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先に奪ったのは
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しおりを挟むそれから一週間が経った。嫌がらせはしばし落ち着き、また以前の生活に戻りかけていた。
……が、今度は返ってきたテストの結果にため息が止まらなかった。煙草騒動のせいで期待薄だったとはいえ、全教科トータルで学年三位。継美さんに一位をとると宣言したことを死ぬほど後悔してる。
「一架、そーんな落ち込むなって。中間は準備運動みたいなもんだろ? 次の期末テストで巻き返せばいいじゃんか!」
学校の廊下で、柊は精一杯励ましてくれた。彼の気遣いは素直に心に響く。嬉しいし、弱気になってるせいか涙腺が緩みそうになる。
「そうだな。サンキュー、柊。次頑張るよ」
でも約束を守れなかったから、継美さんに頼んだ“ご褒美”はお預けだな。それだけがやっぱり悲しい。
「へぇ~、一架先輩成績ガタ落ちしたんですか?」
そして沈んだ心を逆撫でする、喜びに満ち満ちた幼い声。何とか真顔は保ったつもりだけど、多少睨みをきかしてしまったかもしれない。
「先輩のことだからどうせ慢心が過ぎたんだろうけど、柊先輩の言うとおり次がありますからね。今日の挫折が明日の糧になって先輩に微笑みかけるよ。多分」
「柚、お前オモテ出ろ」
柊の隣でにこやかに笑っている、いつもと変わらない柚。これにはかなり腹が立って、思いきり引っぱたいてやりたくなった。
でもそこはフォロー役の柊が笑って制する。
「まぁまぁ、喧嘩は駄目だぞ。一架が今回全力を出せなかったのは嫌がらせの件もあるからな。しょうがない」
「嫌がらせ? って、何です?」
何も知らない柚は柊の言葉に反応し、不思議そうに聞き返した。
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