上 下
115 / 171
査察⑵

しおりを挟む



羞恥心のあまり気が狂いそうだ。モザイクや修整は一切ナシの、自身のヌード姿なんて。それに俺の目がおかしくなければ行為中だった……!!
彼のモノを受け入れて、快感に酔っていたような。
「ちょっと、それ渡せ!」
秋は強行に及んだが、矢代は難なくかわしてスマホをポケットに仕舞った。

あんなものを、いつでも好きな時に見られてると思ったら耐えられない。何とかしてスマホを奪い取ろうと、ソファの上で争った。
結果、矢代を押し倒して馬乗りになる体勢になったが、今度は両腕を押さえられて動けない。もどかしい状態が続き、焦りばかり募る。
「良かった、元気出たじゃないか」
「はぁ……!?」
上から全力で押してるのに、彼はそれを押し返しそうとしてくる。くそ、意外と鍛えてるな。勉強ばっかしてそうなくせに。

そういえば階段から落ちそうになった時も片手で支えられたっけ。でもそんなの、今はどうだっていい。
「本当往生際が悪いな……っ!」
「そりゃもちろん、大事な写真を消されたくないからな。これもお前がリスクを犯して買ったAVとそんな変わらない」
まさかここでそれを持ち出してこられるとは思わなくて、さらに頭に血が上る。
「うるさい! いいからよこせっ!」
「断る」
そのままどれくらいの攻防が繰り広げられたか分からないが、気付けば完全に勉強ができるような空間ではなくなっていた。

「……っもう、いい加減にしろよ…っ!」

秋は息を切らしながら呟いた。
彼と押し合ってる腕が痛いし、だんだん疲れてくる。
「こっちの台詞だよ。いい加減諦めろ」
矢代もまたやれやれといった感じで受け答えした。
腕が痺れて、少しだけ力が緩む。その一瞬の隙を彼は見逃さなかった。

「あっ!」

矢代が力任せに押したことで秋は後ろに倒れ、今度は矢代が彼に馬乗りになる。さっきと真逆の状況になった。
「ちょっと、何すんだよ! どけ!」
「うるさい。近所迷惑も考えろ」
しかし構わず秋は暴れるので、ソファは壊れそうな音を立てていた。
仕方無しに矢代は秋の両腕を押さえ付けると、彼の唇を強引に塞いだ。
「ん……っ!?」
そして、長いキスが交わされる。 
ろくな抵抗もできないまま、秋の口腔内は矢代の熱い舌で簡単にとけてしまった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話

雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。  諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。  実は翔には諒平に隠している事実があり——。 諒平(20)攻め。大学生。 翔(20) 受け。大学生。 慶介(21)翔と同じサークルの友人。

【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集

夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。 現在公開中の作品(随時更新) 『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』 異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...