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家族の仲があまりよろしくないということもあって、俺はいつも部屋で食事をしていた。
「ふぅー、美味しかった」
それにしても、いつもに比べてとても美味しい食事だった。
いつもというのはカイトの記憶を見た過去のことだ。
俺が転生してくる前のカイトの食事はとても美味しいものではなかった。
この世界の食事はそういうものかと残念に思ってたのだが、どうやらそうではなさそうだ。今思うと俺への嫌がらせだろう。
敵がいてもよかったなんて言ったが、周りの人が優しい世界の方がいいに決まってる。
コンコンコンッ
「リエルです。入るよ」
リエルが来たみたいだ…
昨日、執務を終わらせてからまた俺の部屋に帰ってきたリエルとはたくさんのお話をした。今までの距離を埋めるくらい、というか昨日はもっとたくさん話したいと言われて一緒のベットで寝たんだった。
…あのときは俺も話したいと思ってたから「いいよ」と言ったけど、今思うとすごく恥ずかしい。
「あの、カイト兄上…。疲れてるならやめておこうか?」
おっと思考を飛ばしすぎたみたいだ。
俺の顔は心配されるくらい死んだ顔をしてたのだろう。この顔でブサイクになることはないと思う…多分。
「いや、大丈夫だ。少し考えごとをしていた。どうしたんだ?」
リエルは関わってから気づいたのだが、相当過保護な人間だ。
治癒魔法をかけてもらった俺は走り回れるくらい元気なのにベットから出る許可がもらえない…
カイトはほとんどを自室で過ごしていたため、全く城の構造が分からないのだ。
あぁっ、早くお城探索したい!
「ならいいんだけど…実は紹介したい人がいてね。部屋の外で待機してもらってるんだ」
紹介したい人…
まっ、まっ、まさか!恋人か?!
恋人がいたなら早く言ってよー。
いや、この前まで俺たちそんな仲良くなかったか…
「…はぁっ、カイト兄上。あなたが想像してる人とはぜ・ん・ぜ・ん!違いますからね!………入ってきてくれ」
リエルよ、そんな疲れきった顔をしないでくれ。
そっかー。恋人いない同士仲良くしていこうな!お兄ちゃんは勝手にお前のことをリア充やろうかと思ってたよ。ごめんな。
「「「失礼致します」」」
ん?3人いるのか…
「では、右から自己紹介を」
「昨日からサファイア宮で侍女長を務めさせていただいております。マリー・フロイトで御座います。よろしくお願い致します」
いかにも優しいおばさまって感じだ。なんか安心される笑顔をしている。
サファイア宮とは俺に与えられてる宮殿だ。こんな俺でもしきたりだから、宮殿は用意された。
「よろしく、マリー」
「初めまして、カイト殿下。こちらで執事長を務めます、ジルバ・ユーテリアスで御座います。何か困ったことがありました何なりと執事一同にお伝えください」
セバスチャーン!って叫びたくなったくらい、いかにも執事って感じの人だ。
「よろしく、セ…ジルバ」
あっぶなー。セバスチャンって言うところだったわ。
「は、初めまして!おれっ、じゃなくて…わたくしめは料理長を務めます。ハリウスです。何か食べたいものがあったら言ってください!」
おぉ、見た目すごいワイルドなのにたどたどしい喋りだな。名前的に平民ぽいから仕方ないのかな?
「よろしく、ハリウス。朝食もとても美味しかったよ」
緊張してるみたいだから、にっこり微笑んでおいた。これは一昨日までなら絶対にカイトならしない表情だろう。すごい無表情って感じだ。
「っつ…ありがとうごじゃいましゅ」
(ひぃっ、美しすぎる!誰だよ、第一殿下は醜いと言った奴は!)
ありゃ?余計にたどたどしくなったぞ。
美味しかったと伝えといた方がいいと思ったんだがな…
「カイト兄上……まぁ、いい。3人は下がってくれ」
みんな綺麗な一礼をして下がっていった。いや、料理長は視線がキョロキョロしてたけどね。
「あの、カイト兄上。そのような笑みは私以外の前でしないで?みんな驚いて心臓止まるから(この素晴らしい笑顔を知ってるのは私だけでいい…もう遅いが)」
あぁ、そうだよな。無表情だった奴が急に笑顔になったら驚くだろう。ただ、心臓止まるは言い過ぎだろ。
「あぁ、分かった」
「そうしてね。それで、あの3人はどうだった?私と父で厳選してきたんだ」
…おい、ちょっと待て。
私と父
で厳選した?!そんなわけあるか!父に避けられてる俺に気をつかいすぎだ!
まぁ、この優しい嘘に付き合うか。
「ありがとう、リエル。とても良さそうな3人だった」
「よかった!何かあったら言ってね。(替えは探そうと思えば見つかる)」
おい、なんか怖い副音声が聞こえた気がしたのだが…まっ、気のせいか!
