転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

文字の大きさ
上 下
20 / 42

17

しおりを挟む
目が覚めると真っ暗な世界が待っていた。

何も見えない…ただ、何か音が聞こえる。コツコツっと、誰かが此方に近づいてきているみたいだ。暗闇の中で誰かが近づいてくるなど、恐怖を感じるはずなのに不思議と感じない。

足音がなくなり、俺の前に何かの気配を感じた。この人…俺が見えてる?!

『やっと精神を此方に繋げられたみたいだな。どうだ、我が与えた力は役に立ったか?』

精神を繋げた?我が与えた力?
まだ状況が掴めていない俺に新しい情報を与えられたところで『?』が増えるだけだ。

『まだ理解が出来ていないみたいだな。我の名はワコール。其方に傷を変わりに受け持つ力を与えた』

ワコール様…?って、魔神の?!でも、俺に実際に力を与えたというところが信憑性を感じさせる。

「力を与えていただきありがとうございます!おかげで父上は生き返れました」

ワコール様に力を与えてもらってなかったら父上は生きていなかった。本当に感謝でいっぱいだ。
全力でワコール様がいるであろうところに頭を下げた。

『あぁ、我は別に…そういえば、世界はどうだ?』

この世界?って、もしかして…

「俺がこの世界の者ではないと知っているんですか?!」

ふへー、知ってる人がいたんだ。

『知っているというか、この世界にお前の魂を連れてきたのは我だ』

ええっ、そうだったのか。てか、何で俺だったのかな?

『…お前が適任だと我が判断したからだ』

魔神様に選んでいただけるなんて、光栄だな。というか、俺の心の声聞こえてるんですね?

『聞こえているぞ。異能者と呼ばれる者が持つ力は我の力を少し分け与えたものだ。我が持つ力に癒す力はなかったから、其方を苦しませることになった。申し訳ない』

いや、そんなそんな…俺の「父上が生き返ってほしい」という願いは叶ったんだから、それでいいんです。

というか、異能者ってそういうことだったんだ。だから、別名で魔神様の愛し子というのがあるんだな。

『お前のその望みが低いところはいいところなのか…さぁ、そろそろ現実世界に戻るところだろう。困ったことがあったら我の名を呼ぶといい。お前をこの世界に連れてきたのは、我の責任だ。少しでも力を貸そう』

望みが低い?そうなのかな…
現実世界に戻れるということは俺はちゃんと生きていられたんだな。
『責任』まるでこの世界に連れてきたことを悪く思ってるみたいだ。俺はこの世界に来れて幸せなのに…
力を貸してもらうのは本当に困ったときにしよう。

『幸せか…それならいいんだが。本当に大変なのは目が覚めてからだと我は思うがな…の其方への執着は相当なものだ。どうか無事でいてくれよ…』

そんな不穏なことを言わないでくださいよ!

『…目が覚めるみたいだな、ではまた会おう』

ちょっ、ちょっと待ってください!
『大変』っていうところを詳しく教えてくださ…

そこで、プツンっと意識が途切れた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――

BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」 と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。 「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。 ※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)

俺は勇者のお友だち

むぎごはん
BL
俺は王都の隅にある宿屋でバイトをして暮らしている。たまに訪ねてきてくれる騎士のイゼルさんに会えることが、唯一の心の支えとなっている。 2年前、突然この世界に転移してきてしまった主人公が、頑張って生きていくお話。

【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。

mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】  別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。

兄のやり方には思うところがある!

野犬 猫兄
BL
完結しました。お読みくださりありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです! 第10回BL小説大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、そしてお読みくださった皆様、どうもありがとうございました!m(__)m ■■■ 特訓と称して理不尽な行いをする兄に翻弄されながらも兄と向き合い仲良くなっていく話。 無関心ロボからの執着溺愛兄×無自覚人たらしな弟 コメディーです。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

姉が結婚式から逃げ出したので、身代わりにヤクザの嫁になりました

拓海のり
BL
芳原暖斗(はると)は学校の文化祭の都合で姉の結婚式に遅れた。会場に行ってみると姉も両親もいなくて相手の男が身代わりになれと言う。とても断れる雰囲気ではなくて結婚式を挙げた暖斗だったがそのまま男の家に引き摺られて──。 昔書いたお話です。殆んど直していません。やくざ、カップル続々がダメな方はブラウザバックお願いします。やおいファンタジーなので細かい事はお許しください。よろしくお願いします。 タイトルを変えてみました。

究極の雨男で疎まれていた俺ですが異世界では熱烈歓迎を受けています

まつぼっくり
BL
ずっとこの可笑しな体質が嫌だった。でも、いつかこの体質で救える命もあるんじゃないかと思っていた。 シリアスそうでシリアスではない 攻 異世界の虎さん✕ 受 究極の雨男 ムーンさんからの転載です

処理中です...