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第一章
第一章 第5話「外出と図書館」
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その日は街で何か食べようとのノア様の提案で家で朝食は取らずに家を出た、まだ日の出から少しなので少し薄暗かった
ノア様の家は街の外れに位置するので都市の中心部には歩いて50分くらい掛かる。
後から知った事だが大通りに面している場所は6人乗りのような馬車がバスのように街を往復してるようだ。家から停留所までは少し遠い。それに今日のこんな朝早くはまだ往復馬車も仕事はしていないみたいである。ノア様は外出する時のいつものフード付きマントに仮面を付けている、僕以外は誰も彼女の素顔を見ていない。ましてやあの美しい肌など……。改めて二人で外出して少しノア様への独占欲が僕に芽生え始めていた。僕はノア様に支配されてる買われた奴隷なのに……僕は矛盾する気持ちをこの頃から抱えていた。
今日のノア様は匂いはあまりしていない、僕と二人で歩くという事と図書館で長時間滞在する事もあるからだろうか?朝初めて知ったのだが、ノア様のあの異臭の正体は毒草から抽出した汁と臭い匂いのする魚の油を混ぜ合わせたものを薬剤師から買っているらしい。元は魔獣避けの商品として売られていた物を少し薄めたものを薬剤師に頼んでいるらしい。毎朝瓶から香水のように少しマントに付けているとメモで教えてくれた。元々人避けの為とギルドの依頼時の森とかに行く時に夜に無駄に魔獣に襲われないようにと一石二鳥だという。
今日は僕が一緒に歩いている、朝マントに異臭瓶からそれを付けなかったのは、そこに僕を少しは信頼をくれてるのかもしれない。
そんな事を考え歩いていると都市の中央部に着いた。しかしまだ朝も早いので商店などは閉まっている、流石に屋台がチラホラ出店している程度だ。 お腹が空いてたので屋台から出るいい匂いだけで口の中に唾液が出る。すると僕の腹の虫が鳴いた・・・ ノア様が僕を上目遣いで見る、仮面の下で笑ってそうな目だと分かる。
長細いパンに肉を挟んだものを売っている屋台の前に立つ、ノア様から持つように言われてた小袋を開けるように促される。
街の普通の人と話すのは初めてなので極度の緊張が僕を襲う。僕は今まで会ったきた高圧的な盗賊や軍の兵士、奴隷商など接した時とは全く違う、ある意味前世でのニートのコミュ障の自分が出てきて怖がっていた…。
店の前で煮え切らない態度の男に屋台の店主がイラついた顔を見せるが、その後ろに立つ仮面とマントの異様な人物を見てその表情をおさめた。 街の真ん中である種、異様な恰好をしているのは殆んど冒険者だ。普通の者がそのような恰好をしていると、街の見回りをしている軍兵に睨まれる。 冒険者は粗暴なものも多いし街中でも剣を持てる。普通は防具も付けているのでノア様のような恰好は冒険者でも珍しい。街の人と冒険者は持ちつ持たれつ関係なので邪険に扱う人は少ない。
「あ、あの……」と僕が言いかけると店主は「いらっしゃい」と笑顔で言った。
品は1種類だけみたいなので「2個下さい。」と言うと、お代は800ギルだよと店主に言われ僕は持っていた小袋に入っている銀貨を1枚取り出した。店主に見せ、箱にお金を入れるように言われ慌てて入れる。そしてパンを2つとお釣りなのだろう硬貨7枚を渡された。銀貨は1500ギルくらいの価値なのかと思いながら受け取った。この異世界の物価は日本とよく似ている。そんな事を考えながら待って頂いてたノア様の元に小走りで向かう。
僕は肉と野菜が挟んであるパンをノア様に渡して近くの噴水のベンチに座る、まだ日が上り始めで、人通りもあまりないのでノア様も周りを気にしてない。彼女は僕の横でパンを食べ始める。僕も一口食べた……。「美味しいですね」と僕が言うとノア様は頷いた。あまり街中でメモを介して会話するのも変なので無言で食べる。今日は風が涼しくて心地よい。日もだいぶ上がってきた。わざと距離を縮め僕の肩とノア様は肩が触れるように座り直す、横目でチラッとみると彼女は気恥ずかしそうにしている。この幸せを壊したくないと僕は切に願った。
