人の恋路を邪魔しちゃいけません。

一年生の目標

６

先輩からのメッセージは、一言で表すと微妙だった。

だって俺は、昨日と何一つカッコが変わってない。こういうのは髪型とか服装を変えた人間が言えるセリフだ。

先輩は何を思ってこんな頭おかＣメッセージを……。

でも狡猾な先輩のことだから、なにか狙いがあって送ってきたのかもしれない。たとえ俺が藤平におかしく思われてもいいから、訊いてみるか。
｢ふ、藤平｣
｢ん？ 何？｣
依然として笑顔の彼に、小さな声で訊いてみた。
｢今日の俺、どう思う？｣
｢え。どうって……｣
思ったとおり、藤平は困った様に首を傾げた。うわー、やっぱり失敗じゃん。内心頭を抱えて叫んだけど、

｢別に、いつもと変わんないよ？ いつもの可愛い綿貫じゃん｣

藤平は、優しく微笑んで頭を撫でてくれた。身長差があるから、なにかあるとすぐ撫でられるんだけど。
｢あれ、それともホントに何か変わってた？｣
｢ううん。変なこと訊いてごめん。……サンキュー｣
変えてれば良かったかな。鞄とかスマホケースとか。
────でも、何か安心した。


｢お、返信きた｣
｢マジ？ 何て？｣


また場所は変わり、生徒会室。スマホを見ていた夕夏は真弘に言われるまま、綿貫からのメッセージを開く。
そこには『可愛いって言われちゃいました』、と書かれていた。語尾には照れ顔の絵文字マークもついている。

｢何のろけてんだガキが……。一生おもて歩けない顔にしてやろうか｣
｢落ち着け。お前が言えって言ったんだろ｣