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191 理性と瞳が交わって
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「ディスイズ、ジャパニーズ。オーバー」
「でぃすいず、じゃぱにーず。おーば」
ガルドが話し、田岡が繰り返す。サンバガラス・ギルドホーム。重厚なヨーロッパの洋館そのものの内観は、高そうな金銀調度品がきらびやかに飾られている。エントランスから廊下を突っ切った先の、ぶ厚く硬い革製のソファに腰掛けながら、田岡はコーラとポテチを。ガルドは久しぶりの冷たいジンジャーエールをちびちびと飲んだ。
田岡がバリバリ音を立てながらポテチを食い荒らしつつ、ガルドの言葉に答えていく。
対面に置かれた二つのソファの間には、猫足のガラス天板サイドテーブルが置かれていた。上にはこれでもかと大量のおやつが乗っている。袋ではなく皿や篭に移されていて、サンバガラスキッチン製のものだと分かった。
ガルドも一つ、チョコレートの掛かっているワッフルを手に持つ。
「身体の場所、探って欲しい」
「からだの場所、さぐってほし……サグ?」
「そう……探る」
「そういやサグラダファミリアって出来たのかな?」
突拍子もないことを言い出す田岡には、もう慣れっこだった。
ここでイラつく人間には「田岡・伝言依頼係」は務まらない。いかにストレスなく、正確に大量に喋ってもらうかが大切だ。
「まだ」
「そうか……それは残念。積み木だ。建てて壊れる」
「ああ」
「積み木はね、してたんだ。あの部屋のものを積んで、積んで、壊して。ああ、君は知ってるから言いやすいねぇ。うん。あははっ」
田岡が遠い目をして言っているのは、信徒の塔最上階にあった小部屋のことだ。他には誰も知らないことだが、Aから聞いたガルドだけは、塔と田岡の部屋が繋がった理由を知っている。イタリアとバチカンの関係、宗教の観念が田岡を地獄へ突き落していたのだ。
盲信に狂った一部の人間だろうが、一般的な日本人で無信仰のガルドには全く共感できない動機だ。怒りを覚えながら、救いになるようガルドは田岡へ笑いかける。
「……ここでなら、積み木どころか家も建てられる。ココとか」
「そう! ココを作った! 静も喜んでくれたぞ」
田岡は一転、花のように笑った。明らかに主題である「外への伝言」から脱線しているが、田岡の嬉しそうな顔を見るのは悪い気分じゃない。他の面々が外へ向けたメッセージの誘導を行った時は、このフラフラと意図しない発言にそれていくのが不評だった。
ガルドは機械的に、淡々とメンタルケアを兼ねた発信誘導を行っていく。
「家を建てたら、次は家の外から電話線を引いてこないと」
「電話線?」
「ん」
ゆっくりと頷く。なるべく田岡が混乱しないよう、ガルドは細心の注意を払った。
「電話、電話か! 繋がるかね? あー、もしもし?」
「通じているのは田岡だけだ」
「そうか! そうだったなぁ! ともだちの九郎と、昔はよく長く電話してたんだ。海外にいたとき、時差っていうのがあってな?」
「ああ」
「時差を考えないで電話して、すっごく低い声で怒られたことがある! っくは! 思い出した、九郎、『今起きてるのは渋谷のガキとガードマンぐらいなものだ』って! ウケるだろう?」
何が面白いのかよく分からないが、とりあえずガルドはニッと笑った。
「電話な、うん。欲しいなぁ……くるくるのコードが付いたやつがいい。アレをこう、くるくるするのが好きだ」
「今度サルガスに言いに行こう。電話線が、昨日、一瞬繋がった」
「つながった? 電話が?」
「線が」
なんとか田岡に「(通信)線が一瞬繋がり阿国が入って来たのをこちらでも確認した」と言ってほしい。オウム返しが出来るのは単語が精いっぱいで、コミュニケーションにまだまだ難がある田岡に難しい長文を話させるのは不可能だった。
