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査察⑴
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しおりを挟む「終わってんなら止めろよ!!」
道理でおかしいと思った。
でも、気付かなかった俺も相当馬鹿だ。怒鳴ってから自己嫌悪で泣きそうになる。
「お前が気持ち良さそうにしてるから、少し奉仕しないと悪いかと思って」
そういう所で気を利かせられても困る。
秋は髪を乱暴に掻き毟ると、露骨に溜め息をついた。
「ありがとう。じゃあもう用済み。出てけ」
「いいのか? ここ、こんなになってるけど」
矢代は腰から手を回し、秋の熱を持った部分を握った。
「あっ!」
……バレてた。……当たり前か。
しかしそんなイキナリ触られるとは思ってなくて、バランスを崩して壁に手をついた。
「やっぱり若いな。性欲が有り余ってる」
「ちが……っ」
さっきのは、彼が上手すぎたんだと思う。男の快感を知り尽くした指だから、ああも簡単に解されたんだ。
決して自分が変態なわけじゃない。と、思いたい。
「これじゃ出した方が楽だろ?」
矢代は秋の背を壁に押し付けると、彼の反り返った性器を口に含んだ。
直接、先端から根本まで彼の口腔へと吸いつかれる。
「ひっ……あ、あぁ……!」
気持ちが良すぎる。大体、フェラがこんなに上手い男なんて居ていいんだろうか。
口から離すと、今度は舌で執拗な愛撫が始まる。
さらに、先端の尖った部分に舌を差し込まれると内腿から電流が走ったかのような刺激を覚えてしまう。
「とけちゃ……っ」
腰を揺らす秋の瞳は涙でぬれていた。
「そうだな。俺も……感じてるお前を見ると、とけちまいそうだよ」
そう言うが、矢代は全く平気そうだった。
いつもと同じ泰然とした態度。とは言え、まるきり嘘をついたようにも見えないけど。
「ほら、早く全部出しな」
一層強く彼が吸い付いた時、身体がおかしくなるのを感じた。
出る……!
一声の後、秋は矢代の口の中でイッてしまった。
「あっ……あ……は」
収まらない快感の余韻に支配される。
秋は力なく床に座り込んだ。矢代もまた、ぬれるのも構わず彼を抱き締めた。
「はぁ……」
あの性行為を忘れる為にシャワーを浴びたのに、また耐え難い上書きをしてしまった……。
浴室を出た後、秋は洗いたての制服を着込んで、一人洗面所の鏡を覗きこんだ。
ひどい顔をしている。
軽く首を横に振って、快感の余韻をうち消そうとした。
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