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先輩、そこまでです。
#1
しおりを挟む一昨日は頑張ったけど惨めだった。
昨日は恥ずかしかったけど、とても嬉しかった。
それは何故か? 理由はひとつ。
今日から俺と紅本先輩は恋人同士!
色々と展開早すぎて自分でもビックリしてる。でも無事に受け入れてもらえたから結果オーライだ。夢にも思わなかった夢(?)、言うなれば望外の喜び。めちゃくちゃ嬉しい。どこか高い所に登って心の底から叫びたいけど、それはさすがにやめとこう。
「未早、何か良いことあった? 嬉しそうじゃん」
朝、教室に行くと前の席のリョウが話し掛けてきた。いやしかし、俺の心を読んだかのような発言だ。思わず身構える。
「何で分かんだよ。エスパー? それともマイクロチップ埋め込まれてんのか」
「マイクロ……? いや、普通にわかるよ。ずっと笑ってるもん」
「ずっと笑ってた!? 変人じゃん!」
「変人だろ」
「うわぁ、恥ずかし……なら教えてくれよ」
コントみたいな掛け合いをして、机に顔を伏せる。
「いいじゃん、お前は笑ってる方が良いよ。で、何が嬉しかったの。サイフでも拾った?」
「違うよ。詳しくは言えないんだけど、長年の夢が叶ったんだ。それがすごく嬉しくてさ。今なら俺、マジで何でもできるよ」
「へぇー。じゃあちょっと、ここでバク転してよ」
「ごめん嘘ついた」
でも、本当に幸せだ。こんなに幸せで良いんだろうか。
いざ夢が叶うと幸せ過ぎて不安になってくるから、人って不思議だ。
昼休み、売店に行くと後ろから背中を軽く叩かれた。
「よっ。今から昼飯?」
「紅本先輩!」
振り返ると先輩がパンとペットボトルを持って立っていた。店の中は人で溢れかえっていたけど、先輩は背が高いから見失うことはなさそうだ。
「はい、今から買うところで」
「そっか。良かったら一緒に食う?」
一緒に……!
すぐに頷くと、先輩は「オッケー」と笑った。
先輩と昼飯……。
中学以来。しかも、付き合ってから初めての。何かもう、ドキドキしていた。
賑やかな売店を出て、先輩がオススメと言う中庭へ向かう。ひなたに位置するベンチに腰掛け、互いに買ったものを並べる。俺はおにぎりで先輩はサンドイッチだった。
「いいだろ、ここ。意外と人来ないんだよ」
「良いですね。俺教室以外で食べるの初めてです」
木々に囲まれた景色とか、丁寧に手入れされた花壇とか、落ち着いていて好きな空間だ。先輩といるから、なおさら。
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