三橋日く、田岡の言葉は全て録音、データ化され解析班が動いているらしい。それを「佐野仁」がリーダーになって行っていたというのだから、娘である佐野みずきは期待するしかない。
照れを抜いて客観的に評価すると、みずきの父は有能だ。ガルドとして思う。男として立派な人物だ。家で料理に精を出し、ダイエットのためにランニングをこなし、母の強さにヘタレの一面を見せていた父だったが、それでも職場では有能な中堅社員だと聞いた。きっと分かってくれる。ガルドは娘の一面でもって、佐野仁を信じている。
「線?」
「そう、線。つながった」
「つながった? ほうほう! 外に電話出来たのか!」
「10分も続かなかった。久仁子ちゃんが相手」
「久仁子ちゃん! さっき聞いたぞ? 知ってる子だ。電話の相手は久仁子ちゃんか」
良い調子だ。線、電話、久仁子ちゃん。静も知っている。これだけ単語があれば、阿国をこちらが認知したことも伝わるだろう。
「そう。線を持ってる。この線はこれから犯人に狙われる。例えるなら芥川の蜘蛛の糸。犯人は出てほしくない、だから線を切る」
「それは困る! 上に上がるのに必要なものだ!」
「だから、守ってもらう」
「守る? 糸を? どうやって」
例えを使ったのは失敗だったらしい。田岡から線という語彙が消えたのを歯噛みつつ、しかし伝わらなくはないかとガルドは楽観視した。糸も線も形は似ている。
「三橋が言っていた。久仁子はコネを持ってる」
「こねこね」
「敵の施設まで行ったのもコネだと思う。有線接続してこっちに入って来た。その線を守るよう言ったから、周りにもそう言いふらしてるはず……田岡さん、『線を守れ』、『守れ』と」
「線を、守れ?」
「ああ……ありがとう」
「守れ、とは九郎にだな? うんうん! アイツは出来る奴だ! 何かを守るんだな。ん? なにをだ?」
「線」
「そうだそうだ、線だ! あ一……どうやって?」
「……ム……そ、外に任せる」
ガルドは自分でも考えてみた。海底ケーブルの保護は膨大すぎる。だがGM、特にオーナーはどうやら「一人の人間」だ。高度なハッキングテクニックを持つらしいが、仮想現実としての広さと現実世界の広さは違う。いくら自動化が進んだとはいえ、ガルドには到底遠隔で海底ケーブルを物理的に切るなど出来るとは思えなかった。
「守るには味方にも秘密にして逃げるのがいい」
「え?」
「逃げるが勝ち、だなぁ。守るべきものを連れて逃げる。時には、守るべきものを置いて敵を連れて逃げる」
「……田岡?」
革のソファからゆっくりと立ち上がり、俯いていて表情の読めない田岡がブツブツとつぶやき始めた。
「容疑者の狙いなんてその場その場で変わる。倫理も道徳もお構いなしなら、保身のために動くことが多い。動機に忠実な容疑者の行動など簡単だががね」
「……A?」
<呼んだかね?>
ガルドは慌てて立ち上がった。田岡の顔を見る。
「その予測が効かない相手だった」
「田岡、それは……」
国の意図が働いているからだ。ガルドは出かかった言葉を、ぐっと喉を絞ってこらえる。
「私が気付くのが、遅かった……遅かったよ、九郎……」
普段の斜視がかった目は変わらない。だが口が三日月のように緩やかで大きな弧を描いている。普段の田岡とは様子が違う。
「ディンクロンに、話しかけてるのか」
「だが」
きっぱりとした口調で田岡が上を向く。鬼気迫る様子だ。普段の幼く見える和やかな空気とは大違いで、確かにディンクロンに似ている気がした。ガルドはローテーブルを迂回して対角側の田岡へ駆け寄った。
「田岡」
「だが、守れた」
老人らしく少し曲がった肩を両手で掴む。
「守れたんだ……日本を」
「ああ……そうだ、守れた」
