シャッターを切るときは

七賀ごふん

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観察⑴

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ここは学校だ。それも屋外で、体育館の出入口近くで、間違っても安全な場所じゃない。むしろこれ以上危険な場所はないだろう。

「あっ……!」

それでも秋は甲高い声で喘いだ。
極限まで熱を帯びた彼の性器を、矢代に甘噛みされたせいだ。彼は絶妙な舌使いで翻弄してくる。
先端に歯を立てられた時、思わず仰け反ってしまった。熟れた性器はひとりでに跳ねる。
正直、もうイキたい。もっと、もっと強くしてほしい。
でも彼がそれを許してくれるかどうか……。
秋は矢代の顔を涙目で確認した。
「イキたいのか?」
矢代はまた、そんな秋の心中を察して問いかける。

「イキたい……」

それを口にするのは勇気がいる事だったが、欲求には勝てなかった。
「わかった」
矢代は根本から吸い付いて、性器を刺激する。 
「あぁっ!」
初めて訪れる凄まじい快感に、秋は為す術なく絶頂を迎えた。


「こら、だらしないぞ」


それから数分が経った。
倦怠感のあまり身体を放り出してしまっている。下半身を晒したまま地面に仰向けになる秋に、矢代は呆れたように袖を引いた。
「だって疲れたんだよ……気持ち良かったけど」
動こうとしない秋に、やれやれという感じで矢代はキスを落とした。

「やっぱ、先生ゲイなんだ」
「まぁな」

ふうん……。
横になったまま、夜空を見上げる。
吸い込まれそうな巨大な闇。でも煌々と輝く一等星が綺麗だ。
こんな時間まで学校にいたことがないから知らなかった。辺りは更地になってるし、光害がないから特に綺麗に見えるんだろう。
「……先生は誰かを好きになったことある?」
「当たり前だろ、お前よりずっと生きてるんだから」
「今は、好きな人いるの?」
秋は矢代を見上げた。
「……」
そんな秋に覆い被さるように、矢代は顔を近付けた。
さっきの秋の質問には答えずに。

「……とりあえず新しいカップルを見つけたんだから、これからも頑張れよ」
「えっ、でも証拠がないからノーカウントじゃ」
「信じるよ」

そこまで悪魔じゃなかったのか。やっぱり、本当のところはよく分からない。
そのノリでこの課題自体取り下げてくれたらもっと嬉しいんだけど、それは却下されそうだ。多分、そこまでは優しくない。でも……今は何も考えたくないから、いいか。

冷たい空気を吸い込んだ。五月とはいえ、夜はまだ少し冷える。
今年中に後どれだけカップルを見つけられるのか。微妙だけど、やるだけやってみよう。

このヤバ過ぎる教師と出逢って、平凡な毎日が音を立てて崩れた気がした。




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