人の恋路を邪魔しちゃいけません。

七賀ごふん

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一年生の目標

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「もう、夕夏のワガママなんか聞いてやんなくていいんだよ」

須賀先輩は近くまで来て優しげに笑った。近くで見るとよく分かる。背が高くて、目鼻立ちがくっきりした人だ。
七瀬先輩とはタイプが違うけど、確実にイケメンだと思う。須賀先輩みたいに、明るくて活発な人は本当に憧れる。七瀬先輩が駄目ってわけじゃないけど……まぁまぁまぁ。
「勘違いすんなよ、智紀。これはワガママじゃない。綿貫は俺をリスペクトしてるから、俺の望みを叶えようとしてるだけだ。それの何が悪いんだよ」
「屁理屈はいいから」
「いや見てろ。綿貫。俺をリスペクトしてるよな?」
七瀬先輩が俺の方に振り返る。ちょっと半ギレだ。

「あ、してます。リスペクト」
「よし。俺の為なら死ねる?」
「あっ、ハイ、……死ねます」
「だから無理やり言わせてんだろ、それ!!」

須賀先輩は七瀬先輩の後頭部に思いっきりチョップした。本当にすごい人だ。この学校でそんなことができるのは、あとは真弘先輩ぐらい。
須賀先輩は優しそうだけど、意外とすごい。怒らせると実はおっかないタイプなのかも。そもそも、先輩を煽るのが上手いし。
「はぁー。後輩をイジめるなんて正直ガッカリした。夕夏、お前ってグズだったんだな」
「ハッ、今頃気付いた? 俺はグズだよ。だよな、綿貫」
「あっ、はい、グズです」
「あぁ!? てめぇ誰に向かって言ってんだ!」
「ひーっ嘘ですごめんなさい! グズは俺です!!」
綿貫の胸ぐらを掴んだ夕夏を、智紀がすかさず止める。
「もう分かったからいい加減にしろ!!」

何で三年生ってみんな横暴なんだろう。あと二年で成人とかなにかの間違いじゃないか?

もう怖い思いや痛い思いはたくさんだ。
極限まで七瀬先輩を怒らせたところで、この話は強制終了になった。





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