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明日の景色
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しおりを挟むきっと想像もつかないようなことが、これからも待ち受けている。
理不尽なこともたくさんあるけど、弱音を吐きたくなったら今までのことを思い出そう。楽しかったことも悲しかったことも、それを越えて生きてきたんだから……きっと自信に繋がって、勇気が出る。
「はー、嫌だけどもうお開きか。崔本も気をつけて帰れよ」
「うん。じゃ、みんな元気でね」
クラスの打ち上げを終え、カラオケを出た。名残惜しくはあるものの、真っ暗な空は一日の終わりを告げるようでソワソワする。
と同時にワクワクする。スマホで時間を確認して、ため息を飲み込んだ。
もう少し、もう少し……。
友人達と別れた後、不安を振り切るように軽く走った。
忘れたいことがある。忘れたくないことがある。
人生恥ずかしいことばっかりで、全ての人の頭から自分の記憶を消し去りたいときもある。
でも、忘れてほしくない。いつだって矛盾した願望に振り回されている。
初めて舞台に立った時から俺は変わらない。多分、それほど成長もしてない。流されるままに生きてきた────そんな日々をもう終わりにしよう。
駅ビルを突っ切って、人気のない広場まで駆けた。
「継美さん!」
今、誰よりも会いたい人。
その姿を見つけた瞬間いてもたってもいられず、抱き着いてしまった。
参ったな。こんな風に甘えるつもりはなかったんだけど……嬉しさで勢いあまってしまった。
案の定、彼はかなり驚いている。
「ははっ、嬉しいけどどうした? とうとう人目を気にしなくなったか」
「いやいや、ごめん。今だけ」
まだ高校の制服を着てるし、誰かに見られたら大変だ。咳払いし、慌てて彼から離れた。
でも、嬉しい。本当は卒業なんてしたくないけと、この日をずっと待っていたのも事実だ。
クラスの打ち上げが終わった後、継美さんと会う約束をしていた。だからかもしれない。打ち上げはすごく楽しかったけど、盛り上がってる最中も彼のことを考えてしまっていた。
やっぱり、いつでも会いたい。恋人って本当に不思議な存在だ。
四方をライトアップされた広間の中心で、二人は手を繋いだ。
「とりあえず。卒業おめでとう、一架」
「ありがとう。すごく嬉しい」
「なんだ、そんなに早く卒業したかったのか?」
歩き始めて、継美さんは首を傾げなから尋ねる。俺は首を横に振って答えた。
「そうじゃないよ。でも、これで俺達は教師と生徒じゃなくなる。……やっと恋人同士になれるから」
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