40代(男)アバターで無双する少女

かのよ

文字の大きさ
上 下
403 / 408

396 それでもあなたはあこがれの

しおりを挟む
「が……」
「ガルドさんが……嘘だろ……」
<いや、逆に良かった! だってほら、ガルドさんが中肉中背だったら泣くって言ってたろ!?>
「見たのか!? 陽太郎!」
<見てない! 俺今移動中!>
「じゃあ分からないだろ、容姿」
「みっ、み、みず、うっ、カッコいい子だよっ! オッサンなんかじゃないもん!」
「あ……」
「しまった、そうだった……ハヤシモの甘桜めんじゃこはデマで、ガルドさんなんだったな」
「うっ、ううっ!」
「あー……ハヤシモはショックだよな……同級生がガルドさんだとは……俺らにとってはガルドさんがはじめにあって、ハヤシモの言う同級生のイメージが後から又聞きで加わったに過ぎない。もちろんネナベだったことへの衝撃はあるけど」
<うーん、確かにビックリだが、言うほどじゃないや。性別が違うくらいどうってことなかったな。だってガルドさんだぞ? なんか色々悟って超越してる感はあったし>
「うんうん。アレだ。菩薩」
「もしくは無性的、か。常々下心が皆無だとは思ってたが」
「まさか男じゃないとは思わなかったぜ。むしろ年下ってことの方がショックデカい」
「ぐっ……ま、まぁ、アレだ。人生二周目なんだろう。人として出来過ぎてるのは純粋に尊敬する」
「人生経験分厚過ぎるって言ってたのにな……逆じゃん。俺らより年下とか相当若いぞ」
「薄くとも濃密なんだろう」
<う、やっぱショックかも……憧れっていうかさ、ああなりたいって理想だったじゃん。俺ら三人の>
「……まぁ、な」
「それは……いや、そもそもガルドさんもあの人の理想だったのかもな」
<ろ、ロールプレイっ!?>
「そういう意味では、ガルドさんを一番大切にして尊敬していたのはガルドさん自身なのかもしれない」
「なるほど~!」
<そうだな! そこにあの神業プレイスキルが加わった結果、俺らの知ってるガルドさんに仕上がる訳だ!>
「そう言われるとますます感動しちゃうな」
「俺らが追いかけてたのは、日本でトップクラスの大剣使いだ。あの上手さが大前提。人柄も尊敬してはいるが、そもそもプロプレイヤーの一人としてのガルドさんを追いかけてたんだよな、俺たちは」
<やっぱり俺、ガルドさんを支える仕事、やれて良かった……うっ、ぐすっ!>
「泣くなよ。俺らの分まで頑張れ」
「バカーっ!」
<うわハヤシモ! だから大音量で叫ぶなって!>
「バカバカ! ヨウタロさん! みずを早く連れてきてよぉっ!」
<落ち着けって! 言ったろ? 俺もこれから島に匿ってもらう訳でさぁ、ガルドさんも他の人達も、例の奴らとか色んな悪い奴に狙われて……>
「知らないよもうっ! みずは騙されてるの! 他のオッサンたちなんか知らない! ゲームのアバターにみずがわざわざオッサン選ぶ訳ないじゃん! 勝手に設定されて連れ回されて、ハワイにまで連れてかれるところで誘拐されて……みず可哀想すぎるじゃんか!!」
「えーっと」
<いや、ガルドさんは俺らよりフロキリ歴長いし……>
「みず、可愛いから! 美人だから! きっとあの榎本とかいうヒゲ面オヤジが束縛野郎で、他の男に盗られないようワザとブサ顔アバターに押し込めてるんだ!」
「ガルドさんカッコいいだろ」
「他の人なんてどいつもこいつも血も涙もない悪い奴ばっかり! ヨウタロさん、島に着いたらみず連れて脱出して! どうせみずが一人居なくっても、他の人がいれば計画は大丈夫だもん! むしろ置いてきて!」
「あんまり泣くと目が赤くなるぞ、ハヤシモ」
「シゲさんだって泣いてるじゃん!!」
「俺のはただの嬉し泣きだ……ガルドさんが無事なら、それでいいんだ……」
「ぐすっ……うん。元気そう……でも許せないよーっ!」
<ハヤシモはお茶でも飲んで少し落ち着け>
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

World of Fantasia

神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。 世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。 圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。 そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。 現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。 2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。 世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~

オイシイオコメ
SF
 75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。  この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。  前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。  (小説中のダッシュ表記につきまして)  作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。

【なろう440万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

処理中です...