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剥がれる
#3
しおりを挟む「同じクラス?」
それには、少し違和感を感じた。一組から四組まで、生贄にされた四人の生徒。彼らと丹波は、去年全員同じクラスだったらしい。……偶然。
「今年になってクラスがバラバラになったけど、もう三年だし進路を考えなきゃいけないから、これからは真面目になろうって皆で約束してたんだ。なのに、こんなのってないだろ……」
「お前らの決意は知らないけど。どんな理由があろうと相手を痛めつけていいわけない。分かってるか? 芦苅に暴力を振るったことを学校に言えば、進路どころじゃないぞ」
炭野は冷たい目で丹波を見下ろした。それに気圧され、彼は視線を下に落とす。
丹波のことを抜きにしても、何だか釈然としない。
彼と生贄になった生徒は去年同じクラス。そして今年になって、五クラスに一人ずつ振り分けられた。
一組から順々に犯していくゲーム。見せしめのように、じわじわと追い詰めていく。「次はお前だ」と言うように、周りに知らせて。
誰彼構わず生贄を選んでいるようには思えなかった。間違いなくこのゲームはターゲットを初めから決めていて、予定通りに進んでいる。どこかの狂った人間が描いたシナリオ通りに。……五組に残る人間がラスボスだとでも言うように。
「国崎、もういい。お前は先に帰れ」
「えっ」
色々考えていた矢先、炭野は突然そう言い捨てた。
「こいつは駄目だ、俺達が職員室に連れていく。芦苅を見せて病院に行かせれば証拠は充分だから」
「で、でも……なづなはまだ嫌がってるぞ。むしろ早く丹波を帰してやりたい、って感じだし」
「そんなの無理に決まってるだろうが。ほっといたらこいつ、また馬鹿なことしでかすぞ」
ええ……。
炭野は呆れ顔で言うけど、丹波は途端に表情を変えて俺の方にすがりついてきた。
「もう何もしねえよ! 俺が悪かったから、許してくれ。俺だって五組なんだから、狙われてるんだよ!」
「だからそれは、クラスの皆一緒だって。皆怖いんだよ、なのに何で自分のこととしか考えられないんだっつーの」
「だから悪かったって! 芦苅に謝らせてくれよ、頼む!!」
とうとう、彼は俺の足を掴んできた。やめろ、転ぶ。
「俺が間違ってた。反省してる、治療費だって働いて返す。何でもするから助けてくれよ!」
「…………」
さすがにいたたまれず、炭野や他の男子と視線を交わした。
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