一市民のガルドは、当時の田岡に一体何があったのか詳しく知っているわけではない。何を守ることが出来たのかなど知る由もない。だが少なくともガルドたち被害者メンバーは、間違いなく田岡に救われている。
「田岡がもう四年もここで生き続けていることが、自分たちの勇気になる。ありがとう、守ってくれて」
まん丸としていて片方視線が合わない田岡の瞳が、ガルドの顔へ向かってカチリと固定された。リアルほど解像度が高くない顔の輪郭がビットマップに見えてくる。だが、慣れすぎているガルドには生体の目よりも強く視線を感じた。
フリーズしたかのように、瞳以外のボディが動かない。身体中へ送信されるはずの無意識を全てカットして、田岡の身体は「見ること」に全神経を集中しているのだ。
「……きみ、ああ……ガルドくん」
「ん」
しっかり頷いて答える。
「守れたのか、私は」
頷こうとするより早く、田岡は小声で呟いた。
「どこがだ」
「田岡の身体が何年も日本で生きてる。つまり、犯人はこちらを殺すつもりがない、ということだ」
急に田岡は顔をくしゃりと歪ませ、叫んだ。
「いいや、いいやっ! 君たちはこうして、ここに連れてこられてしまったじゃないか!」 「それでも大丈夫」
ガルドは両肩に乗せた手の力をぎゅっと強めた。
「日本人は脳波コンをほとんど埋めていない。きっと田岡のおかげ。田岡の被害を受け、病室に寝てる田岡を見て……いろんな人が『悪意に使われる』と知った。日本人を守るため、誰かが普及させないようにした。だから、ここにいるのはモノ好きだけだ」
ガルドはディンクロンの顔を思い浮かべた。ぷっとんの言葉を思い出した。どれも真剣なものだった。
田岡を救う。それも一つ。
だが田岡が身を挺して守ろうとした「日本国」を守るのも、二人の目的だったのだろう。 佐野みずきの父、仁の言葉もそうだ。ガルドは外を知らないまま時間だけを過ごした田岡に、不器用ながら、少しずつ実情を伝え始めた。
「ふきゅ……普及?」
「日本はしてない。だから、自分たちは一般人じゃない」
「一般人だ。いや、君は日本人か? ち、違う気がしてきた……」
ぎくりとする。顔だけ見れば確かにロシアのKGBか軍人か何かだ。
「いや、あー……日本人です。とにかく、田岡のお陰で脳波コンの普及は遅い」
うっかり「ディンクロンのお陰だ」と言いかけ、これが父ルートで手に入れた極秘情報だというのを思い出した。ガルドは念のため話す内容を口にするより先に文字データへ変換し、目で見て確認しながら会話をする。
<脳波コン普及率の低さが被害者を限定している/各国に比べて開放的メディアリテラシーに懐疑的な風潮が根付いた/拉致被害は脳波コンに詳しく長時間フルダイブし続けることへ耐性の強い民間人が……>
ガルドがそう一瞬で文章にするのと同時に、やっと一言口から出てきた。
「だから、被害者はこうして毎日笑顔だ」
「ん? ん?」
「うぐ……」
言葉に出来ない。ガルドは目を回しながら少しずつ音にしていくが、言いたいことを文字にする方が圧倒的に早かった。
<帰還の優先順位が精神的な問題より低く、つまり『早く帰りたい』と焦らないゲーマーたちが集まったことでようやく……>
「このヴァーチャルな世界にいるのが苦痛な人間は、そもそも、脳波コンのことが嫌いだ」
「む、それは確かに確かに」
「そうなるよう噂が流れている。変だと思った。多分、田岡さんのお陰です」
「……九郎だな? アイツめ~」
田岡の様子が少し落ち着いてきた。目力の強さがふと弱まり、身体の各所が人間らしい微動を始める。
「あー、そうだ一、九郎だなぁー」
<キミ? 少々棒読み過ぎない気がするのだがね?>
突然爽やかな男の声が割り込んできた。
<黙ってろ>
<指示であれば従うがね。あと一点、添えておこうかね>
<なんだ今忙しい>
