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リエル2
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カイト兄上と一緒に執務をしなくなってから10日経った。
前までは横を見ればカイト兄上がいて、たまに気づいては微笑んでくれた。それが今は出来なくて寂しくて辛いが、それを言い訳にして食事のときにはさらにくっついていられる。
『仕方ないなあ』って顔をして抱きしめたり、膝の上に乗せることを許してくれる。そこも可愛くて大好きなのだが、少し心配になる。カイト兄上に私以外の者がくっついたら、即座にソイツの存在を消してしまうだろう。そんなことをしたら、カイト兄上は悲しくて泣いてしまう。そこが俺の心配してることだ。
何の話をしてたんだっけ?あぁ、そうだ。カイト兄上と執務を別々にするようになった話だったな。
別に執務をする上で、同じ部屋でやることには何も問題はないのだ。だが、カイト兄上が出来損ないという噂を一掃する為には、父上に認められ1人で執務を出来るという証拠がいるのだ。だから仕方ないと私は思っている。
今のタイミングで別にされたのは、カイト兄上の執務室が準備出来たから。そしてもう一つが、従者が用意出来たからだ。
カイト兄上と一緒に執務が出来る従者であるロイのことを羨ましいと思う。
だけど、気に入らない訳ではない。
何故なら、彼はきちんと弁えた人だからだ。カイト兄上のことを慕ってはいるものの、そこには恋愛感情は無さそうだった。それに、私がカイト兄上に執着していることに気がついている。
この前、こんな会話をした。
『すみません、リエル様。実はお願いしたいことがありまして…』
『なんだい?』
『カイト様のお洋服が余りにも少ないと感じたのですが…』
『私が用意しておこう』
『ありがとう御座います!』
カイト兄上が着る服は俺が全て用意したい。この前、カイト兄上の衣装部屋を見てきたのだが地味でみすぼらしい服ばかりだった。だから、全て捨てさせて私が用意した服にすり替えておいた。
それでもやはり量が少ないか、またバレないように増やしておかないといけない。
こんなふうに俺のカイト兄上への愛が異常だと気づいているだろうと思う場面が何回かあった。だから、彼はカイト兄上と仲良くしながらも従者としての距離をきちんと保っている。
最初はなんでこんな凡人みたいな奴がと思っていた。だけど、彼はとても優秀であった。
これからもカイト兄上を支える存在であって欲しいよ。期待してるからね?
「リエル様~。カイト様のことばっか考えてないで手を動かしてください!」
何でバレたんだ。コイツらは私の心を覗くことは出来ないはずなのに。
「顔がにやけてますよ。きちんと引き締めてください」
…それはいけないな。ここは表情を作らないでいい場所だからついつい顔に出てしまう。
さぁ、今日もカイト兄上と食事をする為にも早く終わらせなくては…
たまには、カイト兄上の執務室にお邪魔して驚く顔を見に行ってもいいな。
前までは横を見ればカイト兄上がいて、たまに気づいては微笑んでくれた。それが今は出来なくて寂しくて辛いが、それを言い訳にして食事のときにはさらにくっついていられる。
『仕方ないなあ』って顔をして抱きしめたり、膝の上に乗せることを許してくれる。そこも可愛くて大好きなのだが、少し心配になる。カイト兄上に私以外の者がくっついたら、即座にソイツの存在を消してしまうだろう。そんなことをしたら、カイト兄上は悲しくて泣いてしまう。そこが俺の心配してることだ。
何の話をしてたんだっけ?あぁ、そうだ。カイト兄上と執務を別々にするようになった話だったな。
別に執務をする上で、同じ部屋でやることには何も問題はないのだ。だが、カイト兄上が出来損ないという噂を一掃する為には、父上に認められ1人で執務を出来るという証拠がいるのだ。だから仕方ないと私は思っている。
今のタイミングで別にされたのは、カイト兄上の執務室が準備出来たから。そしてもう一つが、従者が用意出来たからだ。
カイト兄上と一緒に執務が出来る従者であるロイのことを羨ましいと思う。
だけど、気に入らない訳ではない。
何故なら、彼はきちんと弁えた人だからだ。カイト兄上のことを慕ってはいるものの、そこには恋愛感情は無さそうだった。それに、私がカイト兄上に執着していることに気がついている。
この前、こんな会話をした。
『すみません、リエル様。実はお願いしたいことがありまして…』
『なんだい?』
『カイト様のお洋服が余りにも少ないと感じたのですが…』
『私が用意しておこう』
『ありがとう御座います!』
カイト兄上が着る服は俺が全て用意したい。この前、カイト兄上の衣装部屋を見てきたのだが地味でみすぼらしい服ばかりだった。だから、全て捨てさせて私が用意した服にすり替えておいた。
それでもやはり量が少ないか、またバレないように増やしておかないといけない。
こんなふうに俺のカイト兄上への愛が異常だと気づいているだろうと思う場面が何回かあった。だから、彼はカイト兄上と仲良くしながらも従者としての距離をきちんと保っている。
最初はなんでこんな凡人みたいな奴がと思っていた。だけど、彼はとても優秀であった。
これからもカイト兄上を支える存在であって欲しいよ。期待してるからね?
「リエル様~。カイト様のことばっか考えてないで手を動かしてください!」
何でバレたんだ。コイツらは私の心を覗くことは出来ないはずなのに。
「顔がにやけてますよ。きちんと引き締めてください」
…それはいけないな。ここは表情を作らないでいい場所だからついつい顔に出てしまう。
さぁ、今日もカイト兄上と食事をする為にも早く終わらせなくては…
たまには、カイト兄上の執務室にお邪魔して驚く顔を見に行ってもいいな。
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