パンを食べ終え僕たちはまた歩き出した。僕は今日の街の散策が楽しみになっていた・・・。僕の衣服を買う予定も含まれていたが図書館に行く前には荷物になるので後になった
朝出かける前に少しメモを介して話したのは、図書館に行く前にギルドに立ち寄り図書館の司書への依頼証を貰う事、図書館後に買い物をする事。
冒険者ギルドは街の中心にあるらしい。大通りの端をギルドに向かい歩いていく、大通り沿いには剣や盾のマークが描いてある大きな看板があった。武器や防具屋だろうか?僕は緊張しながらノア様の後ろを歩く。しばらく歩くと他とは違う立派な建物が見えてきた。ここが冒険者ギルドだろうか?ノア様に続いて中に入ると冒険者は殆どいなかった。まだ朝早いからだろう。
受付には3人の職員がいる、その内の1人にノア様が声を掛ける。”図書館の検索依頼証が欲しい”とのメモを渡すと彼は笑顔で対応してくれた。そして彼女は僕にも分かるように説明してくれた、まずこの依頼証は図書館の司書のスキルを使ってもらう時に渡すらしい。本を借りる時には冒険者カードが必要らしい。冒険者カードは常に身に付けておかねばならないと罰金になるらしいのでノア様がお持ちで問題ない。
僕は離れて立っていたので他の職員が噂話するのが少し聞こえた。後から聞いた話ではノア様が高額な奴隷を買った事は噂ですぐに広まっていたらしい。ノア様が職員に礼を言い僕たちはギルドを後にした。
そして図書館に向かう、大通りを歩き暫くすると大きな建物が見えた。
『この立派そうなのは図書館かな?』僕は心の中で呟いた・・・ その建物は2階建てだがとても大きく、横幅が50メートル以上ある。入り口には警備の兵が二人立っていた。
ノア様はその兵に会釈しエントランスに入って行く・・・。
僕たちは奥の図書館の重い扉を引き中に足を踏み入れた・・・。「凄いですね・・・」
中に入ると天井の高いホールだった、壁一面に大きな本棚が並んでおりかなりの広さである。どの本棚にも本がぎっしりと詰まっていた。
僕は本の多さに圧倒されていた・・・ すると受付で対応してくれた職員さんが僕を見て声を掛けてくれた。この図書館は市民なら誰でも利用出来る事が一般の人には本の貸し出しは出来ない事を教えてくれた。また館内では静かにと教えてくれた。職員さんは僕とノア様に館内での規則や利用方法を説明してくれた。
図書館は誰でも自由に本を持ち出せるが、汚したり破損させた場合は弁償しなければならないらしい、また本を盗んだり勝手に持ち出した者は厳罰に処されるらしい。
僕は職員さんに礼を言い図書館内を見て回った、そしてノア様は受付で魔道司書さんと何かを話している・・・ 暫くして彼女は僕の所に戻ってきた。
魔族の声に関する記述がある本が魔道司書のlook upスキルで見つかったそうだ。僕はノア様に手を引かれるまま奥の小さな扉の前に立った。魔道司書さんは部屋の鍵を開けてノア様や僕に入るように促した。
そこは図書館の受付や本がある部屋とは違い、小さな古い本棚がぽつんとあった。その本棚の鍵は封印の魔法が施してあった。魔道司書さんはそれに触れ”魔力”と放つと本棚が光り始め、封印の解除が出来たみたいだ。そして彼はその本を取り出しノア様に手渡した・・・ 。ノア様が席に座り招きして横に座るように僕に促す。その本の表紙にこう書かれていた。
アイナリンド著『魔族の解剖生理学:比較及び機能解剖学』
それは遥か昔に高貴で賢明なエルフ族の医師が残した書物があったそうだ、その言葉は古代文字で書かれており、それを何年もかけて現代語訳した本らしい。その本にはこう書かれていた。
『その昔魔族は魔王が封印された事によって、この世界で勢力を激減させた。人間への攻撃を強めるために己の肉体を人間に害を為すよう進化させていった』と
『人間に近しい姿に進化した魔族もいる』と
かなり分厚い本なので中身をサッと見ながらパラパラとめくり声に関する章を探す。15分くらいかけても該当部は出てこない、ページもかなり進んで後半になっている。