「それは被害者にとっても被疑者にとっても良い事だ……ういんうぃん、というやつかな?」
「ん」
田岡に頷きつつAの言葉に耳を傾ける。
<全員が全員、キミの言う『帰還への優先順位』が低いとは限らないのでね。民主主義に属するはずだがね、民衆の意思は希釈も画一化も出来ないのでね>
「脳波コン、脳波、感受型、デバイス……望んで入れる、日本人。要らないと拒絶する、日本人」
「ん?」
「振り分けるのは個人かね? それとも国家かね?」
「田岡……日本は意図して振り分けを手伝った。だが、選ぶのは個人だ。自分も自分で欲しいと思ったから手術を受けて、空港に行って、ここに連れてこられた」
「……餅の人、いやガルドくん。君は、後悔してるんだろう? してないか?」
「いいや」
「していないのか」
「これっぽっちも」
「家族は? 友人は?」
「置いてきた。心配してない。九郎に頼んである」
「……君は」
「もちろんGM……犯人は許せない。だが空港に行ったことは悔やんでない。もし……」
「もしもはキリないぞ? もしもし、もしもし。つながらない。今ここにいる君には、ワンコールだってつながらないんじゃないのかい?」
電話を耳に当てる真似をする田岡が笑う。先ほどまでの怖い顔は鳴りを潜め、普段の朗らかな笑顔に戻っていた。同時に、言葉節も少し故障気味だ。
「……そうだな」
もしも。
ガルドは何度も思っていた。もしも自分が両親の説得に失敗し、海外遠征に行けなかったら。もしも勇気が出ず、秋葉原のオフ会に参加しなかったら。もしも興味を持たず、フルダイブ機を買わなかったら。もしも自分が疎外感を覚えず、普通の女子高生として日常をおくれていたのであれば。
もしも、おばあちゃんが生きていれば。
「それでも」
田岡から目線を外し、ガルドはローテーブルのガラス天板を見た。映り込む天井はうず高く、豪邸らしく細やかな装飾とシャンデリアで彩られている。
高い天井に、空港を思い出す。成田空港のターミナル、反響する人の声ファーストクラス車用のラウンジ。巨大な照明が強い光を注ぎ、下から見上げると高さのギャップでシャンデリアのように見えた。五人の仲間が佐野みずきを見ている。見慣れたアバターより少しシワの多い目元で笑う男が、みずきを「ガルド」と呼んだ。
「……あの場にいた別の誰かが、ロンベルの一人になっていたとしても。きっと榎本たちは空港にいた」
「エノキくん?」
「そう。だから、自分でよかった」
ガルドは一人になった相棒を想像してみる。
「そうかそうか! うん、友達想いだなぁ! うんうん!」
「……相棒だ、お友達とかじゃない」
ぽつねんと立つ相棒は相変わらず誰とでも会話し、男女関係なく仲良くできるだろう。社交的な男だ。ガルドはご機嫌になった田岡を見つつ、自分よりよっぽどコミュニケーション能力に長けた相棒の話術を思い返す。
だが、彼を案ずるのは誰だろうか。
独り身で、未婚のマグナですら桜子という恋人がいるというのに。榎本には「安否を真っ先に案じてくれる第三者」がいない。いや両親や姉が埼玉にいるとは聞いているのだが、未成年で被保護者であるガルドにとって、成人し家から出た大人は家族のカウントから外れるものだと理解していた。
共に過ごす時間の長さこそ家族の条件だ。あのマンションの一室で待っている女性がいればよかった。ガルドは本気で同情している。
「だから、自分で良かった。相棒は側にいるものだ。最後まで。看取るまで、付き合ってやる」
「っはっは! いいなぁ、言われてみたいものだなぁー」
「……九郎はきっと、そのつもりだと思う」
「そ、そうかな!? えっへへ、へへへ~! くろーう! 骨は拾っておくれー!」
上を向いて叫んだ田岡と一緒に、ガルドはソファへ深く背を預けて上を向く。
「……っ!? ゴホッ!!」
驚き過ぎてむせた。
「あ? 骨付きチキンがよかったか?」
