転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃

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うぅっ、眩しい。

「ぁっ、あ"ぁっ…(よく寝たわー)」
えっ?声が出ないんだが?
とりあえず起きて水飲むか、よっこいし……
「い"っ!!」
ぐわぁー!なんだこれ。身体中に激痛がはしる。声出ないから叫びたくても叫べねえんだが!
俺何かしたっけな。首もうまく動かんが見覚えない風景ってことはここは病院か?なら、納得いくな。

コツコツッ…

おっ、誰かが入ってきた。
看護師か?
俺は起きました、生きてるよって知らせる為に辛うじて動く顔を何とか動かした。

髪の毛凄い色だな。赤色とか初めて見た。てか、目の色も髪と同じ赤色なんだな。この田舎じゃさぞかし目立つだろうに。

「チッ。なんだよ生きてたのかよ…お前なんか死んでしまえば良かったのに。
魔王様の息子はリエル様だけで充分だ。出来損ないは生きている価値な…ぐはぁっ!」
俺は魔王の息子なんていうヤバイ奴じゃないんだが…って、ええ!!目の前にいた人が急に消えた。

「いい度胸だな?」
また誰かが入って来たみたいだな。

うぉっ、目がつぶれる。イケメンすぎだろ。もう少しそのキラキラをしまってくれ!だけど、その黒髪と黒目は目に優しいわ。

「ちっ、違うんです。リエル様」
焦ってんな。さっきまでの飄々した顔はどこいった。てか、リエル?って名前さっきもこの男の口から聞いた気がする。

「何が違うというんだ?魔王の息子である兄上はたかが従者であるお前なんかに侮辱されていい存在ではないと私は思うんだが?」
なんか、凄い怒ってるな。整った顔が怒ると余計怖いとは聞くがそれを今、実感したわ。
「そっそれは…」
てか、俺に関係ない話ならここじゃないとこでやってくれないかな?

「まぁいい、あとで言い訳は聞く」
おぉい?イケメンが近づいてくるんだが。これ以上近い距離で神々しい顔を見ると目がほんとに潰れる。

「今までごめんね…助けにくるのが遅くなってしまった。あとは俺に任せて」
お前が俺に謝ることはないだろ。てか、知り合いでもないお前にごめんねなんて言われることはないと思うけど。

「ゆっくりおやすみ…兄上」

その名前を聞いたとき、一気にカイトとしての記憶が頭に入ってきた。

そうかもう俺は悠真じゃないんだな。
やっとあの地獄から抜け出せたのか…

薄れゆく意識のなかでそう思った。

➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖






「んんっ、うぉっ!」

目を覚ましたとき、イケメンのどアップがあって思わず叫んでしまった。
いや訂正しよう。無駄に顔の整った弟が俺の顔を覗きこんでいた。

「おはよう、カイト兄上!」
「おっ、おはよう」
てか俺の声出るようになってる!

「兄上、どこか痛いとこある?治癒魔法をかけておいたけど…」
あぁっ、魔法か。そうかこの世界には魔法というのが存在してるみたいだな。使うのが凄く楽しみだな!
「あぁ、ありがとう。どこも痛いところはない」

「よかった!それで今までのことについて話しておきたいんだけど…」

ぐぅぅぅっ…

うわっ、俺の腹空気よめよ!めっちゃ恥ずかしいんだけど。

「ふふっ、そうだよね。2日間くらいカイト兄上は何も食べてないからね、今持って来るよ」

「……ありがとう、助かる」

リエルが帰ってくるまで簡単に記憶を整理しておこう。

俺は魔王の長男である。
名前はカイト、13歳。
普通なら長男である俺が次期魔王となるだろう。だが、俺にはその資格はない。
なぜなら、金髪碧眼だからだ。
魔王の息子として生まれたからにはリエルのように黒髪黒目でなければならない。
だから俺は妨げられて生きてきた。勉学、剣術、魔法学全て努力してきたのに、俺は出来損ないと言われてきた。

そんな俺にも優しかったのは母だけだった。父と弟は俺に関心がなかったように見えた。なのに、弟は今頃近づいて来た。それが何を示しているのかは後で話してくれるだろう。



コンコンッ。
「入っていい?」

「どうぞ。」

弟が帰って来たみたいだ。
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