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虚勢と
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しおりを挟む同時刻。教室で立ち尽くす継美を、廊下側から眺める生徒がいた。
「ふーん……」
なるほど。先輩の好きな人わかっちゃった。
肩を竦め、小柄な体躯をさらに縮めたのは柚だ。
彼は足音を殺して教室から離れると、今度は廊下側の窓を覗き込んだ。
校門を見渡すにはちょうどいい位置にいる。……何となく見つめていると、門の傍に停めてある車と、そこに立っている人物に息を飲んだ。
「あの人……」
────何でここに?
気になったが、あまり“彼”と会いたくない。
今はそこで放心している梼原先生の方が気になるし、とりあえず放っておこう。
柚はポケットに手を入れ、その場から静かに立ち去った。
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