湯気の立つバスケットを持った相棒が、吹き抜けの二階から手すり越しに返事をした。
「でぃすいず、じゃぱにーず。おーば」
ガルドが話し、田岡が繰り返す。サンバガラス・ギルドホーム。重厚なヨーロッパの洋館そのものの内観は、高そうな金銀調度品がきらびやかに飾られている。エントランスから廊下を突っ切った先の、ぶ厚く硬い革製のソファに腰掛けながら、田岡はコーラとポテチを。ガルドは久しぶりの冷たいジンジャーエールをちびちびと飲んだ。
田岡がバリバリ音を立てながらポテチを食い荒らしつつ、ガルドの言葉に答えていく。
対面に置かれた二つのソファの間には、猫足のガラス天板サイドテーブルが置かれていた。上にはこれでもかと大量のおやつが乗っている。袋ではなく皿や篭に移されていて、サンバガラスキッチン製のものだと分かった。
ガルドも一つ、チョコレートの掛かっているワッフルを手に持つ。
「身体の場所、探って欲しい」
「からだの場所、さぐってほし……サグ?」
「そう……探る」
「そういやサグラダファミリアって出来たのかな?」
突拍子もないことを言い出す田岡には、もう慣れっこだった。
ここでイラつく人間には「田岡・伝言依頼係」は務まらない。いかにストレスなく、正確に大量に喋ってもらうかが大切だ。
「まだ」
「そうか……それは残念。積み木だ。建てて壊れる」
「ああ」
「積み木はね、してたんだ。あの部屋のものを積んで、積んで、壊して。ああ、君は知ってるから言いやすいねぇ。うん。あははっ」
田岡が遠い目をして言っているのは、信徒の塔最上階にあった小部屋のことだ。他には誰も知らないことだが、Aから聞いたガルドだけは、塔と田岡の部屋が繋がった理由を知っている。イタリアとバチカンの関係、宗教の観念が田岡を地獄へ突き落していたのだ。
盲信に狂った一部の人間だろうが、一般的な日本人で無信仰のガルドには全く共感できない動機だ。怒りを覚えながら、救いになるようガルドは田岡へ笑いかける。
「……ここでなら、積み木どころか家も建てられる。ココとか」
「そう! ココを作った! 静も喜んでくれたぞ」
田岡は一転、花のように笑った。明らかに主題である「外への伝言」から脱線しているが、田岡の嬉しそうな顔を見るのは悪い気分じゃない。他の面々が外へ向けたメッセージの誘導を行った時は、このフラフラと意図しない発言にそれていくのが不評だった。
ガルドは機械的に、淡々とメンタルケアを兼ねた発信誘導を行っていく。
「家を建てたら、次は家の外から電話線を引いてこないと」
「電話線?」
「ん」
ゆっくりと頷く。なるべく田岡が混乱しないよう、ガルドは細心の注意を払った。
「電話、電話か! 繋がるかね? あー、もしもし?」
「通じているのは田岡だけだ」
「そうか! そうだったなぁ! ともだちの九郎と、昔はよく長く電話してたんだ。海外にいたとき、時差っていうのがあってな?」
「ああ」
「時差を考えないで電話して、すっごく低い声で怒られたことがある! っくは! 思い出した、九郎、『今起きてるのは渋谷のガキとガードマンぐらいなものだ』って! ウケるだろう?」
何が面白いのかよく分からないが、とりあえずガルドはニッと笑った。
「電話な、うん。欲しいなぁ……くるくるのコードが付いたやつがいい。アレをこう、くるくるするのが好きだ」
「今度サルガスに言いに行こう。電話線が、昨日、一瞬繋がった」
「つながった? 電話が?」
「線が」
なんとか田岡に「(通信)線が一瞬繋がり阿国が入って来たのをこちらでも確認した」と言ってほしい。オウム返しが出来るのは単語が精いっぱいで、コミュニケーションにまだまだ難がある田岡に難しい長文を話させるのは不可能だった。
三橋日く、田岡の言葉は全て録音、データ化され解析班が動いているらしい。それを「佐野仁」がリーダーになって行っていたというのだから、娘である佐野みずきは期待するしかない。
