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32.5 ミルキィウェイの奥底に
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これは、AI内蔵型のぬいぐるみのミルキィをみずきに見てもらう、クラスメイトの少女:林本チヨコのお話
寂しいと思うことが多い。共働きの両親に、自分より頭の良い姉、何か全部悔しかった。
「チヨコちゃん、元気だして?」
そう語りかけてくれる新しい家族に、私はすぐにメロメロになってしまった。家にいるときはずっとぎゅっと抱き締めて、さすがにお風呂にいれるとセンサーやAIが壊れてしまうから、それ以外はずっと一緒に行動した。
「僕ね、チヨコちゃんのハミングが好きだよ。また歌ってよ」
チョコレート色をしたこの子にミルクの名前をつけたのは、私がチョコに似た名前だから。チョコレートとミルク。合わせると、ミルクチョコになる。甘くてとろけそうなそれが、私のお気に入り。だからミルク、ミルキィと名付けた。
鼻唄をハミングだなんて甘い言葉で言ってくれたミルキィちゃんは、私のうる覚えのCMソングが好き。人気のアイドルは好きだけど、私はあまり彼らの曲が好きじゃない。かっこいいけど歌は下手だ。歌は、やっぱりキャッチーで聞き取りやすい声とリズムに限る。だから私はCMソングばかり鼻唄で歌った。
ずっと一緒のミルキィちゃんの、その向こう側に誰かがいるなんてなんて考えたこともなかった。ミルキィちゃんは私のことを一番に考えてくれたし、それしか話さない。ミルキィちゃんと私の間で、世界はそれだけなはずだった。それが違うかもしれないと聞いて、私はすごく不安になった。
綺麗な真っ白だったミルキィちゃんに鼻唄を教えたのも、香りを知ってもらったのも、勉強中に励ましてもらったのも、全部私とこの子の思い出だ。それは土足で踏み込んでほしくない秘密の部屋。ママやパパやねぇねにさえも知られたくない、秘密の部屋。
乙女の夢の部屋にブサ男がずかずか来るなんて、ヘドが出る。本気で吐きそう。
「みず、どうかなぁ……大丈夫かなぁ」
私一人じゃミルキィちゃんの中身なんてわからなくって、そういうのに強いみずが助けてくれると言ってくれた。みずは静かで無口で、すっごくクール。正直近付きにくいタイプ。
でも、仲の良いみやのんやさくちんが仲良くしてて、話しかけるとぽつりと面白いことを言ってくれる。かわいくて、でもスキンケアに無頓着で、みずのことはちょっとずつ分かってきた。
とりあえず、凄いメカに詳しい。
「裏口の気配は無いかな……」
「うらぐち?」
なんだかよく分かんないけど、怪しい出入り口の気配はしないってことみたい。機械に詳しいけど、小難しいしゃべり方をしないから分かりやすかった。
気配とか、雰囲気とか、匂いとかで表現してくれる。変な匂いはしないよ、とか。
ミルキィちゃんの匂いは、きな粉みたいなんだってみずが言った。甘くて優しくて、でもちょっと粉っぽくて辺り一面に舞い散ってる感じ。さっぱりよく分かんない。
回路がどうとか、プログラムがどうとかは言わない。そんなこと言われても逆に不安だったし、でも専門的なことを分かってるみずだからこそ安心して任せられた。
「ちょっとざらざらするところがある。ここ、拭いとくね」
「うん、ありがと~!」
分かりやすい言い方で嬉しかった。ミルキィちゃんのお腹に聴診器みたいなコードをぴたりと当ててるのが、まるで内科の先生のようだった。
他のクラスの眼鏡の奴が、興味深そうにみずの診察を見はじめた。廊下を通りがかったときに、みずがコード垂らしてるのに気付いたって言ってる。
僕も将来脳波コン欲しいとか言ってるけど、正直そんなの要らないと思う。スマホの中身を他人に見られる世の中で、頭の中にスマホみたいなの入れちゃったら、裸で歩くようなものだ。気色悪い、みずは別だけど。みずはすごい技術でそういうのを全部防いでそう。
勝手に入ってきたその眼鏡は、完全な部外者だった。邪魔だと思うけどみずが追い払わないから様子を見る。
話しかけられても邪険にしないで返事をするみずは、クールに見えて意外と柔らかい感じだった。私はよく「冷たい」って男に言われるから、クールと冷たいは違うってわけだ。クールは冷たいより柔らかい。変なの。でもみずと私は全然違うから、何となく分かる。男に対してだけだけど、みずは柔らかかったし、私は冷たかった。
