2 / 2
私の晴れ舞台
しおりを挟む「お嬢様、本日はいかが致しましょう」
執事らしき好青年が問いかける
「そうね、晴れ舞台なのですから出来るだけ上品に」
少女は儚げに答える
困り眉になっている少女の名はマリージュ・ウルシリア。そしてマリージュの髪をゆっているのが彼女の執事、マインダー・ナカマラス。
なぜマリージュが困っているのか、それはこの後に婚約者の生誕パーティーに出席しないとならない。
「はぁ・・・」マリージュは気を抜いてしまったらしい小さなため息がこぼれる。
それを有能な執事は逃さず
「体調でも崩されましたか?」
「いえそんな事ないのよ、ただ・・・ね」
2人は幼い頃から一緒に育ったのか二人っきりになると口調が柔らかくなってしまう。
マリージュは昔から大勢集まっている場所が苦手。だけど公爵家の一人娘と言う地位を持っているため、必ず社交パーティーには参加しなければならない。それに加え今回は自分の婚約者主催のパーティー、それは目立つ場所に立たされるであろう。
なんども普通のパーティーには参加していたので慣れている、そう普通のパーティーには。
婚約者はこの国の時期国王、現第一王子のカラマイス・スペイソン。王子の生誕パーティーと来れば下級貴族から上級貴族、他国の王族などいらっしゃるだろう。そうマリージュが苦手な大勢になる。
し か も
王子の生誕にくわえ成人祝いも含まれている。学園には特待生として平民が月に10人ほど入学してくる。時には貴族への気遣いを怠るものも出てくる。
それもまた面倒な事になる事を想像するとマリージュからため息が出る
彼女に関係の無いことだったら面倒事にも巻き込まれる心配もないが。
そう、その無礼者はかなり男の取っかえ引っ変えが激しい。けど外では猫を被り身分が相当上であろう物にも軽々しく声をかける。異性にだけ、女性にはもちろん色んな意味で嫌われている。遊び女、婚約者を取られた、他にも色々。
その女の名前はヘラミネ・シュガイ
平民出身、今では男爵家に養子として迎えられている。最初はまだ良かったもの男爵家に入った途端豹変したのだ。
ヘラミネは今現在、マリージュの婚約者カラマイスに夢中だ。そうマリージュは気づいている、カラマイスとヘラミネは築いてはならない関係にある事を。
簡単に騙されるカラマイスもあるけれどヘラミネには魅力の力、そしてとても可愛らしい要素を持っている為。男は誰であろうと自分の物に出来る。
マリージュは1度たりともカラマイスをすいたことは無いからそんな事気にする必要もない。けれど思ってもいないことにヘラミネはカラマイスにマリージュが自分を虐めていると相談をしている。
マリージュには記憶にもいつでもそばにいる執事マインダーにも心当たりなど到底ない。
今日は王子の晴れ舞台、そして自分の晴れ舞台。マリージュは疲れてしまったのだこんな面倒事に巻き込まれるくらいなら断罪され他国に追放された方がマシだと。ただ最初から断罪されるき満々とも行かない。現公爵の父を自分の面倒事に悩ませるわけにも行かない。母も驚く程心配性で誰よりもマリージュの事を大切にしてきた。こんなにお世話になって愛をくれた人達に迷惑はかけられない。
マリージュは決めていたのだ、断罪されるのなら誰一人巻き込まずに。自分だけに被害が及ぶように演じようと。
完璧な悪役を演じようと。
たとえ誰一人落としてはいけない
誰一人。
0
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
婚約破棄された悪役令嬢にはヤンデレ婚約者が宛がわれました
荷居人(にいと)
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢の結末って死ぬ運命にあるか国外追放か。で、乙女ゲーム転生で悪役令嬢になっちゃったといえば死なないためにふんばるか、国外追放やっほーいな気分でそれを目指して平民になろうとするかだと私は思ってる。
大抵転生悪役令嬢はなんだかんだいいポジション枠で幸せになるよね!
なのに私は悪役令嬢に転生してると記憶を取り戻したのはいいとして既に断罪される直前。お決まりの婚約破棄後に言われたのは強制的な次の婚約先!その相手は悪役令嬢のストーカーモブで………。
「あれ?意外にいい男だ」
乙女ゲームでは声のみ出演だったモブは悪役令嬢側からしたらなしでも、私からすればありありの婚約者でした。
寧ろ推しより好みです!ストーカー、ヤンデレ、束縛上等!だってそれだけ愛されてるってことだもんね!
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
海の嘘と空の真実
魔瑠琥&紗悠理
恋愛
綾瀬悠希(18)は、高校中退の未婚の母。親元を離れ、祖父母の住む宮崎県・日向市に越してきた。幼い頃から慣れ親しんだ宮崎の自然が綾瀬を癒し、包み込んでくれる。そんな自然豊かな環境の下、綾瀬は我が子のためにバイトに励む!!日向市の人々の温かい想いに、自身の過去を見つめ直していく。バイト先での新しい出会いや従弟との再会に、綾瀬の恋心は振り回されてばかりで……!?これは、全ての人に捧げる恋愛讃歌。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる