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一年生の目標
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しおりを挟む困ったな。久しぶりにすごく困った。
「おー、来てくれたんだ。良かった、それじゃあ早速行こうか」
「あっ……はい」
いやぁ、約束したのにすっぽかすのも悪いし……。
放課後、綿貫は今朝出逢った少年と体育館に向かっていた。正直顔を合わせるのも億劫だったが、最後の罪悪感から足は自然と動いた。
「テニス部は体育館裏のコートでいつも練習してるからね。土日も練習あり、……詳しくは部長から聴こうね」
向かう最中も先輩は淀みなく喋り続けた。彼は一体何がしたいんだろう。テニス部に詳しいけど、帰宅部だと言う。謎に包まれてるな。
「お、来たか七瀬。見学したいってのはその子?」
「そう。よろしく」
「あ、ども、よろしくお願いしますっ」
ガチガチに緊張していたけど、部活の先輩達はすごい優しく案内してくれた。
ここならやっていけそうだ。見学が終わって即効、入部届けを職員室まで提出しに行った。やっぱり、先輩も同伴で。
「おつかれさま、入部おめでとう。明日から早速練習参加みたいだし頑張んな」
「ありがとうございます! あの、先輩は部活入んないんですか?」
「俺はどこも入らないよ」
「そうですか……」
少しガッカリした。この先輩がいたら心強かったのに。
「生徒会だから」
彼は、軽い足取りで歩き出した。
「良かったら君も入る? 両立は大変だと思うけど」
「生徒会、……ですか」
「ははぁ、めんどくさいと思ってるね? 青春できるよ? なんせ今年は俺がいるからね」
……青春!?
正直、それはどういう根拠からなのか分からなかった。けど、この妙に説得力のある物言いに負けたのは確かだ。
「じゃあ、俺も……! 先輩と同じ、生徒会入ってみたいです!」
後のことなんて何にも考えず叫んだ気がする。
先輩はそれを聴くと瞬きして、少しだけ笑った。
後に学校の生徒会長となる、その人は。
「よーし、じゃあ生徒会室も案内しないとな。……俺は三年の七瀬。これからよろしく、綿貫君?」
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