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活殺
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しおりを挟む秋は軽く頭を掻いて、小塚の言葉を反復した。
「俺の為?」
「うん。もしアキを好きな奴が危ない行動に出ようとしてても、情報を共有してればお前に教えることができるから、トラブル回避に役立つだろ?」
おぉ……。
「お前本当に小塚か? 頭キレキレじゃん。こわ」
「まぁね。つまり俺はスパイってわけ。くー、カッコいいわ~」
自分で言うのはちょっとアレだと思ったけど、こっちも嬉しいのは事実だった。
「サンキュー。でも俺のせいでお前まで危ない目にあうのは困るからさ、ヤバいと思ったら抜けろよ」
「なに水臭いこと言ってんだ。大丈夫だよ。メンツ見てきたけどさ、皆大人しくてモジモジしてたぜ。何でアキみたいなヤンキー上がりを好きになるんだ? って思ったね」
「誰がヤンキー上がりだよ。上がったことも下がったこともねえよ」
二人は靴を履き替えて、校門を抜けた。いつもの通学路を、駅へ向かって歩く。
「それよか、まだ噂の出どころは分かんないの?」
「あぁ、それは……分かんない」
小塚の質問に秋は少し戸惑った。本当は分かってるからだ。生徒会長の須佐が事の発端だと。
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だから今日は本当に心配だった。また教室まで来るんじゃないかとか、放課後呼び出されてリンチされるんじゃないか、とか。
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その理由は翌日になってからわかる。
───会長は体調不良で学校を休んでいたんだ。
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