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洞察⑶

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秋は何とか矢代から逃れようともがいたが、抵抗は意味を成さない。

『図星だな、その反応は。ほんとに困った奴』

矢代は予告もなしに秋の唇を奪った。空いた手は、彼の下半身をまさぐりながら。
『……ん……!』
しかもディープキスだ。チャックが開く音が聞こえて鳥肌が立った。
『秋、声抑えとけよ。……見つかりたくないのなら』
矢代はそれだけ近距離で言うと、秋のモノに手をかけた。

『ぁ……っ……!』

そこは既に熱を持っていた。優しい手つきで弄られると、頭が正常に働かなくなる。全身の力が抜けて、大人しく矢代に抱き込まれた。
こうなると、もういつも通り。
『や……っ』
矢代は長い指を秋の口に入れる。
その指が柔らかい舌をなぞった。
自分達の間だけ、ピチャピチャといやらしい水の音が行き来する。
もう完全に、カーテンの向こうは別の世界の様に区切られた感覚だった。
『前にきついお仕置きしたにも関わらず、また他人に欲情したな?』
『待っ、ちが、待って……っ』
彼が言うように、やはり秋は彼らの行為を見て気が高まっていた。
性器を弄る矢代の手は、先ほどよりも激しくなっていく。音も段々大きく聞こえて怖くなった。

もし、彼らに聞こえてしまったら?
そればかりで、矢代の話が頭に入らない。
『犬と一緒だな。一度覚えた美味いものを忘れないのは』
矢代は秋のネクタイを解き、シャツを少しずつ開いていった。そして露になった胸に口付けしていく。くすぐったさと、そんな場所を弄られてる羞恥心が脳内を支配する。
理性の糸は限界まで切れかかっていた。

「ん……あっ……はぁ……!」

また、カーテンの先でたどたどしく途切れる声。
音も段々と激しくなっているから、こっちの出す音なんてまるで聞こえてないようだ。
それは大助かりだけど、腑に落ちない。
矢代に好き放題されてることだろうか?
いや、違う。信じたくないけど、もしかしたら……。

『射精してないのに、もう先がヌルヌルだ。そんなに気持ちいいか?』

矢代の声は優しい。
それに縋りたくなりそうな程の……快感が。
『……足りない』
刺激が欲しい。
こんな程度の刺激じゃ、もう自分の身体は満足できなくなってしまっているんだ。





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