ファナティック・フレンド

七賀ごふん

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10+10=青年

#1

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生まれて二十年が経った。

思い返すと色々あったけど、はっきり思い出せることは片手で数えられるぐらい。それでも何とか大人になり、今日まで生きてこられた。

人に話したら絶対笑われるけど、大人になることが夢だった。
自立したい。自由と責任を手に入れる事ができる歳を待ち侘びていた。二十歳は、きっと最高の歳。

これからは誰の助けも借りず、誰にも迷惑をかけず、自分の思うままに生きていきたい。解放されたい。
一人の人間として、誰にも利用されない、誰にも頭を下げない。

……そうだ。

一個の人間でありたい。

そんな詩集を、ずっと昔に読んだ。

きっとあの時の詩が頭にこびり付いているんだ。
何に縛られてるかも分からないくせに、解放されたいと願ってる。目には見えないなにかから。

子どもはやたら過敏に考える生き物だ。大して深くないものを深く考察する。ありもしないものを具現化して、自分の好きなように解釈する。
誰もが等しく、思考という鎖に縛られてる。
考えることはやめられない。けど、間違いなくこれからは自由な人生。新たなスタート地点となる。……はずだった。

皮肉にも俺の人生は二十歳になった今も狂い続けている。予定が狂ったのは、彼が狂ったから。

楽しい時に敵はいなくて、苦しい時に味方はいない。二十年も生きて身に染みたのは、こんな不可思議な考えだけ。

何を言われても傷つかない心を持つ。過酷な運動にも耐えられる身体を持つ。それが結果として生きるということ。働くということに繋がる。

結局、強くなきゃ生けていけないじゃないか。
そう思う俺に、両親はよくこんなことを言っていた。

完璧を目指して生きる必要なんてない。何度裏切られても清純な心を持って、人を信じなさい。それが大切なんだ、と。





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