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一年生の目標(再考)
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しおりを挟む「真弘先輩ってたまに意地悪ですよね」
「たまに? いつもだよ」
誇らしげに即答するところがさすがだ。逆に清々してしまう。って、それは置いといて。
「先輩の思ってる通りです。俺……」
全部、見透かされてる。恥ずかしいくらいに。
息苦しい。いや、見苦しい。
「ここに来るまで、すごい最低なこと考えてました。七瀬先輩に話したら、きっと先輩は二人を別れさせる。そしたら、もしかしたら……今度は俺が藤平と付き合えるんじゃないか……って」
吐き気を覚えるぐらい、嫌なことを考えた。こんな最低なことを考える自分が、自分じゃないみたいで……怖かった。
「ほんと嫌な奴でした。七瀬先輩が居なくて良かったです。さっきだったら……俺、本当に言っちゃいそうだったから」
今のコレも、一種の告白だ。
最低な話なのに、真弘先輩は全然驚かずに聴いてる。それがちょっと不思議だけど。
「本当にすいませんでした……! どうかこんな俺にも罰を与えてください」
「ヤダ」
即答。
「綿貫、少しはスッキリしたか?」
「え」
数秒呆然としてしまったけど、何となく分かった。さっきよりは気が楽になってる。安心とも違うけど、胸の中で引っ掛かっていた釘は抜けた。もちろん、抜く際に伴った痛みは大きかったけど。
辛い部分や汚い部分を全部さらけ出すことは勇気がいる。でも自分に嘘をつく方がずっと苦しい。
俺は間違ってたんだ。七瀬先輩に命令されて、関係を壊してきた人達。今度は彼らの為にできることを考えないと。
人の恋路を邪魔する権利なんて、俺も七瀬先輩も持ってないんだから。
「本当に……ごめんなさい」
誰に謝ってるのか分からないけど、自然と口から零れる。
今はもうどこも苦しくない。
苦しくないけど、涙が止まらなかった。
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