ファナティック・フレンド

七賀ごふん

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迷路の手前

#4

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「まだいないなら、准君にはきっと、ふわふわした可愛い子が似合うと思うなぁ」
「はいはい。俺の話はいいだろ?」
というか、そもそも人に聞かせられる話なんてないんだ。年齢=恋人いない歴の俺に。

「准君は美味しいご飯とか作ってくれる家庭的な子がいいよ。ねぇ、誰か知り合いに心当たりないの? 創君も!」
「ないって」

創と二人でため息をつく。しかし涼の存在が脳裏にチラつくのは……俺も末期なのかもしれない。玲那は含み笑いを浮かべて俺の反応を楽しんでるけど、妙な胸騒ぎを覚えた。
今日はやたら俺の知り合いに詮索してくるな。女なんだから、別に俺の彼女の事なんかどうでもいいだろうに。
「玲那、その辺にしときな。俺は准が話そうと思ってくれた時でいいよ。そん時まで気長に待ってるから」
「創……サンキュー」
本当にありがたい。唯一、俺が異性に興味無いことを知ってる創は助け舟を出してくれた。こういうときは本当に困ってしまう。……気になってる人は今このテーブルにいるわけだし。
そう思った直後、気になる人、加東さんが両手を叩いて問い掛けてきた。

「あ! でも、この前会った准君の友達の女の子は? 何とも思ってないの?」
「えっ」

加東は思い出したようにグラスを揺らした。
「ほら、あの長い髪の可愛い子。准君と仲良しだったみたいじゃない」
この前会った女の子。って。

涼のことか……!?
合点がいって、必死に首を横に振った。
「いやいや、まさか! あの子は違います。そうそう、彼氏いるし!」
「あれ、そうなの? すごいお似合いだと思ったんだけど」
彼は驚きつつも納得してくれたが、何の事か分からない創は不思議そうに加東に問い掛ける。

「この前って、なにかあったんですか?」
「うん、この前二人で飲んでたんだけどね。途中ですごい可愛い、准君の友達の子に偶然会ってさ」
「……へぇ。二人で」

創は行儀悪く、テーブルに頬杖をついた。
プライベートとはいえ、目上の人がいる席で……変だ。いつもはそんな事をする奴じゃないのに。
気付けば、玲那も訝しげに眉を下げている。そして右手の席に座る加東に問いかけた。

「そういえば、もともと今日も准君と二人で約束してたんですよね。すいません、急に無理を言ってしまって」
「ううん、良いんだよ。人数が多い方が楽しいからね」




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