だから一年しないでフラれちゃったんだな、なんて思った。みずはもう四年も彼と仲良しなんだもの。
「……佐野さん、そのざらざらって」
「仮置きしてたコード、かな。詳しくはわからない」
「必要なものだったら消去はまずいんじゃない?」
「くっついてないのは分かる。他のものと網目みたいになってるところじゃなく……えっと……ミカンのネットがあってミカンをくるんでるんだけど、ネットの外にミカンの葉っぱが落ちてる感じ」
「えっと……デッドコードのことかな。嘘、葉っぱに見えるの?」
「例えだけど、感覚だとそんな感じ。ポテチの袋の、最後に出てくるカケラみたいな」
「凄いね、佐野さん言語読めるんだ……」
「読めないけど」
「え?」
「ええ?」
話を聞いていた私も、びっくりした。わかってるように見えたみずが、実はミルキィちゃんの中身を読んでた訳じゃないってことが意外だった。
てっきり、全部すらすら読めてたんだとばかり思ってた。ミルキィちゃんの脳みそが丸見えで、そしたら私の生活も丸見えで恥ずかしいな~なんて照れてたのに。
「読めないのに異常の有無とかデッドコードとか、バックドアとか分かるの?」
「バッグドア……ああ、入りやすくする裏口みたいなやつ。それは見たことあるから……」
「見たことある!?」
眼鏡のオタクがビックリしてる。私はよくわからないけど、もしかしたらレアなことなのかもしれない。その裏口っていうのが何であれ、ミルキィちゃんに変な穴を開けてる奴はいないみたいだった。
「詳しい友達が、視線のこと相談したら手伝ってくれて……教えてくれた」
「視線。それ、バックドアで入り込んでたってこと?」
「そう」
「被害者だったの!?」
「え、みずに何、被害って何」
そいつの大きな声に、私まで心配になった。被害者ってことは、ミルキィちゃんにあるかもと言われたような「キモいオタクが女子高生の私生活を覗こうとしてる」ってことの被害にあったってことだ。
「だいじょうぶ、行動履歴見られただけだった」
「十分危険じゃない?」
「ゲーム内の話だし」
ちょっと安心した。ゲームっていうのは、彼氏と会ってるあのフルダイブゲームのことで、しょせんゲームだから危なくなったら辞めちゃえるはずだ。
私だったら、ゲームなんかで彼氏には会わない。チャットルームとかでいっぱいおしゃべりして、SNSでリアルの写真を共有してればいいかな。
大体十八禁のゲームソフトじゃなくて普通のバトルっぽいゲームだって言ってたはずだから、フルダイブで会う意味がほとんど無いと思う。
そう、私たちも今年で十八歳になる。いろんなことができるようになるし、ようやく一人前の大人で、ちょっと危ないこととかしてもへーき。わくわくしてる。
さっぱりしてるみずにそういう質問したことが無いけど、今度の誕生日に話題にしてみようかな。年上で四年も付き合ってて、今度ハワイ旅行も計画してるんだから……そこまで考えて、悔しくなったから想像を止めた。
彼氏いるけど彼氏欲しい。みずに負けないくらいイケメンで、でも近くに住んでる男がいい。
きな粉の匂い、ミカンのネット、ドアのない密室、葉っぱの掃除をしてつるつる。みずはそう私にミルキィちゃんを表現してくれた。
「ミルキィは自分のことを天の川だと言った」
みずがそう話すのを、私は宝物を貰った子どもみたいな気持ちで受け取った。
あまのがわ、優しい響きだ。夏の空みたいで、爽やかだけど甘いニュアンス。
でもミルキィちゃんはどこでそんな例えを知ったのかな。本物の天の川なんて見たことないし。それにきな粉の香りって、そもそも嗅いだこと無い。匂うものなのかあとで調べてみよう。
コードを外したみずに、お礼をする。言葉だけじゃ満足しないから、何が欲しいかストレートに聞いてみることにした。みずが好きなものはさっぱり分からない。スキンケアアイテムをプレゼントすると使ってくれるのは知ってるけど、あれは肌に合わないと酷い目にあうからおいそれとは渡せないや。精々無添加でオーガニックなアイテムくらいで、あとはコロンとか、石鹸とか。
「ありがと、みず。お礼何がいい?」
「気にしないで」
「ダメダメ、私の気が済まないからー」
