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盗撮⑵

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しかしそれを理解するより先に、秋は周りの視線が気になった。今店内にいる誰もが自分達に注目し、ヒソヒソと噂している。

それは仕方ないかもしれない。なんせ事情を知らない人間から見たら、売店の天使を泣かしている最低な生徒Aの図だからだ。  

って、俺も何も分からないけどね……!?

「あの、維さん? よく分かんないけど泣かないでくださいよ。お願いだから」
「うぅ……っ」

周りの視線が痛い。泣き止まない彼女には悪いが、ちょっとだけ陳列棚のかげに隠れた。
「何を謝らなきゃいけないって言ってんスか?」
離れたところから訊ねると、彼女は思い出した様に顔を上げた。

「砂川くんのことだよ。あれから風間くん、私に会いに来てくれなくなったじゃない?」

会いに来てくれなくなった。
その言葉は、彼女を目的として買い物に来ていた生徒達の顰蹙を買うには充分だった。

「オイ、聞いたか? 今の」
「まさか、あの二人……付き合って……」

まずい。誤解されてる。
これじゃ俺はますます女を泣かせてる生徒Aになってくじゃないか。
「私ね、砂川くんに全部聞いたの。それで本気で怒っちゃった……」
涼は目もとを擦り、秋を見据えた。

「だって彼、風間くんのことを身長が低いとか散々罵倒したそうじゃない。私の大事な人にそんなこと言うの、いくら可愛い友達でも許せないよ」

やめてくれ、そんな事を言うのは。
今の彼女の一言は、完全にアウトだ。周囲に殺気が満ち満ちている。いつの間にか売店には人だかりができ始めていた。
「そんなの全っ然気にしてませんから! 砂川も悪気があったわけじゃないし、大丈夫ですよ!」
むしろその後に起きた事件を思えば、俺も彼に後ろめたい点がある。しかし彼女は止まらない。
「でも、砂川くんは元々気が移ろいやすいんだよ。いくら風間くんが困ってたからって、そんな子を紹介してごめんなさい」

やっっっばい。
本当に、これ以上は───、

「維さん、ちょっと待って……っ」
「今度はもっと、相手を思いやれる優しい男の子を紹介するわ! でも彼、風間くんはフリーの男の子に興味ないって言ってたんだけど……それ本当?」

一瞬の沈黙の後。
維の質問に答えたのは秋じゃなかった。
「へぇ、何その話?」
いつだったか、小塚と三年の教室へ行った時に聞いた声。生徒会会長、須佐が秋の後ろに佇んでいた。
 




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