照れを抜いて客観的に評価すると、みずきの父は有能だ。ガルドとして思う。男として立派な人物だ。家で料理に精を出し、ダイエットのためにランニングをこなし、母の強さにヘタレの一面を見せていた父だったが、それでも職場では有能な中堅社員だと聞いた。きっと分かってくれる。ガルドは娘の一面でもって、佐野仁を信じている。
「線?」
「そう、線。つながった」
「つながった? ほうほう! 外に電話出来たのか!」
「10分も続かなかった。久仁子ちゃんが相手」
「久仁子ちゃん! さっき聞いたぞ? 知ってる子だ。電話の相手は久仁子ちゃんか」
良い調子だ。線、電話、久仁子ちゃん。静も知っている。これだけ単語があれば、阿国をこちらが認知したことも伝わるだろう。
「そう。線を持ってる。この線はこれから犯人に狙われる。例えるなら芥川の蜘蛛の糸。犯人は出てほしくない、だから線を切る」
「それは困る! 上に上がるのに必要なものだ!」
「だから、守ってもらう」
「守る? 糸を? どうやって」
例えを使ったのは失敗だったらしい。田岡から線という語彙が消えたのを歯噛みつつ、しかし伝わらなくはないかとガルドは楽観視した。糸も線も形は似ている。
「三橋が言っていた。久仁子はコネを持ってる」
「こねこね」
「敵の施設まで行ったのもコネだと思う。有線接続してこっちに入って来た。その線を守るよう言ったから、周りにもそう言いふらしてるはず……田岡さん、『線を守れ』、『守れ』と」
「線を、守れ?」
「ああ……ありがとう」
「守れ、とは九郎にだな? うんうん! アイツは出来る奴だ! 何かを守るんだな。ん? なにをだ?」
「線」
「そうだそうだ、線だ! あ一……どうやって?」
「……ム……そ、外に任せる」
ガルドは自分でも考えてみた。海底ケーブルの保護は膨大すぎる。だがGM、特にオーナーはどうやら「一人の人間」だ。高度なハッキングテクニックを持つらしいが、仮想現実としての広さと現実世界の広さは違う。いくら自動化が進んだとはいえ、ガルドには到底遠隔で海底ケーブルを物理的に切るなど出来るとは思えなかった。
「守るには味方にも秘密にして逃げるのがいい」
「え?」
「逃げるが勝ち、だなぁ。守るべきものを連れて逃げる。時には、守るべきものを置いて敵を連れて逃げる」
「……田岡?」
革のソファからゆっくりと立ち上がり、俯いていて表情の読めない田岡がブツブツとつぶやき始めた。
「容疑者の狙いなんてその場その場で変わる。倫理も道徳もお構いなしなら、保身のために動くことが多い。動機に忠実な容疑者の行動など簡単だががね」
「……A?」
<呼んだかね?>
ガルドは慌てて立ち上がった。田岡の顔を見る。
「その予測が効かない相手だった」
「田岡、それは……」
国の意図が働いているからだ。ガルドは出かかった言葉を、ぐっと喉を絞ってこらえる。
「私が気付くのが、遅かった……遅かったよ、九郎……」
普段の斜視がかった目は変わらない。だが口が三日月のように緩やかで大きな弧を描いている。普段の田岡とは様子が違う。
「ディンクロンに、話しかけてるのか」
「だが」
きっぱりとした口調で田岡が上を向く。鬼気迫る様子だ。普段の幼く見える和やかな空気とは大違いで、確かにディンクロンに似ている気がした。ガルドはローテーブルを迂回して対角側の田岡へ駆け寄った。
「田岡」
「だが、守れた」
老人らしく少し曲がった肩を両手で掴む。
「守れたんだ……日本を」
「ああ……そうだ、守れた」
一市民のガルドは、当時の田岡に一体何があったのか詳しく知っているわけではない。何を守ることが出来たのかなど知る由もない。だが少なくともガルドたち被害者メンバーは、間違いなく田岡に救われている。
