ファナティック・フレンド

七賀ごふん

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これからも

#1

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二週間後、快晴。
准と成哉は二時間のフライトを終え、目的の空港に降り立った。近くで予約していたレンタカーを借り、涼の運転で走り出す。

「准さん。不動産屋と約束してる午後まで時間あるから、俺の知ってるところに案内しますよ」
「おぉ、マジで? そりゃ楽しみだな」
「ふふ、楽しみにしててください! 俺も超久しぶりだから道覚えてるかどうか不安だけど!」
「不安だ……」

相変わらずのペースで、とりあえず道のりは彼に任せた。それにしても暑い。冬だというのに、車内は熱気が篭っているようだ。
「暑いな」
「確かに。冷房入れます?」
「んー……」
前が赤信号の為、成哉はブレーキを踏んだ。その一瞬の隙に、身を乗り出して彼の頬にキスする。
「じ、准さんっ!」
「うん?」
「また、暑くなりましたよ……」
「そうだな」
准の淡白な返答に成哉はため息をつく。そして「前ぐらいシャイでも良かったのに」等と文句を言った。
散々振り回された彼を、今は自分が振り回している。大人げないけど楽しい。
准は笑いを堪えながら、青く澄み渡った空を見上げた。

時間の許す限り、二人で色々回った。活気のある街中も回ったし、彼がおすすめする観光地にも足を運んだ。

やがて不動産屋と約束していた時間になり、希望条件に沿った物件をいくつか回った。決めたのは、最後に回ったマンションの一室。
内見時にその部屋から見えた景色が、成哉は大層気に入ったようだ。職場から近く、買い物も不自由ない。些か即決な気はしたものの、准も賛同して入居の申し込みをしてきた。
その他の手続きを終え、二人は街を一望できる高台に登った。気づけば、もう日は傾き始めている。
 
「風が気持ちいいなー!」

准は大きく背伸びをし、遠くの景色を見据えた。オレンジ色に染まる景色が、忘れかけてた休息を思い出させる。
今日はこれからホテルに向かって一泊し、明日また東京に戻る予定だ。
「たまにはこういう、何もしない時間もいいよな」
「骨休めは大事ですね。まぁ俺は休むことも仕事だと思ってるんで、そんなに有り難みは感じないんですけど!」
「お前はほんとダメな大人だよ」
「ありがとうございます。ところで准さん、ご両親にはいつか話すんですか? ……俺達のこと」
成哉は踵を鳴らし、隣に佇む准の顔を覗いた。

「あぁ。でももしかしたら、俺が話すより先に……あいつが話すかもしれないな」





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