人の恋路を邪魔しちゃいけません。

七賀ごふん

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一年生の目標

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「ほんっと、綿貫は可愛いよな~」

俺と藤平の間に、ひとりの生徒が顔を覗かせてきた。
隣のクラスの花村はなむらだ。 彼は藤平と仲が良く、朝はいつもウチのクラスにやってくる。
「むさい男子校の天使だよ。な、藤平?」
「ほんとにな。綿貫、何かあったら俺らに言うんだぞ」
「お、大袈裟だな……大丈夫だよ」
笑って手を振る。高校……いや、男子校に入って立場も随分変わった気がする。前は本当に、女っぽいって理由で苛められてたから。
情けないことに変わりはないけど、男子校に入って良かった、とちょっとだけ思った。

そして迎えた昼休み。

「よーし、綿貫、昼飯食おうぜ!」
「うん!」

笑顔の藤平に返事した時、またスマホが鳴った。
七瀬先輩からのメッセージだった。内容は、
『弁当持ってきてないからメシ奢れって言え』

えぇー……。
確かに弁当は持ってきてないけど、好きな人にタカるのは如何なものかと思う。七瀬先輩は本当にひどい人だ。知ってるけど。
「ごめん藤平、俺今日何も買ってきてないんだ。売店行ってくるから先食ってて」
財布を持って席から立つと、藤平は慌てて引き止めた。
「待てよ、俺今日めちゃくちゃ多く昼持たされたんだ。ちょうどいいし一緒に食ってよ!」
「えっ? でも、悪いよ」
「残す方が悪いだろ。ほら、座れって」
強制的に椅子に座らされ、たくさんの手作り弁当を広げてもらう。
「今年初めてのプールって言ったら母さんがたくさん作ったんだよ。おかしいだろ?」
「そんなことないよ。優しいお母さんじゃん」
笑って言うと、藤平は「サンキュー」と言ってサンドイッチをくれた。
それは、すごい美味かった。




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