転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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リエルに連れられてやってきたオニキス宮殿。

どうやって連れられてきたのかって?
…ご想像にお任せしよう。ただ俺は疲労のせいで身体が自由に動かせないとだけ言っておく。


そうしてやってきたオニキス宮殿。


宮殿は、暮らしている王子によって雰囲気が全然違う。

俺が暮らすサファイア宮殿。俺が静かな空間が好きというのもあって必要最低限の物しか置かず、質素な雰囲気だ。
それに比べてリエルの暮らすオニキス宮殿。リエルのキラキラした雰囲気が前面に出たような宮殿になっている。

もちろん中に入ってもキラキラしてた。俺には眩しすぎて目がチカチカするがな…

「リエルらしい宮殿だな…」

ついつい思っていたことが言葉に出てしまった。それくらいこの宮殿に圧巻された。

「ふふっ、ありがとう。サファイア宮殿もカイト兄上らしく素敵だよ」

そうだろう、そうだろう。マリーやセバスチャンが管理してくれるようになって、凄く住み心地が良くなった。
俺の自慢の宮殿となっている。




「お待たせ致しました」

席に座って間もなくして、キラキラしたデザートたちが運ばれてきた。

「おぉっ、食べていいか?」

「どうぞ!」


色とりどりなデザートはなかなか俺の宮殿では見ることがない。

「んーまいっ!」

「それは良かった!シェフに後で伝えておこう」

俺の宮殿のデザートは、なるべく調味料を使わず素材の味を引き出すように作られている。しかも、着色料も使ってないから素材の色が出ている。
この宮殿のデザートは、見た目も味も完璧を求めているというのが分かる。

どちらが美味しいと言われても答えられない。お互いに違いすぎるのだ。どちらもとっても美味しいというのが分かる。

よし決めた!何かと理由をつけてこの宮殿のデザートを定期的に食べに来よう。



そういえば、疑問に思っていたことがある。

「…なぁ、なんで闘うのに俺を選んだ?俺よりも強い人はいるはずだ」

俺より強い奴なんて幾らでもいる。闘うなら騎士団の人達の方が良かったはずだ。

「ううん、俺の中ではカイト兄上が一番強いよ。騎士団長とも闘ったことあるんだけど、そん時は圧勝したもの」

それはさすがに信じられないぞ、リエルよ。騎士団長と言ったらめちゃくちゃ強い人じゃないか。その人相手に圧勝とか怖すぎるぞ。

「カイト兄上と闘って、すっごく楽しかったんだ!また宜しくね」

「いやだ」

ぜっっったいに嫌だ!あんな疲れること二度としたくない。

「ここのデザートを付けると言っても?」

「行きます!あっ…」

「ありがとう、カイト兄上!すっごく楽しみだな」

くっそ、俺としたことが…美味しい物に釣られちゃダメだろ。また地獄見ることになるのに!

そうしてまた次の約束をさせられた…
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