Dress Circle

七賀ごふん

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災難

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彼の口元は笑ってる。けど確実に目は笑ってない。怒らせた……らしい。
「い、いやいや。親切心で言ってるんだよ」
「ふうん。そりゃ余計タチが悪い」
声のトーンから察するに、さらなる怒りを買ってしまったようだ。ひりひりした痛みが肌に伝い、遅れて動揺と恐怖心が生まれる。
どうする。一応教師だし、謝っとくか。この先も職権乱用されたら困るし。
「すっ……すいません、何か気に障ること言ってしまったみたいで。……何でもしますんで、許して下さい」
人生史上最も深く頭を下げ、取り繕った声で謝った。
「わっ!?」
しかしその台詞は何の意味もなく、腕を掴まれて奥に引き摺り込まれる。

「ちょっと! 何すんですか!?」
「何でもするんだろ? 心にもない謝罪をするより行動で示してほしいな」

さっきの数倍は鬼畜と化してる継美を前に、ただただ唖然とするしかなかった。

────俺はこの顔を知ってる。

自分が相手より優位に立った時。人を虐めるのが嬉しくてたまらない顔だ。
「まずその口のきき方。それから、下」
「うあっ!」
強く押し倒され、バランスを崩し床に尻もちをつく。
そして告げられたのは、耳を疑う言葉だった。
「脱げ」
「は……はい!?」
いやいや。それは笑えないぞ。 
「はは、またまた。冗談……ですよね? 先生?」
「冗談? ……お前どんだけ俺を怒らせたか分かってないだろ」
継美は薄く微笑むと、一架の目の前にしゃがんみ、片膝に頬杖をついた。
まるで品定めされてるようで居心地が悪い。一架は密かに歯噛みする。
「他人に触られるのは嫌いでも、自分は大丈夫だよな? じゃあここでオナ二ーしろ」
「はあ!? できるわけな……痛っ!」
抗議した途端腕を捻られる。痛みに気をとられてると、慣れた手つきでベルトを外され、下着ごとズボンを下ろされてしまった。
「やっやだ……! 離せよ!」
そんなことをされたら、大事な部分も彼には丸見えだ。
「わかってる。触らないでやるから、とっとと始めろ」
手は離されたが、上から命令されて腸が煮えくり返る。色々信じられない、有り得ない。何だこいつ。

「七年前はさんざん俺のセックスを見せてやっただろ? だから今度はお前が俺の要望に応える番だ」
「……っ!!」

だが悲しいことに、それを言われると返す言葉がない。
何で初めて見たセックスが彼だったのか。
何で、彼に見せてほしいと頼んだのか。
後悔しても仕方ないけど、過去の自分が許せない。
「く……っ」
これは、そんな自分への罰だ。
そう言い聞かせて、ズボンの中の柔らかい場所に手を伸ばした。



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