6 / 24
序章
序章 第1話「地方都市グエルチーノ」
しおりを挟む
ここは島国であるバルザート国の地方都市グエルチーノ
人口は8万人ほどで首都のラクーナに比べたら都市として半分くらいの規模だが豊富な水資源により街には活気がある。そんな平和で暮らしやすいこの町だが外部の人間には厳しい
島国特有の感情というか気質だろうか
先日の盗賊が職人の妻を連れ去った件
職人の妻二人以外に奴隷に捕らえられていた見慣れぬ服を着て自分の名前も分からない18歳の青年
軍はあの男を不法移民として奴隷オークションに掛けることにした。
その者が自らを転生者と言い張っていた事実は役所の文書から消された。
転生の間以外からの出現はあり得ない、それは転生の間を管理する教会への冒涜ともとられかねなかった。
転生者は大賢者が生涯に2度のみ行える、その大賢者は国に今は二人しかいない。
勿論転生の儀は国の管理の元に行われる
そこらの森で盗賊に捕まっていた大したユニークスキルも持たない者が転生者はそもそもあり得ない。
国が正式に認めた転生の儀は13年前に行われ侯爵家のご令嬢に懐胎された、その子はドルフという名で13歳ながらも国の騎士をも凌ぐ戦士に育っているという
前世の記憶も持ち戦士ながら魔法も使えるらしい
教会が言うには転生者は神から与えられた使命があるという。
そのことは教会の最高司祭のみが知ることであり、教会に属さぬものに教えることは禁忌に触れる。
私はこの国の第二師団の隊長をしているグルド
あの青年を鑑定の間に連れて行ってからやはりその後が気になっていた
奴隷オークションは今日の夜だ。
我々兵士には教会が何をしているのか知る由もない
「あの青年が言ってった異世界からの転生がもし本当だったら?」
この国で転生の間を知る者は少ない国家機密である、転生者が国にどんな利益を齎すのか今だ誰も分からない。
そんな転生者がもし奴隷オークションに掛けられ、貴族が買い取ったら?
今日は街の巡回しか仕事がないのでつまらない日だ
すると兵士が話しかけていた「グルド隊長!今日の夜は先日の職人の奥方奪還及び最近暴れていた盗賊殲滅の祝いの宴です」
「ああ、そうだな」
「職人の奥方二人は回復は順調か?」
「身体の回復はされたそうですが、心はまだふさぎ込んだままのようです。」兵士が言った
「あともう一人捕らえられていた、あの心が壊れて自分は転生者だと訳の分からない事を言ってた青年はどうなりました?」
「あいつ、自分の名前も年齢も分からなかったですよね」
兵士が私に聞いてきた。
「そうだ!鑑定で名前も分からなかったのは本当だ、年齢は18だったかな、結局奴隷オークション行きになった」
「え!奴隷オークションに!」兵士は驚いた。
「たしか、今日奴隷オークションで売られる。毒耐性ユニークスキル持ちだから多少は高く売れるだろう。」
「売り上げの三割は第二師団に入る」
「その金で第二師団でパーティでもやりましょうぜ、グルド隊長!」兵士はおどけて笑った。
私は愛想笑いをしていたが、やはりあの青年とオークションで買った人物を数年マークすべきかと思案した。
軍に入り22年、何か私の勘がそうしろと言っているようだった
「あのユニークスキル…」
あの青年は全く悪意が無かった、自分のことも分からないのに奴隷オークションに掛けられるのを気の毒に思ったのか?
