先輩にそのBL小説はまだ早いと思います。

七賀ごふん

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先輩、ありがとうございます。

#2

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「ない」

翌朝、皐月は自室屋の本棚の前で立ち尽くしていた。

理由は、未早を題材にした俺執筆の夢小説がなくなっていたからだ。間違いなくこの棚に飾ってあったはずなのに、どこを探しても見つからない。
もちろん心当たりならある。未早だ。昨日家に上げたときに持ち出しやがった可能性が高い。
すぐさまメッセージを送ったが、まさかの既読スルー。神様、本当にすいません。未練がましく残してないで、すぐに処分すべきでした。
でもアレのおかげで未早と付き合えたから、捨てるに捨てられなかったんだよな……!

「皐月ー? 早く行かないと学校遅刻するわよ」
「あっうん! イクイク!」
イクイクって言うと、何か卑猥なシーンを思い出す。とかバカ言ってる場合じゃない! 早く学校に行って、未早を捕まえないと!!

────だけどこういうとき、タイミングってのは悪いように作られてる。

「え 今日は部活ないよ。テスト期間じゃん」
「テスト……ですと!?」
「テストです」

隣のクラスの泉名に廊下ですれ違ったとき、衝撃の事実を告げられた。
そうだ……! テスト勉強を見てやるってことで昨日未早を呼んだのに、俺は本を読むのに夢中になって彼を放ったらかしにしたんだ。

しかも未早は最近BLを理解しようと努力していたのに、俺は彼が好きなSFの悪口をけっこう言った気がする。SFって何の略だっけ……サイエンス・ファクシミリ? 違う! どこにファックスする気だよ!
とにかく、未早と昨日どうやって別れたかも覚えてない。てことは、俺は相当あいつに無関心で、酷い扱いをした可能性がある。そうか、それで怒ってんのか……!

そして俺はテスト勉強なるものを一切やってない。

「まー、紅は今回も余裕だよね。休みなんてとらないで、部活や研究会に顔出したいのが本音でしょ?」
「やっば! どうしよう泉名、俺いろいろやっばい!」





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