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◇誕生日
#3
しおりを挟むただ、今日は少し違う。
午前中に家事を全て済ませ、成哉も家を出た。
今日はどうしても、いつもとは違う場所で食材の調達をしなければならない。
成哉はカートを押しながら、棚に陳列する食品と睨めっこしていた。
朝はあえて口にしなかったけど……今日は准さんの誕生日!!
今日で彼はめでたく二十八歳。自分より一回り上の大人ということで、また距離が遠のいてしまった気がする。
でも誕生日自体は素直に祝いたい。何より、大切な人の喜ぶ顔が見たい。そう思って夕食の買い出しに来ていた。高級レストランを予約するのも良いと思ったけど、彼は行き慣れてる気がする。
ここはゆっくり家で寛いでもらうことにしよう!
メインの肉や野菜をカゴに入れて、次に果物を入れる。実は、今回ケーキは自分で作ろうと考えている。
ところが、ここで思わぬ壁にぶち当たった。
准さんってチョコとデコレーション、どっちが好きなんだ……?
知らない。というか考えたこともない。
彼はたまに甘いものを食べるけど、そういえばケーキを食べてるところは見たことなかった。
生クリームが苦手な男は多い。ここはチョコの方が無難だろうか。
サプライズにしたいから、メールで訊くのは憚られる。
うーん……。
迷いに迷った末、成哉は板チョコレートを数枚カゴに入れた。
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