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シンプル

#2

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夜の公衆トイレでとんでもない事をしようとしている。他に利用者はいないが、秋は声を潜めた。

「ほんとに嫌なら最初っからこんな提案してないけどなー。お前が喋んなきゃ永久誰にもバレないわけだし?」

秋は悪戯を仕掛ける子どものように、あどけない笑みを浮かべた。小さいボトルからローションを出し、俺にもゴムを一つ手渡した。
「やり方を教えるよ。見てるから自分でやんな。そうすりゃちょっとは罪悪感減るだろ」
あくまで教わっただけ、と言い訳できる。そう言って秋は笑った。
「秋……ありがと」
やっぱり優しい。だからこそ甘えてしまってるんだけど……せめてここからは、腹を決めよう。
指にゴムをつけると、秋はそこにローションを垂らした。
「初めての時は薬使った方が良いけど、今はさすがに持ってないからな。それでちょっとずつ触ってみ。力は入れるなよ」
「う、うん」
たっぷりぬれた指を、後ろの穴に当てる。たったそれだけのことに喉が鳴った。怖いけど最初は触るだけでいいと言われたので、その通りにする。
後ろがぬるぬるして、まるでそそうしたよう。変な気分に駆られて思わず思い出してしまった。昨日、和巳さんに風呂場で泡を擦りつけられたことを。

和巳さん、の……。
昨日の彼が脳裏を過ぎると、少しだけ内腿に電気が走った。怖くて這うだけだった指にも力が入る。

「ん……っ」
「…………」

あの時の手つき、力加減……触られる快感を思い出したとき、自然と全身の力が抜けていく。
「あっ!」
わずかだけど、指先が中に入る。壁に片手をついて、少し動かした。
恥ずかしい。こんな所を親友に見せつけてるなんて、本来なら自殺もんだ。
なのに止まらない。止まれない興奮に乗っかってしまった。今もローションのせいで、いやらしい水音が辺りに響く。

「あ、秋……んっ!」

名前を呼んだ瞬間、口を手で塞がれた。彼は若干慌てた様子で囁く。
「声出すなって。あと、どうせならこっちも弄れば? ……感じてるよ」
「っ!」
ゴムをつけた手で性器を触られた。でも、さすがにやばすぎだ。
後ろを弄ってるところを見せた上に、今度は前を自慰するとこまで見せつけるなんて。それは最低すぎる。自己嫌悪で発狂しそうだ。
「秋、ごめん……確かに、ちょっとやばい……から、外に出て……っ」
そこまで見苦しい姿を見せたら本当にドン引きされる。いや、もちろん今の時点で相当やばいけど。




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