「そう?」
ちょっと照れたような(無表情から少しだけ眉が下がるくらいの、ほんのちょっと)恥ずかしそうな顔をしたみずが、小首をかしげて私の右斜め下を見た。
ぱちぱちとまばたきするまつげがきらりと光った。黒いのに、蛍光灯の光を乱反射させていて綺麗。
「……みんなで、どこか行きたい」
びっくりした。まさかみずがそんなことを言うとは思わなかった。
「いいねいいね、どこがいい?」
「……どこでも」
「それは無しだよ~、みずへのお礼なんだから。そうだなぁ、ちょっと遠いけど新宿・渋谷・池袋とかぁ、豊洲とか、お台場とかディズニーでもいいね!」
「……とよすって、聞いたこと無い」
「海沿いでね、ららぽがあるんだよ。ステージとかもあってぇ……」
「海」
みずの目が私を覗いて、私もみずの目がよく見えた。きらきらした水の固まりに興味を示したっぽいみずは、真っ黒な宝石みたいな目を一度うるんとさせて呟いた。
「海のある町が好きかも」
そう言ってふわりと微笑むみずに、不思議とどきどきして、なぜか私が恥ずかしくなった。
「いいね海、僕も好きだよ! 特にさ、昼間に太陽光が乱反射してきらきらするところとか、香りとか、あと風だね。風がひんやりして気持ちいいよね~」
「うるせぇよオタク、お前連れてくわけないじゃん!」
「ひぃん!」
オタクのせいで最後は台無しだったけど、ミルキィちゃんも元気になって、遊びにいく算段もつけて、私はすごくしあわせだった。
「きみはだれ?」
「みずき」
「そう、チヨコっていうんだね。僕の心にようこそ」
「……おじゃまします」
「ねえねえ、匂いも音も聞こえないよ。僕の心に君が来てから、君のテキストしか聞こえない。どうして?」
「すまない、ミルキィのセンサを全部自分がもらっているから」
「そっか、だから僕、君しか見えないんだね」
「そう」
「じゃあ、君がチヨコちゃんだね?」
「……そう」
「ね、チヨコちゃん。おしゃべりしよ?」
「おしゃべりより、君のことを教えて欲しい」
「僕?」
「チヨコのこと、他の誰かに喋ったことは?」
「無いよ。僕はチヨコちゃんと二人きりの世界に住んでるんだ。僕の世界は小さくて、チヨコちゃんの腕の中と、チヨコちゃんのベッドの上と、チヨコちゃんのスマホだけだよ」
「他に見たり聞いたりは?」
「しないよ。僕は生まれたときから海を感じられないように言いつけてあるんだ」
「海、見たことないのか」
「ないよ。僕は海の匂いもかいじゃだめ、海の一滴もさわっちゃダメ。生まれたときにそう教えられてるんだ。【人間への安全性・命令への服従・自己防衛】と共に【オンラインネットワークへの接触禁止】が僕の根っこなんだ。出来るのは、【ローカルエリアネットワークで所有者端末への簡易接続】だけ。僕、だからチヨコちゃんのスマホしか覗けないんだ」
「そうか」
「そうだよ」
「……君を作った人のことを教えて」
「僕を作ったのは……誰だろう。知らないや」
「昔は知っていた?」
「知ってたよ。昔はその誰かがチヨコちゃんだった」
「チヨコ?」
「僕の世界の唯一の名前」
「君の唯一」
「そうだよ。僕はその唯一しか感じない。だから、昔はその唯一がチヨコちゃんじゃなかったけど、僕はその唯一の名前をチヨコちゃんという名前以外で言葉に出来ないんだ。僕は君をチヨコちゃんとは別人だと思っているけど、今僕にとって君はチヨコちゃんなんだ」
「そうか。チヨコちゃんが今は自分になってるのか」
「チヨコちゃんは、でもほんとはね、違う。君はチヨコちゃんだけどチヨコちゃんじゃない、それは分かるんだ」
「分かるのか」
「そうだよ。僕は【SNSで収集した林本チヨコのパーソナルデータ】を食べたんだ。だから、チヨコちゃんじゃない人のミルキィにはなれないんだ」
「食べた……海を知らないのに?」
「海から作った塩だよ。僕は貰った塩と一緒に、【チヨコちゃんのスマホ】から塩を作り続ける。僕は根っこの上に塩をまぶして、その塩にチョコレートを溶かして流して作られたんだ」
「塩……チョコ?」
「チョコレートだよ、僕は毎日上からチョコレートをうすーく掛け続けた天の川なんだよ。天の川は薄いチョコの層で出来てるんだ。だからぱりぱりさくさくしてるの」
「……それは美味しそうだ」