「田岡がもう四年もここで生き続けていることが、自分たちの勇気になる。ありがとう、守ってくれて」
まん丸としていて片方視線が合わない田岡の瞳が、ガルドの顔へ向かってカチリと固定された。リアルほど解像度が高くない顔の輪郭がビットマップに見えてくる。だが、慣れすぎているガルドには生体の目よりも強く視線を感じた。
フリーズしたかのように、瞳以外のボディが動かない。身体中へ送信されるはずの無意識を全てカットして、田岡の身体は「見ること」に全神経を集中しているのだ。
「……きみ、ああ……ガルドくん」
「ん」
しっかり頷いて答える。
「守れたのか、私は」
頷こうとするより早く、田岡は小声で呟いた。
「どこがだ」
「田岡の身体が何年も日本で生きてる。つまり、犯人はこちらを殺すつもりがない、ということだ」
急に田岡は顔をくしゃりと歪ませ、叫んだ。
「いいや、いいやっ! 君たちはこうして、ここに連れてこられてしまったじゃないか!」 「それでも大丈夫」
ガルドは両肩に乗せた手の力をぎゅっと強めた。
「日本人は脳波コンをほとんど埋めていない。きっと田岡のおかげ。田岡の被害を受け、病室に寝てる田岡を見て……いろんな人が『悪意に使われる』と知った。日本人を守るため、誰かが普及させないようにした。だから、ここにいるのはモノ好きだけだ」
ガルドはディンクロンの顔を思い浮かべた。ぷっとんの言葉を思い出した。どれも真剣なものだった。
田岡を救う。それも一つ。
だが田岡が身を挺して守ろうとした「日本国」を守るのも、二人の目的だったのだろう。 佐野みずきの父、仁の言葉もそうだ。ガルドは外を知らないまま時間だけを過ごした田岡に、不器用ながら、少しずつ実情を伝え始めた。
「ふきゅ……普及?」
「日本はしてない。だから、自分たちは一般人じゃない」
「一般人だ。いや、君は日本人か? ち、違う気がしてきた……」
ぎくりとする。顔だけ見れば確かにロシアのKGBか軍人か何かだ。
「いや、あー……日本人です。とにかく、田岡のお陰で脳波コンの普及は遅い」
うっかり「ディンクロンのお陰だ」と言いかけ、これが父ルートで手に入れた極秘情報だというのを思い出した。ガルドは念のため話す内容を口にするより先に文字データへ変換し、目で見て確認しながら会話をする。
<脳波コン普及率の低さが被害者を限定している/各国に比べて開放的メディアリテラシーに懐疑的な風潮が根付いた/拉致被害は脳波コンに詳しく長時間フルダイブし続けることへ耐性の強い民間人が……>
ガルドがそう一瞬で文章にするのと同時に、やっと一言口から出てきた。
「だから、被害者はこうして毎日笑顔だ」
「ん? ん?」
「うぐ……」
言葉に出来ない。ガルドは目を回しながら少しずつ音にしていくが、言いたいことを文字にする方が圧倒的に早かった。
<帰還の優先順位が精神的な問題より低く、つまり『早く帰りたい』と焦らないゲーマーたちが集まったことでようやく……>
「このヴァーチャルな世界にいるのが苦痛な人間は、そもそも、脳波コンのことが嫌いだ」
「む、それは確かに確かに」
「そうなるよう噂が流れている。変だと思った。多分、田岡さんのお陰です」
「……九郎だな? アイツめ~」
田岡の様子が少し落ち着いてきた。目力の強さがふと弱まり、身体の各所が人間らしい微動を始める。
「あー、そうだ一、九郎だなぁー」
<キミ? 少々棒読み過ぎない気がするのだがね?>
突然爽やかな男の声が割り込んできた。
<黙ってろ>
<指示であれば従うがね。あと一点、添えておこうかね>
<なんだ今忙しい>
「それは被害者にとっても被疑者にとっても良い事だ……ういんうぃん、というやつかな?」
「ん」
田岡に頷きつつAの言葉に耳を傾ける。
<全員が全員、キミの言う『帰還への優先順位』が低いとは限らないのでね。民主主義に属するはずだがね、民衆の意思は希釈も画一化も出来ないのでね>
