33 / 156
新生活
#9
しおりを挟むあれは父の親戚の集まりだ。来るのは会社の人間が圧倒的に多い。けど、誰を思い浮かべてもいまいちピンとこなかった。
「思い出せないんじゃしょうがないね。それが分かれば、好きで泥酔したんじゃないって言い訳できるのに」
「あはは……ほんとですね。何でなんだろ」
食事を終えて、時計を見るともう二十時だった。
「和巳さん、お風呂どうぞ。今日買ったボディタオルも、もうお風呂場に用意してます」
「ありがとう!」
和巳さんは弄っていたノートパソコンを閉じると、俺の方に来て少し屈んだ。
「じゃっ、一緒に入ろうか」
「はいっ!?」
予想外の提案をされて、声が上擦る。一緒に風呂。えーと、それはつまり。
「……わ、わかりました。全力でお背中流します!」
「サンキュー!」
果たしてそれで合ってたのか分からないけど、二人で浴室に入った。当然、全裸だ。
一言で言って、舐めてた。意識しないよう努めても、彼の胸や腰や目に入る。いかんいかん、今は彼の身体を洗うんだから!
男二人じゃ狭い浴室で頭を洗う。そしていよいよ身体を洗うときがきた。和巳さんの生肢体……とか考えてる俺、もうガチの変態だな。
「背中洗いますね」
「ありがとう。何かもう、おんぶにだっこで申し訳ないなぁ」
「いえいえ、いいんです。和巳さんのお世話をすることが、俺の幸せなんで!」
「……」
タオルをめいっぱい泡立てて洗った後、シャワーで流した。今度は自分の身体を洗おうとタオルを手に取る。しかし突然椅子に座らされた。
「和巳さん?」
「鈴、次は俺が洗ってあげるよ。じっとしててね」
彼はタオルと自分の手にボディシャンプーをとり、たくさん泡立てる。そして、俺の身体を丁寧に洗い始めた。
「すっごいぬるぬるだね?」
「……っ!」
何か、尋常じゃなく恥ずかしい。俺は和巳さんの背中を洗うだけだったのに、彼は俺の腕や脚、それから胸まで洗っている。
「う……」
胸の突起を摘まれて、びくっとする。普段自分で洗う時は意識しないのに。そういえば、漫画やゲイビではよく乳首も弄るっけ。でも、実際に感じるとはとても思えないけど……。
「鈴のここ、さっきまでぷにぷにしてたのに、今は尖ってる」
「あっ!」
カリッと爪で引っ掻かれて、身体が震えた。痛いだけじゃない。変な気分になる。
「……それじゃ、こっちも洗おうか」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
25
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる