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活殺
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しおりを挟むもはや人権がなかった。だからといって、抵抗はもちろん、反論する材料も持ち合わせていない。混乱の真っ只中にいる今は、好き勝手されるしかない。
頭が痛い。目もおかしくて、やけに前がちかちかする。
「手コキでもうイきそうじゃん。可愛いー」
「おい、俺にも触らせろよ」
「は? お前男は無理って言ってたクセに」
「だから、犯すのが無理なんだよ! 触るぐらいはヘーき」
四人は取り合う様にして秋に手を伸ばした。
「風間って体綺麗だよな。男なのに何か良い感じ」
「先っぽ弄られんのが好きみたいよ」
性器を扱く手が速くなる。
「ほら、イッていいよ」
「……っ、やめ……!」
秋は後ろに身を引いたが、一層強く先を擦られたとき白い飛沫を辺りに放ってしまった。
「……っ!!」
「わ。すげえ、トロトロじゃん。他人の射精とか生で見るとやべえな」
性器を触っていた少年は、精液のついた手を秋の口に含ませた。
「風間、自分の精子美味しい?」
「お~、エローい」
皆一様にイったばかりの秋を興味津々で眺める。
「あー……俺こいつなら入れてみたいかも……」
……っ!?
誰かが零した言葉に、秋は震えた。だがすぐ後に、全く違う声が頭上に降りかかる。
それは、いつかは毎日聞いた……懐かしい声。
「おい。お前ら、何勝手に始めてんだよ」
冷たい声と靴音が近付いてくる。
秋は霞んだ眼で、その方向を見た。
「しかもこんな汚ないトイレでさ。他に場所あったろ」
「あぁ? 何だよ、遅れてきたくせに」
突然現れた一人の少年の言動に、四人は気分を害した様子だった。
「美味しい所はちゃんと残しといてやったぞ」
「恩着せがましいこと言うなよ。犯す度胸なかっただけだろ? ……ま、そこまでヤってたら許さないけど」
足音は目の前で止まった。
こっちを見下ろしてるみたいだ。同じ二年の上履きが目に入る。
「チッ……。お前、前は付き合ってたんだろ? 風間も不憫だよな。辻村みたいな奴に捕まって」
……。
「……え?」
ボヤけた視力が段々戻ってきた。
「っ!」
ネクタイを強く引っ張られて、顔を上げさせられる。
かなり近い距離だった。まじまじと見なくても相手の顔を確認できる。……だから、秒速で自分の眼を疑った。
「秋、大丈夫? ひどい格好してるね」
そう言って、目の前の少年は微笑んだ。
「なん……で……」
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