「脳波コン、脳波、感受型、デバイス……望んで入れる、日本人。要らないと拒絶する、日本人」
「ん?」
「振り分けるのは個人かね? それとも国家かね?」
「田岡……日本は意図して振り分けを手伝った。だが、選ぶのは個人だ。自分も自分で欲しいと思ったから手術を受けて、空港に行って、ここに連れてこられた」
「……餅の人、いやガルドくん。君は、後悔してるんだろう? してないか?」
「いいや」
「していないのか」
「これっぽっちも」
「家族は? 友人は?」
「置いてきた。心配してない。九郎に頼んである」
「……君は」
「もちろんGM……犯人は許せない。だが空港に行ったことは悔やんでない。もし……」
「もしもはキリないぞ? もしもし、もしもし。つながらない。今ここにいる君には、ワンコールだってつながらないんじゃないのかい?」
電話を耳に当てる真似をする田岡が笑う。先ほどまでの怖い顔は鳴りを潜め、普段の朗らかな笑顔に戻っていた。同時に、言葉節も少し故障気味だ。
「……そうだな」
もしも。
ガルドは何度も思っていた。もしも自分が両親の説得に失敗し、海外遠征に行けなかったら。もしも勇気が出ず、秋葉原のオフ会に参加しなかったら。もしも興味を持たず、フルダイブ機を買わなかったら。もしも自分が疎外感を覚えず、普通の女子高生として日常をおくれていたのであれば。
もしも、おばあちゃんが生きていれば。
「それでも」
田岡から目線を外し、ガルドはローテーブルのガラス天板を見た。映り込む天井はうず高く、豪邸らしく細やかな装飾とシャンデリアで彩られている。
高い天井に、空港を思い出す。成田空港のターミナル、反響する人の声ファーストクラス車用のラウンジ。巨大な照明が強い光を注ぎ、下から見上げると高さのギャップでシャンデリアのように見えた。五人の仲間が佐野みずきを見ている。見慣れたアバターより少しシワの多い目元で笑う男が、みずきを「ガルド」と呼んだ。
「……あの場にいた別の誰かが、ロンベルの一人になっていたとしても。きっと榎本たちは空港にいた」
「エノキくん?」
「そう。だから、自分でよかった」
ガルドは一人になった相棒を想像してみる。
「そうかそうか! うん、友達想いだなぁ! うんうん!」
「……相棒だ、お友達とかじゃない」
ぽつねんと立つ相棒は相変わらず誰とでも会話し、男女関係なく仲良くできるだろう。社交的な男だ。ガルドはご機嫌になった田岡を見つつ、自分よりよっぽどコミュニケーション能力に長けた相棒の話術を思い返す。
だが、彼を案ずるのは誰だろうか。
独り身で、未婚のマグナですら桜子という恋人がいるというのに。榎本には「安否を真っ先に案じてくれる第三者」がいない。いや両親や姉が埼玉にいるとは聞いているのだが、未成年で被保護者であるガルドにとって、成人し家から出た大人は家族のカウントから外れるものだと理解していた。
共に過ごす時間の長さこそ家族の条件だ。あのマンションの一室で待っている女性がいればよかった。ガルドは本気で同情している。
「だから、自分で良かった。相棒は側にいるものだ。最後まで。看取るまで、付き合ってやる」
「っはっは! いいなぁ、言われてみたいものだなぁー」
「……九郎はきっと、そのつもりだと思う」
「そ、そうかな!? えっへへ、へへへ~! くろーう! 骨は拾っておくれー!」
上を向いて叫んだ田岡と一緒に、ガルドはソファへ深く背を預けて上を向く。
「……っ!? ゴホッ!!」
驚き過ぎてむせた。
「あ? 骨付きチキンがよかったか?」
湯気の立つバスケットを持った相棒が、吹き抜けの二階から手すり越しに返事をした。
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