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リエル1
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カイトの敵を処理した後のお話。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
私の兄上は素晴らしいお方だ。
剣術、魔法学、勉学…先生を付けてもらってないに関わらず、元からの才能と書物で学んでいるのだ。
毎日見守ってた俺は知っている(魔法って便利だね…こっそり書物の中から感知魔法について書いてあるの抜いて良かった)
カイト兄上の欠点をあげるとしたら、敵があまりにも多いことだろう。その筆頭を挙げるとしたら私の母親だった者だろう。あれの腹から産まれたとは思いたくないほど最悪な人だった。
私の母親がカイト兄上の母親だったらと何度も思った。だから、私が母上と呼ぶのはカイト兄上の母親ただ1人だ。
そんな母上はもうこの世にはいない。7年前の私が5歳のとき、私の母親に殺されたのだ。その証拠を集めたり、カイト兄上に害を及ぼした者を処理するのにこんなにも時間が掛かってしまった。
普通ならもっと早く処理出来ていただろう。だけど、私の信頼していた従者の中にカイト兄上のことをよく思わない者がいて邪魔をしていたのだ。忙しいからとその者にサファイア宮殿の人選を頼んだのも間違いだった。
私はカイト兄上の敵を全滅させるまで会わないとけじめをつけていた。
だけど、やっと敵を全滅させた。こうしてカイト兄上に触れることができる。とても、喜ばしいことだ。
勘違いしないでいただきたいが、ただ治癒魔法をかけているだけだから!
ただ、治癒魔法を掛けているときに問題を見つけてしまった。カイト兄上の魂に強い呪いが掛けられていたのだ。
私にはなんとなくだが、心当たりがある。それは、カイト兄上が治療中の寝言で謝っていた人物だろう。
『リヒト…ごめんなさい、ごめんなさい。もう近づかないから…許して、お願い』
呪いを解くにはその相手に会わないといけない。
魔法[夢渡り]これはその名の通り望んだ相手の夢へ渡れる魔法である。これは禁書に書かれているくらい危険な魔法だ。何故かというとどんな相手の夢でも渡れるからだ。
たとえ、異世界の者であってもだ。実はカイト兄上の寝言は私には聞き取ることが出来なかった。それを魔妖が翻訳して教えてくれたのだ。『異世界の言葉だ』と、カイト兄上が何故異世界との繋がりがあるか分からない。そのリヒトという者に会ったら何か分かるかも知れない。
通訳してくれる魔妖と共にリヒトの夢へ渡った。
➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖
「ひっ、うぐっ…うぅ」
誰かが泣いている。
「もしや貴方がリヒトか?」
顔を上げてこちらを見た男は黒髪に黒目だった。
「あぁ、そうだが…お前は?」
「私はリエルだ。貴方に聞きたいことがあって会いに来た」
この魔法を使って夢の中にいられるのはごく僅かな時間だ。だから、なるべく手早く呪いを解く必要がある。
「貴方の最も愛していた者の名は?」
「そんなの、ユウマ兄さんに決まってる!」
その言葉を聞いたとき嫌な予感がした。
「その人物は亡くなっていたりするか?」
「…2日前に亡くなってしまった」
あぁ、やはりか。今、カイト兄上の中にある魂はユウマという人物なのだろう。まあ例え魂が違えど私の兄上であることに変わりはない。
ただ、どうしても納得しないことがある。
「そのユウマという人物はこれから幸せにするつもりだよ、私がね。だから、安心してお眠り」
相手が騒ぎ出しそうだったのでさっさと眠らせた。そして、解呪もしておいた。
それから、もう一つ禁書で見つけた魔法も掛けておいた。
夢から出たらカイト兄上にも掛けなきゃね。カイト兄上の弟は私1人で良いと思わない?重い愛を呪いに変えてしまう弟なんていらないでしょ…ねえ?
