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盗撮⑵
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しおりを挟む「……っ」
胸に何かが刺さった気がした。細すぎて目には見えない、小さな棘。
……違う。
駄目だ、こんなんじゃ。
それぐらいのこと、今までの俺なら簡単に忘れられた。
「……矢代? どうした」
途中から反応を示さなくなった矢代に、藤間は心配そうに乗り出した。しかし何とも言えない吐き気にかられ、職員室を出た。
……あぁ。
まずいな、この感じ。胃液が上がってきたみたいな……。
矢代は再び、暗い渡り廊下で足を止めた。
とりあえず落ち着こうと、ゆっくり深呼吸する。
大丈夫だけど、たまにある。……頭がグチャグチャになるときが。
仕事中だってのに、最低だ。自己嫌悪に陥ったとき、隣から声をかけられた。
「おい矢代、大丈夫か?」
「藤間……」
藤間は矢代の顔色を覗き、具合が悪いなら早めに帰るよう諭した。
無視したのに、……わざわざ追いかけて来てくれたことも含め、本当に良い奴だ。
……嫉妬しそうなぐらい。
「なぁ、藤間。俺、教師向いてないんだ」
「は? おい、辞めるなよ。お前が辞めたら一番に俺が仕事振り分けられる」
「今日日そういう発言はパワハラだぞ」
「ハッ、言ってろ。教師に向いてる奴なんか存在しないよ。そんな奴いたらお目にかかりたいね」
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