次のページをめくると『人間と魔族との交配』という興味深い章が目に入った。
それは魔族ハーフのノア様に繋がる情報と僕と彼女の生活を一変させる内容だった……
ノア様の家は街の外れに位置するので都市の中心部には歩いて50分くらい掛かる。
後から知った事だが大通りに面している場所は6人乗りのような馬車がバスのように街を往復してるようだ。家から停留所までは少し遠い。それに今日のこんな朝早くはまだ往復馬車も仕事はしていないみたいである。ノア様は外出する時のいつものフード付きマントに仮面を付けている、僕以外は誰も彼女の素顔を見ていない。ましてやあの美しい肌など……。改めて二人で外出して少しノア様への独占欲が僕に芽生え始めていた。僕はノア様に支配されてる買われた奴隷なのに……僕は矛盾する気持ちをこの頃から抱えていた。
今日のノア様は匂いはあまりしていない、僕と二人で歩くという事と図書館で長時間滞在する事もあるからだろうか?朝初めて知ったのだが、ノア様のあの異臭の正体は毒草から抽出した汁と臭い匂いのする魚の油を混ぜ合わせたものを薬剤師から買っているらしい。元は魔獣避けの商品として売られていた物を少し薄めたものを薬剤師に頼んでいるらしい。毎朝瓶から香水のように少しマントに付けているとメモで教えてくれた。元々人避けの為とギルドの依頼時の森とかに行く時に夜に無駄に魔獣に襲われないようにと一石二鳥だという。
今日は僕が一緒に歩いている、朝マントに異臭瓶からそれを付けなかったのは、そこに僕を少しは信頼をくれてるのかもしれない。
そんな事を考え歩いていると都市の中央部に着いた。しかしまだ朝も早いので商店などは閉まっている、流石に屋台がチラホラ出店している程度だ。 お腹が空いてたので屋台から出るいい匂いだけで口の中に唾液が出る。すると僕の腹の虫が鳴いた・・・ ノア様が僕を上目遣いで見る、仮面の下で笑ってそうな目だと分かる。
長細いパンに肉を挟んだものを売っている屋台の前に立つ、ノア様から持つように言われてた小袋を開けるように促される。
街の普通の人と話すのは初めてなので極度の緊張が僕を襲う。僕は今まで会ったきた高圧的な盗賊や軍の兵士、奴隷商など接した時とは全く違う、ある意味前世でのニートのコミュ障の自分が出てきて怖がっていた…。
店の前で煮え切らない態度の男に屋台の店主がイラついた顔を見せるが、その後ろに立つ仮面とマントの異様な人物を見てその表情をおさめた。 街の真ん中である種、異様な恰好をしているのは殆んど冒険者だ。普通の者がそのような恰好をしていると、街の見回りをしている軍兵に睨まれる。 冒険者は粗暴なものも多いし街中でも剣を持てる。普通は防具も付けているのでノア様のような恰好は冒険者でも珍しい。街の人と冒険者は持ちつ持たれつ関係なので邪険に扱う人は少ない。
「あ、あの……」と僕が言いかけると店主は「いらっしゃい」と笑顔で言った。
品は1種類だけみたいなので「2個下さい。」と言うと、お代は800ギルだよと店主に言われ僕は持っていた小袋に入っている銀貨を1枚取り出した。店主に見せ、箱にお金を入れるように言われ慌てて入れる。そしてパンを2つとお釣りなのだろう硬貨7枚を渡された。銀貨は1500ギルくらいの価値なのかと思いながら受け取った。この異世界の物価は日本とよく似ている。そんな事を考えながら待って頂いてたノア様の元に小走りで向かう。
僕は肉と野菜が挟んであるパンをノア様に渡して近くの噴水のベンチに座る、まだ日が上り始めで、人通りもあまりないのでノア様も周りを気にしてない。彼女は僕の横でパンを食べ始める。僕も一口食べた……。「美味しいですね」と僕が言うとノア様は頷いた。あまり街中でメモを介して会話するのも変なので無言で食べる。今日は風が涼しくて心地よい。日もだいぶ上がってきた。わざと距離を縮め僕の肩とノア様は肩が触れるように座り直す、横目でチラッとみると彼女は気恥ずかしそうにしている。この幸せを壊したくないと僕は切に願った。
パンを食べ終え僕たちはまた歩き出した。僕は今日の街の散策が楽しみになっていた・・・。僕の衣服を買う予定も含まれていたが図書館に行く前には荷物になるので後になった