それにしても、みんないい人そうだったー!これからの生活がすごく楽しみだ。
「ふぅー、美味しかった」
それにしても、いつもに比べてとても美味しい食事だった。
いつもというのはカイトの記憶を見た過去のことだ。
俺が転生してくる前のカイトの食事はとても美味しいものではなかった。
この世界の食事はそういうものかと残念に思ってたのだが、どうやらそうではなさそうだ。今思うと俺への嫌がらせだろう。
敵がいてもよかったなんて言ったが、周りの人が優しい世界の方がいいに決まってる。
コンコンコンッ
「リエルです。入るよ」
リエルが来たみたいだ…
昨日、執務を終わらせてからまた俺の部屋に帰ってきたリエルとはたくさんのお話をした。今までの距離を埋めるくらい、というか昨日はもっとたくさん話したいと言われて一緒のベットで寝たんだった。
…あのときは俺も話したいと思ってたから「いいよ」と言ったけど、今思うとすごく恥ずかしい。
「あの、カイト兄上…。疲れてるならやめておこうか?」
おっと思考を飛ばしすぎたみたいだ。
俺の顔は心配されるくらい死んだ顔をしてたのだろう。この顔でブサイクになることはないと思う…多分。
「いや、大丈夫だ。少し考えごとをしていた。どうしたんだ?」
リエルは関わってから気づいたのだが、相当過保護な人間だ。
治癒魔法をかけてもらった俺は走り回れるくらい元気なのにベットから出る許可がもらえない…
カイトはほとんどを自室で過ごしていたため、全く城の構造が分からないのだ。
あぁっ、早くお城探索したい!
「ならいいんだけど…実は紹介したい人がいてね。部屋の外で待機してもらってるんだ」
紹介したい人…
まっ、まっ、まさか!恋人か?!
恋人がいたなら早く言ってよー。
いや、この前まで俺たちそんな仲良くなかったか…
「…はぁっ、カイト兄上。あなたが想像してる人とはぜ・ん・ぜ・ん!違いますからね!………入ってきてくれ」
リエルよ、そんな疲れきった顔をしないでくれ。
そっかー。恋人いない同士仲良くしていこうな!お兄ちゃんは勝手にお前のことをリア充やろうかと思ってたよ。ごめんな。
「「「失礼致します」」」
ん?3人いるのか…
「では、右から自己紹介を」
「昨日からサファイア宮で侍女長を務めさせていただいております。マリー・フロイトで御座います。よろしくお願い致します」
いかにも優しいおばさまって感じだ。なんか安心される笑顔をしている。
サファイア宮とは俺に与えられてる宮殿だ。こんな俺でもしきたりだから、宮殿は用意された。
「よろしく、マリー」
「初めまして、カイト殿下。こちらで執事長を務めます、ジルバ・ユーテリアスで御座います。何か困ったことがありました何なりと執事一同にお伝えください」
セバスチャーン!って叫びたくなったくらい、いかにも執事って感じの人だ。
「よろしく、セ…ジルバ」
あっぶなー。セバスチャンって言うところだったわ。
「は、初めまして!おれっ、じゃなくて…わたくしめは料理長を務めます。ハリウスです。何か食べたいものがあったら言ってください!」
おぉ、見た目すごいワイルドなのにたどたどしい喋りだな。名前的に平民ぽいから仕方ないのかな?
「よろしく、ハリウス。朝食もとても美味しかったよ」
緊張してるみたいだから、にっこり微笑んでおいた。これは一昨日までなら絶対にカイトならしない表情だろう。すごい無表情って感じだ。
「っつ…ありがとうごじゃいましゅ」
(ひぃっ、美しすぎる!誰だよ、第一殿下は醜いと言った奴は!)
ありゃ?余計にたどたどしくなったぞ。
美味しかったと伝えといた方がいいと思ったんだがな…
「カイト兄上……まぁ、いい。3人は下がってくれ」
みんな綺麗な一礼をして下がっていった。いや、料理長は視線がキョロキョロしてたけどね。
「あの、カイト兄上。そのような笑みは私以外の前でしないで?みんな驚いて心臓止まるから(この素晴らしい笑顔を知ってるのは私だけでいい…もう遅いが)」
あぁ、そうだよな。無表情だった奴が急に笑顔になったら驚くだろう。ただ、心臓止まるは言い過ぎだろ。
「あぁ、分かった」
「そうしてね。それで、あの3人はどうだった?私と父で厳選してきたんだ」
…おい、ちょっと待て。
私と父
で厳選した?!そんなわけあるか!父に避けられてる俺に気をつかいすぎだ!
まぁ、この優しい嘘に付き合うか。
「ありがとう、リエル。とても良さそうな3人だった」
「よかった!何かあったら言ってね。(替えは探そうと思えば見つかる)」
おい、なんか怖い副音声が聞こえた気がしたのだが…まっ、気のせいか!
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