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【17】
#4
しおりを挟む同情も不思議だ。悔しいのにどこか心地いいと感じる、俺は腐ってる。
男の一人暮らしにしては観葉植物がたくさん置いてあって、温かみがある部屋だった。
きっと会社でも人望あるんだろう。たかが隣の部屋の高校生を気にかけて、家にまで上げてくれるんだから。
蓮見さんは本当に優しい。
さっき、もし……本当に親父に叩き出されていたとしたら、彼の優しさで頭がおかしくなってしまうところだった。
「蓮実さんって付き合ってるひといないの?」
「え? い、いないよ」
「どうして? そんなにかっこいいのに」
お世辞ではなく、蓮実は背も高く顔立ちも整っている。三十代半ばなのだろうが、実年齢よりずっと若く見える。
「かっこいいなんて言ってくれるのは咲人君だけだよ」
彼は恥ずかしそうに微笑み、お茶の準備を始めた。
これまで生きていた世界にはいないタイプだ。咲人は自分勝手に振る舞い、威張り散らす大人しか知らなかった。軽く困惑してるし、警戒もしている。彼のことなんて何も知らないけど、これが彼の本当の姿なら嫉妬すら覚えてしまう。
脅すネタに使えると思っていたけど、脅したい理由が変わってきた。
彼を手に入れたい。優しい世界しか知らなそうな彼に、汚い自分を見てほしい。
「咲人君……わっ!」
彼がお湯を沸かして背を向けてるところに、後ろから抱き着いた。
「危ないよ。ポットが倒れたら大変……」
「ねぇ蓮実さん、彼女がいないなら俺と付き合ってよ。俺、もっと蓮実さんのことが知りたい」
胸に回していた手を下へ移動する。見た目は華奢だけど、触ってみると男の身体だ、と息を飲んだ。
このスーツを脱がせたら……どれだけ満足できるだろう。
ベルトに手をかける。この流れだけは得意で、戸惑う彼を制しあっという間にチャックを下ろした。もたもたしていたら怒鳴る奴もいるから必然的に身についたことだ。
「じっとしてて」
ズボンの中に手を入れ、下着をまさぐる。柔らかい膨らみは、刺激するとどんどん固くなった。
「咲人く……やめなさい……!」
彼がようやく本気で抵抗し始めたので、すかさずスマホの画面を翳した。
そこには彼と、もう一人の男がキスをしてる姿が映し出されている。
「なん……で、それ……っ」
「あはっ。結婚しない理由はこれかな。蓮実さん、男が好きなんでしょ?」
振り返った彼の、絶望に満ちた顔。可哀想だけど、可愛い。加虐心をくすぐられる。自分の中にこんな酷い一面があるなんて知らなかった。
「蓮実さん、これバラされたくなかったら俺の言うこと聞いてよ。安心して、別にお金なんていらないから」
だから、えっと……何が欲しいんだっけ。
蓮実さん、もそうだけど。それよりもっと深い“なにか”が欲しい。
頭が回らないし言葉が出てこない。めんどくさくなって彼の口を塞いだ。シャツを捲り上げると、白い肌と突起が顔を覗かせた。意外と筋肉質だ。顔と身体のギャップに惹かれて、また胸が熱くなる。
ズボンと下着を引き下ろし、彼の高ぶった性器を口に含む。まるでおっぱいに食いつく赤ん坊のようだ。
買ってきてもらったジュースがぬるくなるまで、それは長く長く続いた。
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