納得しないこと?それはカイト兄上にとって私と同じ存在がもう1人いることだよ。
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私の兄上は素晴らしいお方だ。
剣術、魔法学、勉学…先生を付けてもらってないに関わらず、元からの才能と書物で学んでいるのだ。
毎日見守ってた俺は知っている(魔法って便利だね…こっそり書物の中から感知魔法について書いてあるの抜いて良かった)
カイト兄上の欠点をあげるとしたら、敵があまりにも多いことだろう。その筆頭を挙げるとしたら私の母親だった者だろう。あれの腹から産まれたとは思いたくないほど最悪な人だった。
私の母親がカイト兄上の母親だったらと何度も思った。だから、私が母上と呼ぶのはカイト兄上の母親ただ1人だ。
そんな母上はもうこの世にはいない。7年前の私が5歳のとき、私の母親に殺されたのだ。その証拠を集めたり、カイト兄上に害を及ぼした者を処理するのにこんなにも時間が掛かってしまった。
普通ならもっと早く処理出来ていただろう。だけど、私の信頼していた従者の中にカイト兄上のことをよく思わない者がいて邪魔をしていたのだ。忙しいからとその者にサファイア宮殿の人選を頼んだのも間違いだった。
私はカイト兄上の敵を全滅させるまで会わないとけじめをつけていた。
だけど、やっと敵を全滅させた。こうしてカイト兄上に触れることができる。とても、喜ばしいことだ。
勘違いしないでいただきたいが、ただ治癒魔法をかけているだけだから!
ただ、治癒魔法を掛けているときに問題を見つけてしまった。カイト兄上の魂に強い呪いが掛けられていたのだ。
私にはなんとなくだが、心当たりがある。それは、カイト兄上が治療中の寝言で謝っていた人物だろう。
『リヒト…ごめんなさい、ごめんなさい。もう近づかないから…許して、お願い』
呪いを解くにはその相手に会わないといけない。
魔法[夢渡り]これはその名の通り望んだ相手の夢へ渡れる魔法である。これは禁書に書かれているくらい危険な魔法だ。何故かというとどんな相手の夢でも渡れるからだ。
たとえ、異世界の者であってもだ。実はカイト兄上の寝言は私には聞き取ることが出来なかった。それを魔妖が翻訳して教えてくれたのだ。『異世界の言葉だ』と、カイト兄上が何故異世界との繋がりがあるか分からない。そのリヒトという者に会ったら何か分かるかも知れない。
通訳してくれる魔妖と共にリヒトの夢へ渡った。
➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖
「ひっ、うぐっ…うぅ」
誰かが泣いている。
「もしや貴方がリヒトか?」
顔を上げてこちらを見た男は黒髪に黒目だった。
「あぁ、そうだが…お前は?」
「私はリエルだ。貴方に聞きたいことがあって会いに来た」
この魔法を使って夢の中にいられるのはごく僅かな時間だ。だから、なるべく手早く呪いを解く必要がある。
「貴方の最も愛していた者の名は?」
「そんなの、ユウマ兄さんに決まってる!」
その言葉を聞いたとき嫌な予感がした。
「その人物は亡くなっていたりするか?」
「…2日前に亡くなってしまった」
あぁ、やはりか。今、カイト兄上の中にある魂はユウマという人物なのだろう。まあ例え魂が違えど私の兄上であることに変わりはない。
ただ、どうしても納得しないことがある。
「そのユウマという人物はこれから幸せにするつもりだよ、私がね。だから、安心してお眠り」
相手が騒ぎ出しそうだったのでさっさと眠らせた。そして、解呪もしておいた。
それから、もう一つ禁書で見つけた魔法も掛けておいた。
夢から出たらカイト兄上にも掛けなきゃね。カイト兄上の弟は私1人で良いと思わない?重い愛を呪いに変えてしまう弟なんていらないでしょ…ねえ?
納得しないこと?それはカイト兄上にとって私と同じ存在がもう1人いることだよ。
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