朝出かける前に少しメモを介して話したのは、図書館に行く前にギルドに立ち寄り図書館の司書への依頼証を貰う事、図書館後に買い物をする事。
冒険者ギルドは街の中心にあるらしい。大通りの端をギルドに向かい歩いていく、大通り沿いには剣や盾のマークが描いてある大きな看板があった。武器や防具屋だろうか?僕は緊張しながらノア様の後ろを歩く。しばらく歩くと他とは違う立派な建物が見えてきた。ここが冒険者ギルドだろうか?ノア様に続いて中に入ると冒険者は殆どいなかった。まだ朝早いからだろう。
受付には3人の職員がいる、その内の1人にノア様が声を掛ける。”図書館の検索依頼証が欲しい”とのメモを渡すと彼は笑顔で対応してくれた。そして彼女は僕にも分かるように説明してくれた、まずこの依頼証は図書館の司書のスキルを使ってもらう時に渡すらしい。本を借りる時には冒険者カードが必要らしい。冒険者カードは常に身に付けておかねばならないと罰金になるらしいのでノア様がお持ちで問題ない。
僕は離れて立っていたので他の職員が噂話するのが少し聞こえた。後から聞いた話ではノア様が高額な奴隷を買った事は噂ですぐに広まっていたらしい。ノア様が職員に礼を言い僕たちはギルドを後にした。
そして図書館に向かう、大通りを歩き暫くすると大きな建物が見えた。
『この立派そうなのは図書館かな?』僕は心の中で呟いた・・・ その建物は2階建てだがとても大きく、横幅が50メートル以上ある。入り口には警備の兵が二人立っていた。
ノア様はその兵に会釈しエントランスに入って行く・・・。
僕たちは奥の図書館の重い扉を引き中に足を踏み入れた・・・。「凄いですね・・・」
中に入ると天井の高いホールだった、壁一面に大きな本棚が並んでおりかなりの広さである。どの本棚にも本がぎっしりと詰まっていた。
僕は本の多さに圧倒されていた・・・ すると受付で対応してくれた職員さんが僕を見て声を掛けてくれた。この図書館は市民なら誰でも利用出来る事が一般の人には本の貸し出しは出来ない事を教えてくれた。また館内では静かにと教えてくれた。職員さんは僕とノア様に館内での規則や利用方法を説明してくれた。
図書館は誰でも自由に本を持ち出せるが、汚したり破損させた場合は弁償しなければならないらしい、また本を盗んだり勝手に持ち出した者は厳罰に処されるらしい。
僕は職員さんに礼を言い図書館内を見て回った、そしてノア様は受付で魔道司書さんと何かを話している・・・ 暫くして彼女は僕の所に戻ってきた。
魔族の声に関する記述がある本が魔道司書のlook upスキルで見つかったそうだ。僕はノア様に手を引かれるまま奥の小さな扉の前に立った。魔道司書さんは部屋の鍵を開けてノア様や僕に入るように促した。
そこは図書館の受付や本がある部屋とは違い、小さな古い本棚がぽつんとあった。その本棚の鍵は封印の魔法が施してあった。魔道司書さんはそれに触れ”魔力”と放つと本棚が光り始め、封印の解除が出来たみたいだ。そして彼はその本を取り出しノア様に手渡した・・・ 。ノア様が席に座り招きして横に座るように僕に促す。その本の表紙にこう書かれていた。
アイナリンド著『魔族の解剖生理学:比較及び機能解剖学』
それは遥か昔に高貴で賢明なエルフ族の医師が残した書物があったそうだ、その言葉は古代文字で書かれており、それを何年もかけて現代語訳した本らしい。その本にはこう書かれていた。
『その昔魔族は魔王が封印された事によって、この世界で勢力を激減させた。人間への攻撃を強めるために己の肉体を人間に害を為すよう進化させていった』と
『人間に近しい姿に進化した魔族もいる』と
かなり分厚い本なので中身をサッと見ながらパラパラとめくり声に関する章を探す。15分くらいかけても該当部は出てこない、ページもかなり進んで後半になっている。
次のページをめくると『人間と魔族との交配』という興味深い章が目に入った。
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