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盗撮⑴
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しおりを挟む盗撮をやめる。
ずっと待ち望んでいた言葉だ。それなのに、今は他のことで頭がいっぱいで素直に喜べない。
「やっぱり、先生は何考えてんのか分かんない」
彼の発想は常に斜め上を行ってて、斬新だ。でも見習いたくはない。
「欲しいものを手に入れる為には何かしら捨てなきゃいけないんだ」
「なっ……欲しい“もの”って」
人を何だと思ってんだ、と抗議しようとしたが、寸前で唇を塞がれた。考えてみたら、もうとっくに彼のペースに巻き込まれている。抗えるはずがなかった。
「先生っ、待って……」
「待たない」
「待てって……あっ」
矢代はずっと触れなかった秋の熱に手を出した。深く濃厚なキスを交わす傍ら、後ろをほぐす為に愛撫を続ける。
この強引さが好きなんて……俺も頭おかしいな。
「ふ……っ……ぁ……あ……っ」
でも、もう少し心の準備をさせてくれたらいいのに。
怖いのはいつまでも変わらない。
普通に恥ずかしいし、緊張もするし、慣れたりなんかしないんだ。
矢代は肩をこわばらせる秋を眺め、苦笑する。
「がちがちだな。リラックスしろ」
リラックス……できるわけないんだけど、彼は気休め程度にそう言ってくれた。
「痛かったらもっとゆっくりやるから、ちゃんと言えよ」
「う、うん」
念を押して言われると調子が狂う。
秋は首を傾げながらも、従順に動いた。充分に後ろをほぐされてから、彼のものを受け入れるため脚を開く。こんなにスムーズに進んでいくのが未だに信じられないけど。
嬉しい部分も、確かにある。
「入れるぞ」
矢代は少しだけ額に汗を浮かべながら、ゆっくりと体重をかけた。
「あっ……!!」
全身を貫くような衝撃を受けた。彼が入ってくる。いつも同じで言葉にできない。
「っ……ぁ……」
「痛いか?」
思わず頷きそうになったけど、ギリギリのところで首を横に振る。
「大丈夫、だから……続けて」
秋が声を振り絞って言うと、矢代は一瞬苦しそうに顔を歪めたが、
「……わかった」
再び秋の身体を抱き寄せて動き始める。
何度も擦られて、ようやく慣れてくる感覚に秋は喉を鳴らした。
矢代はというと、少し懐かしそうに話し始める。
「やっと……ベッドでできたな。今思うと、随分きびしい状況でヤッてたよな」
自嘲してるように見える。矢代は、秋を強く抱き締めた。
「今までのこと全部、壊す前に……最初に戻ろう」
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