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洞察⑵
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しおりを挟む「さっきのリレーを見てたんだ。めちゃくちゃ脚速かったね。なのに帰宅部なんだって? 勿体無いなー、今からでも入っちゃえば?」
「いや、俺飽き性なんで……」
腕を引かれてドキッとする。さりげなく逃れようとしたが、彼は逃げられないギリギリの力で抑えてきた。
「そーなの? そりゃ残念。……それにしても、君かなりイケメンだよね。彼女いる?」
「は、はい……!?」
薮から棒な質問に困惑する。一体何が知りたいんだろう。
「いませんけど」
「マジ? でもモテるでしょ。もし俺が女だったらほっとけないもん」
彼がそう言った途端、心なしか苅谷の目つきが変わった気がした。
やばい。
小塚は知らないだろうけど、自分は知っている。この二人が恋人同士だということを。
だから正直恐ろしくてたまらない。
何故、須佐は苅谷の気を荒らす様な真似をしてくるのか。矢代も言ってた通り、本当に浮気症なんだろうか。でも本人の前で、こんな……。隠す気もないとしたら、だいぶいかれてる。
「あ、なんなら生徒会興味ない? 内申にプラスされるよ? ……なんちゃって、こんなこと言っちゃいけないんだけどね」
「幸裕! もういいだろ。二人ともこの後用事あるみたいだから……放してやれよ」
須佐を諫める苅谷の声には、確実に怒気が含まれていた。少しだけ、辺りが静かになる。
「悪かったよ、怒んなって。風間君も、ごめんな? あんまりカッコいいから、テンション上がっちゃったんだ」
「はぁ……大丈夫です」
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「じゃ、もう行きな」
「あ、ハイ。ありがとうございました! 須佐さんも失礼します!」
小塚もこの空気をおかしいと思ってるはずだが、だからといってその理由までは分からない。すぐにいつもの調子で人差し指を立てた。
「行こーぜアキ。カラオケ行ったら俺の美声聞かせてやるから」
「わかったわかった」
小塚の後に続いて、秋も一礼だけして彼らから離れた。一応後ろを振り返ると、また彼らは口論していた。
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