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迷路の手前
#2
しおりを挟む准にとっては素直に微笑ましく、また羨ましくもある二人だ。ところが何故か鋭い視線を突きつけられて固まった。
あれ。何かまずい事言ったか……?
別に間違ってはいないはず。
創と霧山は三週間前に婚約した仲だ。
それもあって、准は親戚と一緒に実家で彼女と会っている。親同士の繋がり故、元々旧知の仲だ。
霧山玲那は准の二つ歳下。創より一つ歳下だ。准にとって彼女は妹のような可愛い存在だったが、創とはまた特別仲が良かったことを知っている。だから二人から婚約の話を聴いた時も、さほど驚きはせず笑って祝福した。
しかし、今の空気はとても張り詰めている。
何だ……破談は有り得ないし、喧嘩でもしたのか?
ドキドキしながら思考を働かせいると、玲那はパッと笑顔になって高らかに提案してきた。
「……そうだ! ねぇ、久しぶりに三人で飲みに行かない?」
「あぁ、それはいいね。准は? 今夜大丈夫?」
いつも通りの空気にホッとする反面、准は首を傾げる。
ん、今日!?
「ごめん、俺営業の加東さんと会う約束してるんだ」
准が慌てて謝ると、隣にいた創は眉を顰めてすぐに口を開いた。
「それって仕事の話?」
「あー、それは分かんない……」
「もし違うなら加東さんもお誘いして、四人で飲もうよ。どう?」
創の言葉に、玲那も目を輝かせて頷いた。
「そうしよう! 久しぶりに加東さんともお話したいな! 准くん、私達もご一緒していいか加東さんに訊いてもらえるかな……突然だし、無理そうなら大丈夫から」
「あ……う、うん」
マジか。
思わず頷いてしまったものの、二人の圧がすごい。何がなんでも一緒に会うぞ、というオーラが出ている。
加東さんには悪いけど、今夜は色々と賑やかな時間になりそうな気がした。
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