「すまないが、明日役所に行って奴隷オークションの結果を聞いておいてくれ、どうせお前ら二日酔いだから夕方からで良い」
「分かりました、グルド隊長!」
奴隷オークションの会場は役所のすぐ近くの劇場で行われる。
参加者は貴族や商人が殆んど、冒険者もそこそこ参加する、最低落札価格は2000万ギル
それ以下の値段の奴隷は奴隷商人が直接売りさばく
奴隷オークション自体は月一回、少ないときは3人しかオークションにでない時もある
2000万ギル以上の奴隷はそれなりに貴重だ。
そして我々が本日の夜、祝いの宴をしている時、奴隷オークションが行われた
今日のオークションの目玉は…
ユニークスキル 【細菌・ウイルス耐性】 【免疫強化】持ちの18歳の男
最低価格は2000万ギル
その会場に周りから露骨に避けられてる者がいた
会場に全く似つかわしくない薄汚れたボロ布のフードの付いたマントを身にまとい全身を覆い隠す異様な恰好
その”異臭を放つ仮面のモノ”は後方座席に座った……
人口は8万人ほどで首都のラクーナに比べたら都市として半分くらいの規模だが豊富な水資源により街には活気がある。そんな平和で暮らしやすいこの町だが外部の人間には厳しい
島国特有の感情というか気質だろうか
先日の盗賊が職人の妻を連れ去った件
職人の妻二人以外に奴隷に捕らえられていた見慣れぬ服を着て自分の名前も分からない18歳の青年
軍はあの男を不法移民として奴隷オークションに掛けることにした。
その者が自らを転生者と言い張っていた事実は役所の文書から消された。
転生の間以外からの出現はあり得ない、それは転生の間を管理する教会への冒涜ともとられかねなかった。
転生者は大賢者が生涯に2度のみ行える、その大賢者は国に今は二人しかいない。
勿論転生の儀は国の管理の元に行われる
そこらの森で盗賊に捕まっていた大したユニークスキルも持たない者が転生者はそもそもあり得ない。
国が正式に認めた転生の儀は13年前に行われ侯爵家のご令嬢に懐胎された、その子はドルフという名で13歳ながらも国の騎士をも凌ぐ戦士に育っているという
前世の記憶も持ち戦士ながら魔法も使えるらしい
教会が言うには転生者は神から与えられた使命があるという。
そのことは教会の最高司祭のみが知ることであり、教会に属さぬものに教えることは禁忌に触れる。
私はこの国の第二師団の隊長をしているグルド
あの青年を鑑定の間に連れて行ってからやはりその後が気になっていた
奴隷オークションは今日の夜だ。
我々兵士には教会が何をしているのか知る由もない
「あの青年が言ってった異世界からの転生がもし本当だったら?」
この国で転生の間を知る者は少ない国家機密である、転生者が国にどんな利益を齎すのか今だ誰も分からない。
そんな転生者がもし奴隷オークションに掛けられ、貴族が買い取ったら?
今日は街の巡回しか仕事がないのでつまらない日だ
すると兵士が話しかけていた「グルド隊長!今日の夜は先日の職人の奥方奪還及び最近暴れていた盗賊殲滅の祝いの宴です」
「ああ、そうだな」
「職人の奥方二人は回復は順調か?」
「身体の回復はされたそうですが、心はまだふさぎ込んだままのようです。」兵士が言った
「あともう一人捕らえられていた、あの心が壊れて自分は転生者だと訳の分からない事を言ってた青年はどうなりました?」
「あいつ、自分の名前も年齢も分からなかったですよね」
兵士が私に聞いてきた。
「そうだ!鑑定で名前も分からなかったのは本当だ、年齢は18だったかな、結局奴隷オークション行きになった」
「え!奴隷オークションに!」兵士は驚いた。
「たしか、今日奴隷オークションで売られる。毒耐性ユニークスキル持ちだから多少は高く売れるだろう。」
「売り上げの三割は第二師団に入る」
「その金で第二師団でパーティでもやりましょうぜ、グルド隊長!」兵士はおどけて笑った。
私は愛想笑いをしていたが、やはりあの青年とオークションで買った人物を数年マークすべきかと思案した。
軍に入り22年、何か私の勘がそうしろと言っているようだった
「あのユニークスキル…」
あの青年は全く悪意が無かった、自分のことも分からないのに奴隷オークションに掛けられるのを気の毒に思ったのか?
「すまないが、明日役所に行って奴隷オークションの結果を聞いておいてくれ、どうせお前ら二日酔いだから夕方からで良い」
「分かりました、グルド隊長!」
奴隷オークションの会場は役所のすぐ近くの劇場で行われる。
参加者は貴族や商人が殆んど、冒険者もそこそこ参加する、最低落札価格は2000万ギル
それ以下の値段の奴隷は奴隷商人が直接売りさばく
奴隷オークション自体は月一回、少ないときは3人しかオークションにでない時もある
2000万ギル以上の奴隷はそれなりに貴重だ。
そして我々が本日の夜、祝いの宴をしている時、奴隷オークションが行われた
今日のオークションの目玉は…
ユニークスキル 【細菌・ウイルス耐性】 【免疫強化】持ちの18歳の男
最低価格は2000万ギル
その会場に周りから露骨に避けられてる者がいた
会場に全く似つかわしくない薄汚れたボロ布のフードの付いたマントを身にまとい全身を覆い隠す異様な恰好
その”異臭を放つ仮面のモノ”は後方座席に座った……
1
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。


義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる