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考察⑴
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しおりを挟む目を逸らしたのはまだ怒っていたからだ。
けどこちらの心情なんてお構いなしに、むしろ事態は収拾がつかないほど激化していった。
「いつの時代だよ、ラブレターとか……」
帰ろうと思って下駄箱を開けたら、何通かの封筒が入っていた。内容が「キモい」とかなら、それはそれでショックを受けるけど。予想外に全て愛の告白だった。
こうもすんなり自分がゲイだと認識されてしまったことの方がショックかもしれない。
俺って男が好きそうな顔してんの?
しかも、実は男にモテる顔だったのか。これはもっと早く知りたかった。
でも目眩がする。そりゃこの学校に入ってから、何人かと付き合ったけど。
「あれ……」
何だ、この違和感。乱暴に下駄箱の扉を閉め、手をつく。
まさか……。
気付けば、全速力である場所へ向かっていた。
目的地に着くと、用のある人物は楽しそうになにか書き物をしていた。
「会長っ!」
秋は張り裂けんばかりに叫んだ。呼ばれた少年は秋の姿を確認すると、嬉しそうに手を振った。
「やっほー、風間君じゃん。昨日ぶり」
秋が来たのは生徒会室だ。幸い、今は須佐以外に生徒はいない。
「風間君から会いに来てくれるなんて嬉しいなぁ。やっぱり付き合おうって思い直した?」
「ふざけないでください」
秋は遠慮なく部屋に入り、須佐が座る机に手をついた。
「学校中で広まってる噂。あれを広めたのはあなたでしょ」
須佐はそれを聞くと、今度こそ笑顔を消した。
怖いぐらいに無表情で、持ってたペンを机に置く。
「だったら何? 事実だろ?」
彼の言葉は、予想の範疇のはずだったが……受け入れるにはあまりに痛かった。
「風間君、俺の情報網ナメないでよ。その気になれば君の今までの行動を知る位わけないんだから」
胸の辺りが痛い。
これは自分にとっては珍しい種類の痛みだ。その痛みの原因に気付いているから、尚さら苦しい。
「ここまで広めてくれたのは俺に手を貸してくれた子達がいたからだし。俺ひとりで、ってのは少し違うから」
……手を貸した。
本当に、嫌な予感は当たる。ここまで事態が大きくなったのは、秋の秘密を知ってる協力者がいるからだ。
「それって、まさか……」
「風間君と今まで付き合ったことある子が、俺に快く協力してしてくれたんだよ。おかげで簡単に伝播したわけ」
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