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災難
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しおりを挟むまるで子どもをあやすように優しく頭を撫でられる。
「俺もやり過ぎた。自分でも、何でここまでしたのか分からないぐらいだ。とか言ったらムカつくよな?」
「……」
思わず頷きそうになったが、顔を逸らして何とか誤魔化した。彼曰く、久しぶりに会えたことが嬉しくて悪戯に歯止めがきかなくなったとのこと。
いやいや、普通に犯罪レベルだ。押さえ込んでた感情が爆発して、思いのままぶちまけた。
「俺の気持ちは継美さんには絶対分かんないよ! 例えで言うなら、女子のスカートめくりに徹していたのに突然ズボンを下ろされて倍返しの屈辱を受けた小学生のような気分だ!」
「なるほど、分からないこともない……。それはそれとして、お前、まだ誰かを視姦したいと思う?」
継美は前屈みになり、目の前で両手を組む。
それまで部屋から出て行こうとしていた一架だったが、再び横になって布団を頭まで被った。
「知らん! 今はもう、何も考えられない」
「そ、っか」
苦笑まじりの短い返答。継美は時計を確認し、徐に立ち上がった。
「十七時半か。一架、家の人に迎えに……は来てもらえないか」
「一人で帰れるよ。どっちにしろ今日は家に誰もいないし」
父は出張先だし、響子さんも今日は来てもらう日じゃない。
「そうか、困ったな。お前さっきより身体熱いし、確実に熱上がってきてるぞ」
布団を捲られ、首元に彼の大きな手があたる。
それが冷たくて気持ちよかった。触られることにもだいぶ慣れたのか、抵抗や嫌悪感がなくなってきている。
でも、それに気付いてまた戸惑ってる。
「よし。じゃあ俺が送ってやる」
加えて予想外の一撃。一架は飛び起き、さらに挙動不審になった。
「いいよ、元気だし一人で帰れる!」
「あぁ、分かったから早く支度しろ」
「分かってないじゃん! 大丈夫だよ、そこまでしなくていい!」
パニックで口が上手く回らないけど、今はもう離れたくて必死だった。
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