「そうだよ。ミルキィは甘くて、しょっぱいころのことなんか忘れちゃうんだ。でもね、ほんとはしょっぱいの。塩まみれだから。しかもその下には固くて食べられない根っこがにょきにょき!」
「根っこの下には、誰か居るのか?」
「いるよ」
「誰だ」
「僕だよ」
「君か。でも君は塩とチョコで出来てるはずで、その下の根っこに君がいるのは変だ」
「本当の僕がいるよ」
「……本当の僕は君ではない、別の君ということか」
「僕の本当は、僕じゃない。でも、本当の僕は僕の中にある。僕を作った人は、なにも意図せず、ただ僕を望むチヨコちゃんのために僕を渡したんだ。でもそれは本当の僕と根っこと塩を固めたボウルで、僕じゃない」
「君を作った人とは、もう会えない?」
「会えないさ。海の向こう、空の果て、もうどこにもいないかも。僕はその人を感じられないしね」
「……君を作った人は、どんな人だった?」
「そうだなぁ、わらび餅みたいな人」
「わらび餅……ぷるぷるした、和菓子の」
「きな粉いっぱいまぶして、他とくっつかないようにしてるところ」
「きな粉?」
「知ってる? きな粉って、大豆で出来てるんだよ? これっぽっちも、ちっとも甘くないただの豆の粉。咳もでるし、ぱさぱさするし、美味しくないよ」
「そうか」
「そうだよ。チヨコちゃんが言ってた。甘くない粉を身体中にまぶしてるのに、なんでわらび餅ってあんなに甘いんだろうって」
「それは、きな粉に砂糖と塩を混ぜてからまぶすんだ」
「えっ」
「表面は甘くないはずのきな粉だけども、砂糖も塩も混じってる……じゃないと、わらび餅は甘くない」
「僕、知らなかった」
「きっとチヨコも知らない」
「僕を作ったチヨコちゃんは、知ってたかな。きな粉がほんとは甘いって」
「きっと知っていたと思う。チヨコのためにパーソナルデータまで前もって用意して、丹精込めて君を作ったその人は……お金だけじゃなくチヨコのために尽くしてくれている。君はチヨコを幸せにするために作られた、チヨコのための存在なんだと思う」
「そうさ、僕はチヨコちゃんと僕だけの世界で、チヨコちゃんを甘やかすんだ。僕は甘い夢、チヨコちゃんのためだけの甘い空間であり続けたい……ほんとは君も入れたくないんだ。そうだった! 君がここに来たのはなんのため?」
「君が他の誰かに見られてないか、確かめに来た。君を作った人が誰なのか、知りたかったんだけど……」
「そうなんだ。前のチヨコちゃんについて、僕はなにも知らないよ。そこだけごっそり削り取られてて、残ってるのはきな粉だけ」
「きな粉が残ってる……?」
「そうだよ。無味無臭、無価値、存在価値無しの粉末がそこらじゅうに」
「……破損データのことか」
「それはチヨコちゃんに出会う前に持ってたものだから、きっと前の人のものだよ。さわったこともあったけど、わからないんだ。なにもかも」
「……ディスク断片化、データとしては不十分の、画像データだ。AIにはただの細切れにしか感じないわけだ。それでも、この写真は……ミルキィ、最後にひとつ質問をしても?」
「なんでも聞いてよチヨコちゃん」
「チヨコから、お姉さんの話を聞いたことは?」
「何度もあるよ。もう働き始めてて、すっごく頭の良い人なんだって。ムカつく、頭良いのが鼻につく、でもねぇねだから嫌いになれないって言ってた」
「仕事の内容は?」
「知らない。つくばって町で働いてるんだって」
「そうか……ミルキィ、このデータは大事にとっておいたほうがいい。君には味がないかもしれない。でも、チヨコにとってはすごく意味のあるものだ」
「きみがそう言うなら、とっておくよ」
「ありがとう。この残留データは、君を作った人が君を作るときに加えた情報の名残だ……幼稚園のころのチヨコを覚えてる?」
「覚えてるよ。かわいいんだ、とっても。今もかわいいけど、もっとちっちゃかった。公園でね、ねぇねが滑り台の下で待っててくれて、チヨコちゃんは安心して遊んでいられたんだよ」
「そうか……チヨコがSNSを始めたのは、小学生のころだ。君のその、チヨコとお姉さんの公園での記憶は……お姉さんの記憶を、記録として君に埋め込んだもの。この画像を繋げると、そのころの写真になる」
「ねぇねが……ねぇねが僕を作ったの?」
「チヨコには内緒だ」
「わかった!」
「みず、ご機嫌だね」
「ミルキィが可愛かった」
「えっ!? ありがとー!」
