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【17】
#7
しおりを挟む「何が……?」
俺は蓮実さんに恋人がいると知りながら、彼の優しさに甘えようとした。
恋人になりたかったわけじゃない。彼を縛り付けたかったわけでもない。ただ、優しさを分けてほしかった。
恋人ではなくても……崩れそうな時に繋がれる、深い“関係”が欲しかったのかもしれない。
「咲人君は多分、寂しいだけだ」
ちゅ、と音が鳴る。頬に優しく口付けられ、くすぐったくて身を捩った。
「何で……怒らないの」
「怒らないよ。もちろん最初は本当に困ってたけど……君のことはずっと以前から心配で仕方なかった。俺の家に来るようになった後も夜に外へ行ってるみたいだから、水那月に全部話して手伝ってもらったんだ」
水那月と蓮実は古い友人で、交際を始めたのは最近らしい。まだ肌を重ねた回数も少ないとか……それを聞いたら尚さら申し訳なく思った。
「自分をもっと大事にしてほしい。俺は知ってるけど、本当の咲人君は優しい子だから……」
優しく頭を撫でられる。よく分からないけど涙が溢れた。
抱き寄せてくれる二人にごめんなさいと言い続けた。泣き疲れて眠りそうなもんだけど、気付いたら蓮実さんも加わり、夜はむしろ濃くなった。
「ん、んう……っ」
背を預けて水那月の膝に座り、中と胸を同時に責められる。前からは蓮実が、キスをしながら前を扱いてくれた。
「あ、熱い……っ」
優しくも力強い、大人の男の手。全身が溶けてしまいそうだ。
「咲人君、ここ痛くないの?」
「それ俺も何度も訊いた」
蓮実が傷だらけの内腿を心配そうに見つめていたが、横で水無月が即答する。今さら恥ずかしくなって脚を閉じかけたけど、後ろから伸びてきた手に固定されてしまった。
「咲人君は大丈夫だってさ。……だから今度は蓮実が優しくしてあげな」
水那月が口端を上げると、蓮実は遠慮がちに咲人の腰に顔をうずめた。内腿に舌を這わせ、水那月の性器を受け入れてる場所を愛でてくる。
「ずっと咲人君の中に入れてるから、蓮実、嫉妬してる?」
「嫉妬なんてしないよ。咲人君は可愛いし……ね?」
「んあっ!」
尖って蜜が溢れる先端を指で捏ねられ、女のように甲高い声が出てしまう。
やばい、やばい。何でこんなに気持ち良いんだ。
大の男二人に挟まれ、優しく解されることがこれほどまでに気持ち良いなんて……全然知らなかった。
でも、全く知らない人とだったら違ったのかもしれない。水那月と蓮実は咲人の反応を逐一確かめ、神経をつかいながら行為に及んでいる。
「ふ……あ、っ、あぁ……」
初めは声が出てしまうことが恥ずかしかったのに、どんどん大胆になり、動きも大きくなってしまう。シーツに落ちる体液が自分のものなのか、彼らのものなのかすら分からなくなっていた。
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