カイト兄上。勿論ずっと側にいたよ。」

俺そんなに目が覚めなかったのか。結構痛かったもんな。そしてリエルよ、そんなにもずっと側にいてくれたのか。めちゃくちゃ嬉しいな、なんかこう1人じゃないって改めて思った。

「ありがとう、リエル。治療もお前がしてくれたんだろう?」

リエルに手を握られてない方で腹を触ってみると、傷は綺麗さっぱりなくなっていた。この国で一番魔法が上手いのはリエルであり、治癒魔法もリエルが一番だ。

「…すぅー、そうだよ。俺が兄上を治療したよ」

「本当にすまなかったな。…それで肝心な父上は?」

父上の傷は俺が受け持ったから多分大丈夫だと思うけど、見たわけでもないし聞いたわけではないからやっぱり心配だ。

「父上は目が覚めていない。やはり血を流しすぎたせいか、魔力もだいぶ抜けてしまったようだ。魔力を取り戻すのに時間がかかるみたいだ」

そうか、だけど魔力を取り戻したら目を覚ますみたいで安心した。魔力は魔法ではどうにもならない。
だけど、俺もだいぶ血を流したと思うが俺の魔力は問題がないみたいだ。身体の隅々まで魔力が通ってるのを感じる。

「早く目を覚ましてほしいな…」

「本当にね…」

しんみりした空気を破るようにノック音が聞こえた。

「…失礼致します」

どんよりした声で入ってきたのは俺の従者であるロイだ。

「おはよう、ロイ」

怠いせいで身体を起こせないので、俺生きてるよって声をかける。

「カイト様っ!よかったです、本当に」

凄い勢いで此方に走ってきた。それでも足音をたてないというのは、さすが俺の従者だ。

「心配かけてすまない」

ロイも心配してくれたみたいだというのが凄い伝わってくる。

「本当ですよっ!というか、カイト様。身体を起こせれなさそうですが、まだ傷が痛みますか?リエル様がに傷を(魔力も)治療をしていたみたいですが…」

うーん、傷はもう痛くないんだよ。ただな…

「治癒魔法の副作用?なのか、身体が凄い怠い。あと、多分これは倒れたときだと思うんだが…腰が凄い痛い」

そういうと空気が固まったように感じた。あれ、また俺なんか言っちゃいけないこと言った?
というか、これは恥ずかしいから2人にはいえないのだが…なんか尻の穴に違和感を感じてしまう。何も入って無いのに、入ってるように感じるのだ。

「ご、ごめんね。多分治癒魔法の副作用だと思う」

へー、治癒魔法もやっぱりかけすぎは良くないんだな。俺も気をつけよう。


「いや、治療してくれただけでありがたい。今度また御礼をする」

そうだ、御礼は大切だ。今度はお返しされないように気をつけなくちゃな。

「御礼なんてもういっぱいしてもらったから!いらないからね。むしろ俺がしてあげたいくらい」

いや、俺は御礼をしたつもりは全くないが?

「俺も何もいらないからな。…すまない、眠くなってきた」

ダメだ、起きてられん。寝よう…

「「おやすみ(なさいませ)」」

猛烈な眠気に襲われた俺はこの後の2人の会話は聞いていなかった。






「それで、リエル様…何回されたので?」

「…3回だけだ」

「だけ、ですか…治療というか魔法を回復するのにそんなにする必要はあったんですか?」

「いや、1回で充分だった」

「…言い訳は?」

「カイト兄上が可愛すぎるのが悪い!」

「開き直らないで下さい!次期魔王様でなければ殴ってましたよ」

「悪いことをしたと思っている、だが後悔はしていない」

「はぁっ、後悔してくださいよ。悪いと思ってるなら今すぐ治癒魔法をかけてください」

「もちろんだ」


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次は危険なリエル視点のお話です。
苦手な人は見なくても大丈夫なようになっております。
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