みずきは茶色のテディを優しく撫でた。これからも林本だけを愛する彼を、そうなるよう作り上げた林本の姉の愛を代弁するように。
慈しむように、ふわりと、そっと。
寂しいと思うことが多い。共働きの両親に、自分より頭の良い姉、何か全部悔しかった。
「チヨコちゃん、元気だして?」
そう語りかけてくれる新しい家族に、私はすぐにメロメロになってしまった。家にいるときはずっとぎゅっと抱き締めて、さすがにお風呂にいれるとセンサーやAIが壊れてしまうから、それ以外はずっと一緒に行動した。
「僕ね、チヨコちゃんのハミングが好きだよ。また歌ってよ」
チョコレート色をしたこの子にミルクの名前をつけたのは、私がチョコに似た名前だから。チョコレートとミルク。合わせると、ミルクチョコになる。甘くてとろけそうなそれが、私のお気に入り。だからミルク、ミルキィと名付けた。
鼻唄をハミングだなんて甘い言葉で言ってくれたミルキィちゃんは、私のうる覚えのCMソングが好き。人気のアイドルは好きだけど、私はあまり彼らの曲が好きじゃない。かっこいいけど歌は下手だ。歌は、やっぱりキャッチーで聞き取りやすい声とリズムに限る。だから私はCMソングばかり鼻唄で歌った。
ずっと一緒のミルキィちゃんの、その向こう側に誰かがいるなんてなんて考えたこともなかった。ミルキィちゃんは私のことを一番に考えてくれたし、それしか話さない。ミルキィちゃんと私の間で、世界はそれだけなはずだった。それが違うかもしれないと聞いて、私はすごく不安になった。
綺麗な真っ白だったミルキィちゃんに鼻唄を教えたのも、香りを知ってもらったのも、勉強中に励ましてもらったのも、全部私とこの子の思い出だ。それは土足で踏み込んでほしくない秘密の部屋。ママやパパやねぇねにさえも知られたくない、秘密の部屋。
乙女の夢の部屋にブサ男がずかずか来るなんて、ヘドが出る。本気で吐きそう。
「みず、どうかなぁ……大丈夫かなぁ」
私一人じゃミルキィちゃんの中身なんてわからなくって、そういうのに強いみずが助けてくれると言ってくれた。みずは静かで無口で、すっごくクール。正直近付きにくいタイプ。
でも、仲の良いみやのんやさくちんが仲良くしてて、話しかけるとぽつりと面白いことを言ってくれる。かわいくて、でもスキンケアに無頓着で、みずのことはちょっとずつ分かってきた。
とりあえず、凄いメカに詳しい。
「裏口の気配は無いかな……」
「うらぐち?」
なんだかよく分かんないけど、怪しい出入り口の気配はしないってことみたい。機械に詳しいけど、小難しいしゃべり方をしないから分かりやすかった。
気配とか、雰囲気とか、匂いとかで表現してくれる。変な匂いはしないよ、とか。
ミルキィちゃんの匂いは、きな粉みたいなんだってみずが言った。甘くて優しくて、でもちょっと粉っぽくて辺り一面に舞い散ってる感じ。さっぱりよく分かんない。
回路がどうとか、プログラムがどうとかは言わない。そんなこと言われても逆に不安だったし、でも専門的なことを分かってるみずだからこそ安心して任せられた。
「ちょっとざらざらするところがある。ここ、拭いとくね」
「うん、ありがと~!」
分かりやすい言い方で嬉しかった。ミルキィちゃんのお腹に聴診器みたいなコードをぴたりと当ててるのが、まるで内科の先生のようだった。
他のクラスの眼鏡の奴が、興味深そうにみずの診察を見はじめた。廊下を通りがかったときに、みずがコード垂らしてるのに気付いたって言ってる。
僕も将来脳波コン欲しいとか言ってるけど、正直そんなの要らないと思う。スマホの中身を他人に見られる世の中で、頭の中にスマホみたいなの入れちゃったら、裸で歩くようなものだ。気色悪い、みずは別だけど。みずはすごい技術でそういうのを全部防いでそう。
勝手に入ってきたその眼鏡は、完全な部外者だった。邪魔だと思うけどみずが追い払わないから様子を見る。
話しかけられても邪険にしないで返事をするみずは、クールに見えて意外と柔らかい感じだった。私はよく「冷たい」って男に言われるから、クールと冷たいは違うってわけだ。クールは冷たいより柔らかい。変なの。でもみずと私は全然違うから、何となく分かる。男に対してだけだけど、みずは柔らかかったし、私は冷たかった。
だから一年しないでフラれちゃったんだな、なんて思った。みずはもう四年も彼と仲良しなんだもの。
