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嘘吐き
#1
しおりを挟む────目の前が霞んでしまうぐらい昔のこと。
「准は将来の夢とかないの?」
「えっ?」
新緑に染まる公園で頑張ってブランコを漕いでいたら、隣から声を掛けられた。
創だ。近くの小学校に通う、ひとつ歳下の従兄弟。
そう家が離れてない俺達は、夏休みになると毎日のように会って遊んでいた。
「夢ー? もちろんあるよ。宝くじ当てて、一生遊んで暮らすこと」
「何それ。夢がないなぁ」
「何言ってんだよ、夢なんだから良いだろ。家にいたら好き勝手できないし、早く大人になって自由に暮らしたいよなぁ~」
くだらない事ばっか話してた。毎回、大体同じような話だ。
「もし俺が宝くじ当たったら家を買うね。それでさ、創も一緒に住もうよ」
「えっ? あー……家かぁ……」
目を丸くして驚いてる創に、思いつくままの“夢”を語った。
「ほら、同じ家に住めばわざわざ会いに行かなくていいし、何つっても毎日遊べるだろ。俺はお前と毎日遊んでたい」
単純で楽天的で、極度のめんどくさがり屋。
俺は子どもの頃から適当の極みだった。
そんな俺とは正反対の、しっかり者の従弟。
「うん。……俺も……」
創は、当時周りの友人より大人びた子だった。
「准となら、ずっと一緒にいたい。同じ家に住めたら絶対、絶対……楽しいよ」
「だろっ? 決まりだな! 俺らは大人になってもずっと一緒だ」
不確かな約束をいくつ交わしただろう。
覚えてないけど……こうやって彼と笑っていられたら、それだけで充分だった。
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