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活殺

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「あ。風間先輩、こんちはー」
日付が変わり、週が変わった、月曜日の放課後。
とても平和なある日の学校風景。秋は大きく背伸びした。

「よ、風間」
「オッス風間ー」

顔見知りは高確率で挨拶してくる。
注がれる視線は好意か好奇か……それを見分けるのは疲れてしまった。
そう、疲れたんだ。もう気にしない。こそこそ見るぐらいならもっと堂々と見ろって思う自分の順応性は大したものだ。元々神経は図太かったけど、今回の件で極まった気がする。
「うーん。一躍有名人だな、アキ」
それでなくても見た目で浮いてたのに。と、小塚は隣を歩く秋に笑いかけた。

「なりたくてなったんじゃない」

ただでさえ月曜はしんどいのに、学校に行きたくない理由が増えてしまった。
だが、行きたい理由もひとつできた。好きな人の顔を見られるなら、かろうじて足は動く。

昨日までは現実逃避する為の時間だった。非常に濃い二日間となったが、何だかんだ良かったと思える。
あの矢代と、ようやく両想いになれた。それはこれまでの事件が吹っ飛ぶぐらい、秋の中で大きな転換点となった。

「そういやさ、二年を中心にお前のファンクラブができたんだって」
「え……ごめん、何?」

考え事を止め、小塚の話に耳を傾ける。聞き間違いでなければ、ファンクラブ……とか言ったような。

「アキを愛し隊が結成されたんだって」

やっぱり聞き間違いじゃなかった。てか気持ち悪い方に言い直しやがった。
「そっちの人間って思ったら、皆そんな風に掌返せるんだな。ある意味見習うよ」
もちろん、その逆もいる。

「今回のことで俺を避ける奴も多くなったのに」
「え? それ前からじゃん。アキは大多数の奴らから避けられてたよ」
「……」

小塚は……先生とは違う意味でけっこう傷つくことを言う。悪気はないんだろうけど、デリカシーがない。
「もうアキは学校のアイドルだな。そうそう、隣のクラスの奴でもお前と仲良くなりたいとか言ってる奴がいてさぁ。俺アキはゲイじゃないって言ったんだけど、全然信じてくれなくて……段々眠くなって、もういいやって思った」
「よくねーよ!! ていうかお前、やけに色々知ってるよな。何か隠してないか?」
詰め寄って問い質すと、彼はとても素晴らしい笑顔でブイサインをしてきた。
「だって俺、そのファンクラブに入ったから」
「何で!?」
「勘違いすんなって、俺はお前の為に入ったんだよ」




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