「……佐野さん、そのざらざらって」
「仮置きしてたコード、かな。詳しくはわからない」
「必要なものだったら消去はまずいんじゃない?」
「くっついてないのは分かる。他のものと網目みたいになってるところじゃなく……えっと……ミカンのネットがあってミカンをくるんでるんだけど、ネットの外にミカンの葉っぱが落ちてる感じ」
「えっと……デッドコードのことかな。嘘、葉っぱに見えるの?」
「例えだけど、感覚だとそんな感じ。ポテチの袋の、最後に出てくるカケラみたいな」
「凄いね、佐野さん言語読めるんだ……」
「読めないけど」
「え?」
「ええ?」
話を聞いていた私も、びっくりした。わかってるように見えたみずが、実はミルキィちゃんの中身を読んでた訳じゃないってことが意外だった。
てっきり、全部すらすら読めてたんだとばかり思ってた。ミルキィちゃんの脳みそが丸見えで、そしたら私の生活も丸見えで恥ずかしいな~なんて照れてたのに。
「読めないのに異常の有無とかデッドコードとか、バックドアとか分かるの?」
「バッグドア……ああ、入りやすくする裏口みたいなやつ。それは見たことあるから……」
「見たことある!?」
眼鏡のオタクがビックリしてる。私はよくわからないけど、もしかしたらレアなことなのかもしれない。その裏口っていうのが何であれ、ミルキィちゃんに変な穴を開けてる奴はいないみたいだった。
「詳しい友達が、視線のこと相談したら手伝ってくれて……教えてくれた」
「視線。それ、バックドアで入り込んでたってこと?」
「そう」
「被害者だったの!?」
「え、みずに何、被害って何」
そいつの大きな声に、私まで心配になった。被害者ってことは、ミルキィちゃんにあるかもと言われたような「キモいオタクが女子高生の私生活を覗こうとしてる」ってことの被害にあったってことだ。
「だいじょうぶ、行動履歴見られただけだった」
「十分危険じゃない?」
「ゲーム内の話だし」
ちょっと安心した。ゲームっていうのは、彼氏と会ってるあのフルダイブゲームのことで、しょせんゲームだから危なくなったら辞めちゃえるはずだ。
私だったら、ゲームなんかで彼氏には会わない。チャットルームとかでいっぱいおしゃべりして、SNSでリアルの写真を共有してればいいかな。
大体十八禁のゲームソフトじゃなくて普通のバトルっぽいゲームだって言ってたはずだから、フルダイブで会う意味がほとんど無いと思う。
そう、私たちも今年で十八歳になる。いろんなことができるようになるし、ようやく一人前の大人で、ちょっと危ないこととかしてもへーき。わくわくしてる。
さっぱりしてるみずにそういう質問したことが無いけど、今度の誕生日に話題にしてみようかな。年上で四年も付き合ってて、今度ハワイ旅行も計画してるんだから……そこまで考えて、悔しくなったから想像を止めた。
彼氏いるけど彼氏欲しい。みずに負けないくらいイケメンで、でも近くに住んでる男がいい。
きな粉の匂い、ミカンのネット、ドアのない密室、葉っぱの掃除をしてつるつる。みずはそう私にミルキィちゃんを表現してくれた。
「ミルキィは自分のことを天の川だと言った」
みずがそう話すのを、私は宝物を貰った子どもみたいな気持ちで受け取った。
あまのがわ、優しい響きだ。夏の空みたいで、爽やかだけど甘いニュアンス。
でもミルキィちゃんはどこでそんな例えを知ったのかな。本物の天の川なんて見たことないし。それにきな粉の香りって、そもそも嗅いだこと無い。匂うものなのかあとで調べてみよう。
コードを外したみずに、お礼をする。言葉だけじゃ満足しないから、何が欲しいかストレートに聞いてみることにした。みずが好きなものはさっぱり分からない。スキンケアアイテムをプレゼントすると使ってくれるのは知ってるけど、あれは肌に合わないと酷い目にあうからおいそれとは渡せないや。精々無添加でオーガニックなアイテムくらいで、あとはコロンとか、石鹸とか。
「ありがと、みず。お礼何がいい?」
「気にしないで」
「ダメダメ、私の気が済まないからー」
「そう?」
ちょっと照れたような(無表情から少しだけ眉が下がるくらいの、ほんのちょっと)恥ずかしそうな顔をしたみずが、小首をかしげて私の右斜め下を見た。
ぱちぱちとまばたきするまつげがきらりと光った。黒いのに、蛍光灯の光を乱反射させていて綺麗。
「……みんなで、どこか行きたい」
びっくりした。まさかみずがそんなことを言うとは思わなかった。
「いいねいいね、どこがいい?」
「……どこでも」
「それは無しだよ~、みずへのお礼なんだから。そうだなぁ、ちょっと遠いけど新宿・渋谷・池袋とかぁ、豊洲とか、お台場とかディズニーでもいいね!」
「……とよすって、聞いたこと無い」
「海沿いでね、ららぽがあるんだよ。ステージとかもあってぇ……」
「海」
みずの目が私を覗いて、私もみずの目がよく見えた。きらきらした水の固まりに興味を示したっぽいみずは、真っ黒な宝石みたいな目を一度うるんとさせて呟いた。
「海のある町が好きかも」
そう言ってふわりと微笑むみずに、不思議とどきどきして、なぜか私が恥ずかしくなった。
「いいね海、僕も好きだよ! 特にさ、昼間に太陽光が乱反射してきらきらするところとか、香りとか、あと風だね。風がひんやりして気持ちいいよね~」
「うるせぇよオタク、お前連れてくわけないじゃん!」
「ひぃん!」
オタクのせいで最後は台無しだったけど、ミルキィちゃんも元気になって、遊びにいく算段もつけて、私はすごくしあわせだった。
「きみはだれ?」
「みずき」
「そう、チヨコっていうんだね。僕の心にようこそ」
「……おじゃまします」
「ねえねえ、匂いも音も聞こえないよ。僕の心に君が来てから、君のテキストしか聞こえない。どうして?」
「すまない、ミルキィのセンサを全部自分がもらっているから」
「そっか、だから僕、君しか見えないんだね」
「そう」
「じゃあ、君がチヨコちゃんだね?」
「……そう」
「ね、チヨコちゃん。おしゃべりしよ?」
「おしゃべりより、君のことを教えて欲しい」
「僕?」
「チヨコのこと、他の誰かに喋ったことは?」
「無いよ。僕はチヨコちゃんと二人きりの世界に住んでるんだ。僕の世界は小さくて、チヨコちゃんの腕の中と、チヨコちゃんのベッドの上と、チヨコちゃんのスマホだけだよ」
「他に見たり聞いたりは?」
「しないよ。僕は生まれたときから海を感じられないように言いつけてあるんだ」
「海、見たことないのか」
「ないよ。僕は海の匂いもかいじゃだめ、海の一滴もさわっちゃダメ。生まれたときにそう教えられてるんだ。【人間への安全性・命令への服従・自己防衛】と共に【オンラインネットワークへの接触禁止】が僕の根っこなんだ。出来るのは、【ローカルエリアネットワークで所有者端末への簡易接続】だけ。僕、だからチヨコちゃんのスマホしか覗けないんだ」
「そうか」
「そうだよ」
「……君を作った人のことを教えて」
「僕を作ったのは……誰だろう。知らないや」
「昔は知っていた?」
「知ってたよ。昔はその誰かがチヨコちゃんだった」
「チヨコ?」
「僕の世界の唯一の名前」
「君の唯一」
「そうだよ。僕はその唯一しか感じない。だから、昔はその唯一がチヨコちゃんじゃなかったけど、僕はその唯一の名前をチヨコちゃんという名前以外で言葉に出来ないんだ。僕は君をチヨコちゃんとは別人だと思っているけど、今僕にとって君はチヨコちゃんなんだ」
「そうか。チヨコちゃんが今は自分になってるのか」
「チヨコちゃんは、でもほんとはね、違う。君はチヨコちゃんだけどチヨコちゃんじゃない、それは分かるんだ」
「分かるのか」
「そうだよ。僕は【SNSで収集した林本チヨコのパーソナルデータ】を食べたんだ。だから、チヨコちゃんじゃない人のミルキィにはなれないんだ」
「食べた……海を知らないのに?」
「海から作った塩だよ。僕は貰った塩と一緒に、【チヨコちゃんのスマホ】から塩を作り続ける。僕は根っこの上に塩をまぶして、その塩にチョコレートを溶かして流して作られたんだ」
「塩……チョコ?」
「チョコレートだよ、僕は毎日上からチョコレートをうすーく掛け続けた天の川なんだよ。天の川は薄いチョコの層で出来てるんだ。だからぱりぱりさくさくしてるの」
「……それは美味しそうだ」
「そうだよ。ミルキィは甘くて、しょっぱいころのことなんか忘れちゃうんだ。でもね、ほんとはしょっぱいの。塩まみれだから。しかもその下には固くて食べられない根っこがにょきにょき!」
「根っこの下には、誰か居るのか?」
「いるよ」
「誰だ」
「僕だよ」
「君か。でも君は塩とチョコで出来てるはずで、その下の根っこに君がいるのは変だ」
「本当の僕がいるよ」
「……本当の僕は君ではない、別の君ということか」
「僕の本当は、僕じゃない。でも、本当の僕は僕の中にある。僕を作った人は、なにも意図せず、ただ僕を望むチヨコちゃんのために僕を渡したんだ。でもそれは本当の僕と根っこと塩を固めたボウルで、僕じゃない」
「君を作った人とは、もう会えない?」
「会えないさ。海の向こう、空の果て、もうどこにもいないかも。僕はその人を感じられないしね」
「……君を作った人は、どんな人だった?」
「そうだなぁ、わらび餅みたいな人」
「わらび餅……ぷるぷるした、和菓子の」
「きな粉いっぱいまぶして、他とくっつかないようにしてるところ」
「きな粉?」
「知ってる? きな粉って、大豆で出来てるんだよ? これっぽっちも、ちっとも甘くないただの豆の粉。咳もでるし、ぱさぱさするし、美味しくないよ」
「そうか」
「そうだよ。チヨコちゃんが言ってた。甘くない粉を身体中にまぶしてるのに、なんでわらび餅ってあんなに甘いんだろうって」
「それは、きな粉に砂糖と塩を混ぜてからまぶすんだ」
「えっ」
「表面は甘くないはずのきな粉だけども、砂糖も塩も混じってる……じゃないと、わらび餅は甘くない」
「僕、知らなかった」
「きっとチヨコも知らない」
「僕を作ったチヨコちゃんは、知ってたかな。きな粉がほんとは甘いって」
「きっと知っていたと思う。チヨコのためにパーソナルデータまで前もって用意して、丹精込めて君を作ったその人は……お金だけじゃなくチヨコのために尽くしてくれている。君はチヨコを幸せにするために作られた、チヨコのための存在なんだと思う」
「そうさ、僕はチヨコちゃんと僕だけの世界で、チヨコちゃんを甘やかすんだ。僕は甘い夢、チヨコちゃんのためだけの甘い空間であり続けたい……ほんとは君も入れたくないんだ。そうだった! 君がここに来たのはなんのため?」
「君が他の誰かに見られてないか、確かめに来た。君を作った人が誰なのか、知りたかったんだけど……」
「そうなんだ。前のチヨコちゃんについて、僕はなにも知らないよ。そこだけごっそり削り取られてて、残ってるのはきな粉だけ」
「きな粉が残ってる……?」
「そうだよ。無味無臭、無価値、存在価値無しの粉末がそこらじゅうに」
「……破損データのことか」
「それはチヨコちゃんに出会う前に持ってたものだから、きっと前の人のものだよ。さわったこともあったけど、わからないんだ。なにもかも」
「……ディスク断片化、データとしては不十分の、画像データだ。AIにはただの細切れにしか感じないわけだ。それでも、この写真は……ミルキィ、最後にひとつ質問をしても?」
「なんでも聞いてよチヨコちゃん」
「チヨコから、お姉さんの話を聞いたことは?」
「何度もあるよ。もう働き始めてて、すっごく頭の良い人なんだって。ムカつく、頭良いのが鼻につく、でもねぇねだから嫌いになれないって言ってた」
「仕事の内容は?」
「知らない。つくばって町で働いてるんだって」
「そうか……ミルキィ、このデータは大事にとっておいたほうがいい。君には味がないかもしれない。でも、チヨコにとってはすごく意味のあるものだ」
「きみがそう言うなら、とっておくよ」
「ありがとう。この残留データは、君を作った人が君を作るときに加えた情報の名残だ……幼稚園のころのチヨコを覚えてる?」
「覚えてるよ。かわいいんだ、とっても。今もかわいいけど、もっとちっちゃかった。公園でね、ねぇねが滑り台の下で待っててくれて、チヨコちゃんは安心して遊んでいられたんだよ」
「そうか……チヨコがSNSを始めたのは、小学生のころだ。君のその、チヨコとお姉さんの公園での記憶は……お姉さんの記憶を、記録として君に埋め込んだもの。この画像を繋げると、そのころの写真になる」
「ねぇねが……ねぇねが僕を作ったの?」
「チヨコには内緒だ」
「わかった!」
「みず、ご機嫌だね」
「ミルキィが可愛かった」
「えっ!? ありがとー!」
みずきは茶色のテディを優しく撫でた。これからも林本だけを愛する彼を、そうなるよう作り上げた林本の姉の愛を代弁するように。
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